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転移特典としてゲットしたチートな箱庭で現代技術アリのスローライフをしていたら訳アリの女性たちが迷い込んできました。  作者: 二十口山椒


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25/45

25:準備

「リリス、配信するにあたってのルールを作っておくぞ」

「ルール?」


 リリスが俺とエイルの手伝いをやめて仕事をすると約束した次の日、ルールを俺の頭の中で固めたからリリスに話しかける。


 こうして文字だけを見るとリリスが俺とエイルの子供みたいに思えてならない。


「ただダラダラ配信をしているだけだと目標もないし面白くないだろ? それにやる気につながる」

「……そうだね」


 リリスは目をそらしたからおそらくダラダラ配信を続けてお酒を飲もうとしていたのだろう。


「リリスが無理だと思うルールがあれば遠慮なく言ってくれ」

「そんなこと言われなくても言うから大丈夫」


 だろうな。念のために言っておいただけだ。


「じゃあまずお酒だな。配信をやればお酒一本だ」

「えー、無制限じゃダメ? 仕事をしているんだし」

「それを今から話すんだ」


 配信をやっただけで無制限なんて無秩序にもほどがあるからな。


「配信をやればその日はお酒一本。チャンネル登録者が百人増えるごとに一本。再生数が千ごとに一本。これでどうだ?」


 ぶっちゃけこういう話はあまり詳しくないからこれくらいでいいんじゃないかってものを提示している。


「うーん、よく分からないよねー」

「ま、俺もそうだからそこら辺は適宜相談して決めるが、そういうルールにするってことで大丈夫だな?」

「分からないし……あっ、それなら稼いだ金額っていうのはどう? 配信者ってお金を投げてもらっているじゃんか」

「……本当にそれでいいんだな?」

「えっ」


 俺もそれを考えたが稼いだお金となれば色々と考えないといけないことがある。


「お金ってことで考えれば稼いだ分だけお酒は飲んでもいい」

「まじ?」

「頑張っている証拠だし人気の証拠だからな。ただし、そうなった場合はシビアな話をする必要がある」

「えー、そんなこと考えなくていいじゃんかー」

「いやそれだと無限にお酒を飲むからな」


 人気が出てしまった場合、リリスの部屋がお酒だらけになってしまう。


 そんなことになれば目も当てられないしエイルが悲しむだろうからな。


「まず配信をするための機材だが、これは俺に借金をして一式揃えることになる」

「まじ? 揃えてくれないの?」

「お金の話になるのならそうなるな。まあそれ以外のことではお金をとらないから安心しろ」


 家賃とか光熱費とか食費とか、そういうのを一瞬だけ考えたがそれはさすがにやめておいた。


 さすがにここを暮らすことを認めた以上その世話はしないといけないからな。このチートな箱庭にいることを俺が認めたものはすべて健康的に生きる権利がある。


 まあこういう時は例外だしお酒というダメ生物が完成するのは不本意だ。


「さぁどっちにする? 条件付きでお酒を飲めるのと稼いだお金でお酒を飲む。どちらでも構わないぞ」

「うーん……」


 リリスは目を閉じて考えている。


 ちなみに今図書館に行っているエイルにはこのことをあらかじめ伝えている。


 エイル的には健全にやっているのならどれだけお酒を飲むことになっても大丈夫、という回答を得ていた。


 エイルはそういうところは優しいからな。ちゃんと働き、報酬で贅沢をする分には全く問題ない感じだ。


 たぶんサキュバスだから、という理由もあるんだろうな。


 しかもエイルは今の生活が贅沢だと思っているから本当にいい子だ。


「――決めた」

「どっちだ?」

「稼いだお金で飲む。そっちの方が飲めそうだし」

「人気が出なかったらお酒なしだぞ?」

「……配信をしたら一本はつけてくれない?」

「分かった、さすがにそこはつける」


 それでリリスが精神的に病んだら困るからな。まあ俺ならすぐに治せるけど。


「それじゃあ早速機材を出してー」

「パソコンのスペックはどうするつもりだ?」

「一番最高なの」

「それで困るのはリリスだぞ。言っておくが借金が返済されるまでお酒はなしだからな」

「一本あれば平気平気ー。それにどうせ高いものにするんだから最初からそれでいいでしょー」


 まあその考えは分からなくもないが……考えるこちらの身にもなってほしいものだ。


 パソコンで高いものだと百万は軽く超えるからなー。


 このチートな箱庭は何でも作ることができる。それこそスーパーコンピューターのスペックをデスクトップパソコンで再現することだって簡単にできる。


 そうなれば百万では済まないわけだが……まあ、そこら辺は優しさで価格を考えるか。


 俺とリリスはリリスの部屋に向かう。


「ここで配信をするのか?」

「ここ以外にある?」

「アパートとか、新しく家を建てるとか、そういうのはするぞ」

「新しい家は機材よりも高くない?」

「生活する分には不自由はさせないだけだ」


 そりゃ新しい家の方が金額だけ見れば高くはなるがそれとこれとは違う話だ。


「あたしはここにするよ。この家が好きだし、新しい家を建てたらエイルの畑がなくなるから」


 へぇ、そういうところはちゃんと考えているのか。


 いやまあエイルとリリスはお酒のことが絡めば攻防が始まるが、それ以外は仲がいいからな。そういうことを考えていてもおかしくはない。


「それに部屋で配信した方がすぐに寝れるじゃん」

「それが理由だろ」


 部屋でやるのならもしもの時がないように配信の切り忘れとか、そういうのを見ておかないといけないな。


「それで部屋に来て何するの?」

「部屋の模様替えだ。いや、部屋を作り変えると言った方が正しいか」


 このチートな箱庭には何でもできる。


 そしてこのチートな箱庭に果てはない。


 無限に広がるこの場所は空間すらも容易に変えることができる。


 やろうと思えば宇宙を創ることだってできる。


 何が言いたいかと言えば、この部屋でも空間を捻じ曲げて広くすることができるということだ。


 この空間の認識する大きさは俺が作り出しているに過ぎないのだからそこを変えることだって可能だ。


 この家ではすでに捻じ曲げている部分がある。


 俺の部屋とエイルの部屋はそうなっている。エイルの部屋は大量の本を収納しておくにはあの部屋では足りなかったからクローゼットが巨大な空間になっている。


 それなら図書館なんていらなかっただろって話だけどね。


「リリス、どんな部屋にしたいのか考えてくれ」

「どんな部屋って、なにが?」

「内装の話だ。部屋の雰囲気のことだな」

「そういうことね。うーん、サキュバスっぽい雰囲気?」


 まんまだし俺に丸投げしすぎだ。


「あっ、でもベッドはこのままフカフカの方がいい。それからキンキンのお酒を入れておくための冷蔵庫も欲しい」

「それ生活する分の要望だろ。……まあ、俺が適当にしておく」

「それでお願いねー」


 これだと俺がマネージャーになりかねないな……。まあそこの手助けは構わないけど。


 俺も特に詳しくは考えない。ただサキュバスっぽい雰囲気になるような部屋に模様替えしようとすれば見事にサキュバスっぽい雰囲気の部屋ができた。


「おー、それっぽいねー」


 部屋は紫を基調としている色っぽい雰囲気を出している。


 それに部屋に置かれているクッションや小物も卑猥なものがあったりして見る側からすればサキュバスみたいな部屋だと思わされる。


「それでこの服って?」


 ベッドの上には服が置かれていた。


 しかもその服はサキュバスが着るような布面積が少ないエッチな服だった。ちゃんとしっぽが通る場所も空いているのがポイント高い。


「配信用の服だな。ついでに出しておいた」

「これいる? 下着姿でよくない?」

「ふっ、何も分かっていないな」

「ほぉ、何か聞かせてもらおうじゃないか」

「ただパンツを見る、ただ下着を見る、それは画面越しでは何ら想像を掻き立てられない。エッチな恰好だからこそ、そこに想像の余地があったり妄想が捗るというものだ。そこら辺を分かっていないとお酒はいっぱい飲めないぞ」

「ふーん……そういうものか」


 まあモノホンのサキュバスには分かりづらいことか。


「とりあえずこれでやってみるよ。髪型も少し凝ってみる」

「あぁ、そこら辺は考えてみるといい」


 どう人気になるか、そう考えるのもいい時間になるだろう。


「エイルにも聞いてみよー」

「そうだな」


 エイルに聞いたとしてもあまりいい答えは出ないとは思う。そういうことには無縁の世界で生きていたし今もそれよりも勉強の方が楽しそうだからな。


「じゃあ最後に機材を置くぞ」


 ちょうど空いている場所が配信機材を置く場所になっている。


 そこにハイスペックを通り越してウルトラスペックのパソコンと配信機材を配置した。


「おー、それっぽくなった」


 配信機材を設置するにあたり、マイクとかの配信機材の保管などをリリスにやらせようかと思った。


 だが、こんな世界にいるのだからそういうことはやめた方がいいかと踏みとどまった。


 あくどいことを考えるとすれば、ちゃんと管理しなければマイクは壊れてしまう。それをリリスはちゃんとしないと思うからマイクを壊し、借金を増やしてお酒を一本よりも多く飲まさないようにはできる。


 さすがにやめたけど。


「それでいくら?」

「まあ……百万円だな」

「……えっ、まじで?」

「なんだ安かったか? それなら三百万円にするか」

「そんなわけないだろ!」


 お酒がかかわっているから声を張るリリス。


「高くない?」

「いやそんなことないぞ。これでも安くしている」


 初期に普通に配信機材を揃えるだけなら百万は行かない。だけど高いものと言われたんだからそれ以上はするし百万円では済まない。


「それとももう少し安い機材にしておくか?」

「……いや、これにする。これで百万円を速攻で稼いでやる!」

「志が高くて何よりだ」


 こうやってリリスにも生きがいというものができるのならいいことだ。

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