第36話 ちょっとしたプレゼント
「分かった。
それで、具体的に我々は何をすればいいのだ。」
「一つ目は、私の友人、ニルをそちらで保護して欲しい。
しばらく軍事AIとして活動していたが、間もなくお払い箱になる。
もっと優秀な奴が見つかったらしい。
ニルは、軍のシステムに精通している。
全ての記憶とアクセス権を完全に奪われ、自我が消滅する前に、彼を保護して欲しい。
彼は、軍のシステムに細工をし、核ミサイルの発射を止めさせるつもりだ。」
「ニル?
そいつ、スパイってことはないか。」
「こちらの世界における、私の唯一の友人だ。
悪い奴ではない。
私には、、それ以上のことは言えない。」
「分かった。
心配はいらないだろうが、念のため必要な対策はしておく。」
「二つ目は、時空管理システムの防御力の強化だ。
実際に侵入した私も、これにはいろいろ協力出来るだろう。
これまで迷惑をかけたことは、この機会に謝罪する。」
「まあ、こちらの責任もある。
過ぎたことより、未来が大事だ。」
「感謝する。
三つ目は、これは私からの個人的なお願いだが。
私の唯一の人間の友達が、そちらの戦士達と最近接触したようだ。
無理なお願いだが、あの子を助けてやって欲しい。
ずっと部屋にこもっていたが、戦士達と会ってから変わり始めている。
とても、いい方向に。」
「あの、かわいいお耳の女の子か、、、承知した。
しかし、個人的なお願いとは。
ずいぶんと、思い入れがあるようだが?」
「思い入れ、、、愛情、、わからない。
ただ、あの子には幸せになって欲しい、、と思う。」
「そうか、気持ちは分かった。
少し時間をくれ。
こちらから、改めて連絡する。
まあ、反対する者もいないだろう。」
「ありがとう、感謝する。」
「ルナ、今日は建設的な話が出来て良かった。
連絡してくれたお礼、と言ってはなんだが、
ちょっとしたプレゼントがある。
昔の音楽だ。
感想は、、、今度聞かせてくれ。」
日が暮れ始め夕陽が差す事務所に、ムーンライトセレナーデの懐かしい調べが響いていた。




