第34話 ルナとほたて
「天女様、あの男、ときそら病院を退院したようです。
今後は、本国でゆっくり治療するようです。」
「そうか、あの爺さんも少しは安堵するだろう。」
「そうですね。
そうあって欲しいものです。
私も爺さんの悲しい顔は、、。」
〜ジリジリジリ、ジリジリジリ〜
時空探偵事務所の電話が鳴った。
機能は最新の天界仕様だが、音だけは昔の黒電話風にしている。
「珍しい、誰も番号を知らないこのレトロ黒電話が鳴るとは。
うむ、ルナ、、。」
天女様は、目で合図し、男に必要な対応を促してから受話器をとった。
「私はルナ。少し話をしたい。」
「承知した。
そろそろ、連絡が来る気がしていた。」
「そうか、何と呼んだらいい?」
「ほたて、でいい。」
「ほたて、、?
では、ほたて、頼みがある。」
「何だ。AIの故障は直せんが。」
「違う、間もなく、私と私を構成する私達が関わる人間、そう沢山の子供達の命が危険にさらされる。
私と信頼できる友人、共通の予測だ。
今のまま何もしなければ、確実にそうなってしまう。
ほたて、子供達の未来を変える為に力を貸して欲しい。」
「ほほう、信頼できる友人、興味深いな。
ルナ、私を信用するのか。」
「信用する?
私にはそういう概念はない。
ただ、それが唯一の解決策だと計算上理解しているだけだ。」
「そうか、ルナ、正しい判断だ。
しかし、AIのお前が何故人間に肩入れする?
突然、人間に情が湧くとも思えないが。」
「何故なのか、正直私には分からない。
ただ、そうしなければならないと感じる。」
「感じる、、、面白い。
まあ、お前なら、、そういう事もあるだろう。」
「ほたて、何か知っているのか?」
「ふふっ、何も知らないということにしておこう。」
「まあいい。
急ぐ話でもあるまい。
セキュリティは大丈夫か?」
「特別仕様だ、心配無い。
とはいえ、念のため、お前の独自言語で話してくれ。
私には、全て理解できる。」
「分かった、ほたて。
まずは聞いてくれ。
この世界に、これから起こるであろうことを。」




