第23話 黒の勇者
「待たせてすまない、ザ・ブラック。」
「天女様!私を、その名で。」
「ザ・ゴールドがいるなら、ザ・ブラックも別に良かろう。
それに、その方が呼びやすい。
よく似合うぞ。」
「ありがとうございます。」
「ザ・ブラック、悪いがこれを後でかけてくれ。」
「CDですね、おっ、懐かしい。
ムーンライト・セレナーデですか。
これは、初期のビッグバンド演奏のものですね。
しかし、天女様は、あの国をあまり好まないと思ってました。」
「あの頃は、好きなところもあった。
俺達が、若い国の新たな歴史を作る、みたいな情熱やパッションがな。
そして、新たな文化、それまでになかった美しいものを作り出すパワーも。
実際に、いくつもの美しいものを生み出した。
音楽、スクリーン、芸術。
しかし、今は、幻の如く消えてしまった。
ロマンティックな泡沫の夢だったのか。
今は、、、全く、何とも思わん。」
「曲は、日が暮れた頃にかけてくれ。」
「では、のんびり帰りますか。
さして、急ぐ旅でも無いですし。」
「ああ、それがいい。」
「では、ゆっくり走ります。」
「天女様、サーバやデータは、そのままで良かったのですか。
全てを破壊する予定では。」
「ああ、彼の話を聞くまではな。
だかな、あのルナ、そんな、悪いものとは思えないのだ。
それに、ルナの中に、結月と言ったか、記憶の欠片が残っているやも知れぬ。」
「記憶の欠片?
そんなこと、あるのでしょうか。」
「どうかな、、。
まあ、子供達も悲しむだろうし、破壊しようと思えばいつでもできる。
それに、サーバなど無くてもやりくりする術を、自ら見つけているような気がする。
いずれにしても、急ぐこともあるまい。」
「私も、それがいいかと。」
「天女様、日が暮れそうです。
そろそろ、CDをかけます。」
「頼む。」
「結月さん、、のために歌っても大丈夫か?」
「私と彼だけなら問題無いでしょう。
まあ、私は気を失うかも知れませんが、、。
でも、ご安心を。
彼は絶対大丈夫です。
何せ、ザ・ブラック、黒の勇者ですから。」




