第24話 狂った歯車
「あの件の進捗はどうなってる。」
「はい、まだ調査中です。」
「いつまで待たせるのだ。
アサシンは、既にターゲットと接触したんだろう。
奴から、何か情報は得られないのか。」
「アサシンは、ただ、分からない、を繰り返しています。
AIが、我々に隠し事をするとは思えませんが。」
「役立たずめ。
もう奴は用済みだ。
いくら払ったと思ってるんだ。
まあ、後任のAIに頑張ってもらうか。」
「アサシンは、ターゲットにモンスターを送り込むのを止めさせ、一応の成果は出しています。
司令官は、せっかく流入を止めたモンスターを、何故また自らの手で地上に送り込みたいのですか。
それも、そんなに急いで。」
「自分の責任を達成してないお前が、俺に質問をするのか。
まあ、いい。
そういう、疑問もあるだろう。
そうだな、お前には話しておくか。
何のために、我々が地上にモンスター送り込まなければならないのかをな。
それはな、我々には、絶対的な悪が必要だからだ。
出来る限り早く。
地上では、そこまでの絶対悪は見つからん。
必ず、世論やマスコミの批判も出てくる。
そこでモンスターだ。
我々はついに見つけたのだ。
誰も否定出来ない、悪魔のような究極の悪をな。
底知れぬ恐怖が、我々の計画を劇的に進行させる鍵だ。
人間には到底抗う事が出来ない、凶暴なモンスター。
それは、まさに人類、世界、地球にとって、まさに存亡の危機となる災いになるだろう。
モンスターには、まずは無慈悲に破壊してもらう。
人々は涙を流しながら、跪き助けを乞うだろう。
救世主様とな。
その時、民の前に颯爽と現れるのが、我が栄光の軍。
彼らは見るだろう。
我が軍の圧倒的な勝利を。
世界中の人々が、熱狂し我々を称賛する。
ひれ伏し、ついには、喜んで我々の下僕になることを望むだろう。
そして、我らの悲願がついに成就する。
選ばれたエリートが、AIで世界中の人間を完全に管理する新世界。
そこには、犯罪も麻薬も貧困もない。
そう、まさに真の理想郷が誕生するのだ」
「しかし、全てが、そううまく行くのでしょうか?
我が軍の戦闘能力を超える、最恐、最悪のモンスターが現れることはありませんか。
そして、我々の手に負えなくなることは。」
「そこは、うまく調整して程々に送り込むしかあるまい。
ただデカいだけの下等生物に、我々の最新兵器が、歯がたたないなんてことはあるまい。
まずは、他に影響の無い島国から始める。
そう言えば、都合のいい島国があったな。」
「また、あの島国ですか、、、。
私は、嫌な予感がしてならないのですが。」
「何を弱気になっている、臆病者め。
我が軍にあるのは勝利のみ。
お前の役割は、モンスターを地上に送り込む術を突き止めること、それだけだ。
あとは、最強の軍が上手くやる。
余計な心配をしている暇はない。
黙って命令に従え。
さもなくば、別の人間に変えるだけだ。
ちょうどいい、今、最前線の戦場で人が欲しいらしい。
そう言えば、お前、新婚だったな。」
「、、、わかりました。急ぎます。」
「わかればいい。
どんな手を使っても、手に入れるのだ。」
「失礼します。」
男は、サイバー軍の秘密部隊を任されていた。
そして、彼はその作戦にいくつもの疑問を抱いていた。
しかし、もう遅かった。
狂った歯車は、既にクルクルと回り始めていた。




