第14話 いそしぎ
「いやぁ、地上の仕事とはこれほどまでに大変だったたとは。完全に侮っておったわ。」
カフェの営業終了後、疲労困憊の様子で天女様が休んでいた。
風太とひろしは洗いものをしている。
メイド服の天女様の胸には、研修生 青森ほたて、のネームプレートが付いている。
研修生ということで、可愛い鹿耳だけは着けフリフリのメイド服のままだ。
青森ほたての名は、あさり、しじみに続く研修生ということで、縄文姉妹が考えたのだ。
縄文時代、北の集落では、ほたてが大切な栄養源だったことがその理由である。
そして、残念ながら天女様の歌と舞は、男の必死の反対により披露されることはなかった。
「天女様、それだけは絶対に止めてください。」
「我の歌に何か問題が?」
「天女様は自覚がないようですが、地上の人間にとって、天女様の歌声を直接聞くのは命に関わります。」
「なんと。我の歌を危険物みたく言うでないわ。」
「いえ、いい意味で素晴らし過ぎるんです。
感動の嵐、感情のオーバーフローで、そのまま昇天、つまり召されてしまう危険さえあります。
天界の私でさえ、天女様の鼻歌で失神したくらいですから。」
「そう言えば、お前この間昼寝してたな。」
「昼寝じゃないです!」
「なら、、残念だが、仕方あるまい。」
ということだった。
「でも、ほたてちゃんの歌聴きたかったな。」
「うん。私も聞きたい、ほたてちゃん!」
「ほらほら、2人共、無理を言うんじゃありませんよ。
ごめんなさい、ほた、てん女様。
お疲れになっているのに。」
「いやいや、我も、聞かせてあげたいが。
でも、ちょっとだけなら、いいかの。」
「うーん、この3人だけなら、、、。
アップデートしてるから、なんとか大丈夫かも。
まあ、せっかくだし行っちゃいますか。
ただし、くれぐれも声量は抑えてください。
天女様が本気だしたら、調理場どころか外の通行人まで歌声が届いて、人がバタバタ倒れますから。」
「わかった、わかった。
なら、小声で。
実はな、あの日からずっと頭から離れないメロディがあるのだ。
昔のある外国映画の音楽でな。
旋律がとても素晴らしい。
そう言えば、
日本の双子の姉妹の歌手も歌っておったな。」
そして、天女様は、母と二人の娘を愛おしそうに見つめながら、優しくささやくように歌いはじめた。
〜The Shadow of 、、、、。〜




