第13話 天女様降臨
「ええっ、そうだっんですか?」
「ひろし殿、渚を悪く思わんでくれ。
ただ、困っている、悩んでいる、苦しんでいる人のためにと思ってやっていたこと。
もともと、渚には、異世界転生のスキルや権限など一切付与しておらん。
実際に渚がやっていたのは、ただのお悩み相談や転職アドバイスだけだ。
彼女なりに、別の世界に行ってしまいたいと思う程、深く悩んでる人に、何とか前向きになって欲しかっただけなのだ。
そうだろう、渚。」
「はい、縄文時代からこちらに来て、悩んだり困ってる人がいっぱいいるから、えっ、どうしてって。
こんなに豊かなのに。
それで、私にも何か出来ることないかって思って。
でも、ひろしさん、異世界の知識は本物ですよ。
天女様から、実際に戦うため、異世界や生息するモンスターの知識、戦い方とかはたっぷり授けていただいてますから。」
「では、渚さんが実際に転生させた人は?」
「一人もいないです。
でも、私のアドバイスから、転職、就職した人はいっぱいいますけど。」
「えっ、どんな仕事ですか。」
「八百屋さん、銭湯さん、それから町の定食屋さん、ラーメン屋さん、そば屋さんとかいろいろです。
募集しても、人が全然来なくて困ってるところ。
人いないから、もう、お店やめようかなって聞いて、何とかお手伝いしたいって。」
「ひろし、お母さん、この時代縄文より何もかも豊かなのに、心を病んだり、自信を無くしたりする人がたくさんいるのを知って、少しでも助られたらって。」
「ひろし、お母さん、ただみんなの役に立ちたかっただけなの、許してあげて。」
「許すも何も、渚さん、素晴らしいですよ。
僕も、渚さんに出会えて本当に良かったです。
実際、あの時、渚さんに出会えてなかったら、どうなっていたか、、。
感謝しかないです。
渚さん、ありがとうございました。」
「しかし、全くをもって皮肉なことよ。
物質的には豊かになったように見えて、人の心はどんどん貧しくなっていく。
金と物質と情報、全てを支配し、好き勝手やっている奴らの足元で、踏みつぶされもがく人々。
モンスターの討伐を頼んだ我が言うのもおかしいが、何の罪も責任もない縄文の親子に、そんな連中の尻拭いをさせてしまってるようだな。
本当にすまぬ。」
「天女様。
私達、この世界には、素晴らしい人がいっぱいいることを知ってます。
モンスターから、そんな人を守りたいんです。
そして、いつか、あの人の仇を討ちたい。
天女様が、私達に、そのチャンスを与えてくれたことに心から感謝しています。」
「渚さん、僕にも手伝わせてください。
渚さん、あさりさん、しじみさん、風太さん、みんなの力を合わせれば絶対出来ます。」
「ひろし殿、その覚悟しかと受け止めたぞ。
我からもお願いする。
この家族の力になってくれ。」
「はい!」
「お母さん、大変、そろそろ開店準備しないと。」
「あらあら、もう、そんな時間。」
「天女様、すみません。
良かったら、お店の営業してるとこを見ていってください。
あさりとしじみの、とっても楽しいステージもあるんです。」
「なに、気にせんでよい。
準備をはじめてくれ。
さてさて、我も店を手伝うとするか。」
「天女様、まさか!」
「何をつまらんことを。
せっかく店に来て、見るだけという訳にはいくまい。
お前も手伝うのだ。
それに、天界一と謳われる我の歌と舞いを、地上の皆に披露せねばならんしな。
ほっ、ほっ、ほっ!」




