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【完結】『魔力アレルギー』の病弱令嬢は『魔力なし』の辺境伯爵に、心も体も健やかに愛し抜かれました  作者: 藤崎まみ


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番外編:レオナルドの成長 前編

累計14000PV突破!

評価、ブクマ、リアクションありがとうございます。


レオナルドはアイゼンベルクの地でスクスクと成長した。


ステラの出産を聞きつけた次兄のエリックが再び春になったらアイゼンベルクを訪れ、甥っ子をそれはもう可愛がった。


ベルシュタイン伯爵家の当主の座をアルベルトの結婚とともに明け渡した父ルドルフと母マリアも、秋の収穫祭に合わせてアイゼンベルクに来訪していた。


ステラは久しぶりに会えた両親に、孫の顔が見せられてとても幸せだった。


その後、家族や領民にも愛されて育ったレオナルドは、あっという間に四歳になっていた。



***




レオナルド、四歳の春。

父のヴォルフラムを始め、兵士たちがアイゼンベルク山の荒ぶる魔物を討伐に行く、忙しい季節。


屋敷に残されたレオナルドは、大好きな父がなかなか帰ってこないことに、酷くつまらない気持ちになっていた。


ステラは実は第二子を妊娠しており、つわりで寝込む日々が続いていた。…だが、それはレオナルドはまだ聞かされていなかった。


そもそも『魔力ゼロ』の“ギフト”持ちのレオナルドは、そこらの四歳児とはわけが違った。


ただでさえ際限のない子どもの体力が、無尽蔵だった。外に遊びに行っても、飽きるまで駆け回る、運動神経の抜群のレオナルド。


牧場の牧羊犬、顔負けの脚力の強さに領民は驚きながらも、未来のヴォルフラムの後継として強く育つことを期待されていた。


ステラの体力などあっという間に追い越し、レオナルド専属の使用人テオが任命されていた。


テオは若手ではあるが、数年前から将来有望な執事候補として屋敷に就職し、執事のヘクターに日々しごかれていた。



「レオナルド様…!またそんな所に登って!降りてきてください!」

「母さまだって、小さい頃は木登りしてたっていってた!」

「それはせいぜい二メートルくらいでしょう…!」



屋敷の裏庭に生えていた、五メートルはある二階建ての家ほどの高さのある木をスルスル登って太い枝に座り込む。ヴォルフラムのいるだろう山の方をじっと見つめるレオナルド。


…父さま、明日にはかえってくるかな。

でも、きっとまたすぐ行っちゃうんだ。


レオナルドはお留守番ばかりの自分が、嫌でたまらなかった。


今年の春は、毎年王都から来てくれていたエリックが、どうしても外せない用事があった。夏に来ることになってはいたが、暇を持て余したレオナルドはブスっとした顔で拗ねていた。


木の根元で、テオが頭に手をやって呆れているのが見えた。



「…そうだ。こっそり行っちゃえばいいんだ!」



レオナルドはにんまりと口角を上げた。


ヴォルフラムが山に討伐に行ってから、もう五日は経っていた。きっと今日こそは帰ってきてまた早朝になったら出ていくはず。


交代の兵士の馬車には追加物資も積まれていることを知っていたレオナルドは、そこにこっそり忍び込むことを閃いていた。



***



その日の夜、レオナルドが寝る支度ができた頃にヴォルフラムが帰宅した。



「ただいま、ステラ。レオ!いい子にしてたか?」

「おかえりなさい、ヴォルフラム様」

「父さまー!!」



階段をかけおり、中段辺りからビョン!と父の大きな体に飛びついたレオナルドを軽くキャッチして、抱き上げ嬉しそうにするヴォルフラム。


討伐でクタクタなはずなのに、相手をしてくれる父親がレオナルドは大好きだった。

木刀で剣の振り方や転んだ時の受け身の取り方などを教えてもらうのが日課だった。


…どうしてもこの季節は何も出来ないけれど、レオナルドは自主練を欠かしていなかった。


いつか父親のように大きくなったら自分も、アイゼンベルクの魔物をばったばったと切り倒して、領民と大好きな母ステラを守るんだと息巻いていた。


ヴォルフラムがきゃっきゃとはしゃぐレオナルドを肩車しながら、つわりで顔色の悪いステラの様子を伺っている。

あまりレオナルドの前で、妊娠の話をまだしたくないステラの気持ちを慮って、視線だけで会話をする。



「さ、レオ。そろそろ寝ましょう?」

「はぁい、おやすみなさい」

「おやすみ」



ステラは今回の妊娠が、レオナルドの時よりも体調が悪いことから腹の子が魔力持ちなのではないかと予想していた。


…もし『魔力アレルギー』のステラと相性が悪ければ、流れてしまう可能性もあり、妊娠初期の今はレオナルドに伝えるべきではないと思っていた。


ヴォルフラムもステラが不安定な中、傍にいてやりたかったが、今年の山の魔物たちは例年より数が多く手こずっていた。


…この日。様々な要因が重なり、全員が手一杯で、レオナルドの底力を予想する大人が誰もいなかった。



***



次の日の朝。


侍女のハンナが、お腹を空かせて自ら起きてくるレオナルドが、なかなか起きてこないことを不思議に思って部屋に来ていた。



「レオナルド坊ちゃん。おはようございま…、え?」



不自然なシーツの上の膨らみに、ガバリと掛け布団をはぐと丸まった毛布しかない。部屋のどこを探してもレオナルドの姿がない。


…顔をサッと青ざめさせたハンナは、廊下に向かって大きな声を出した。



「レ、レオナルド坊ちゃんが…!どこにもいません!!」



アイゼンベルク辺境伯の屋敷で、使用人達が朝からひっくり返る羽目になった。


吐き気を堪えていたステラが、ハンナの大きな声に飛び起き、よろよろと駆け付けると執事のヘクターに体を支えられる。



「ステラ様、大丈夫です。一度、落ち着きましょう」

「ヘクター…。そうね、ありがとう」

「あのヴォルフラム様とお転婆なステラ様のご子息が、今までよく()()()にしていたと感心していたくらいです」



使用人のテオを呼びつけたヘクターが、最近のレオナルドの行動などを聞き出すことになった。




たくさんの方にお読み頂き嬉しく思います。

ありがとうございます!


この後21時、後編を更新予定です!


評価、ブクマ、リアクション励みになります。

下の★★★★★を押していただけると嬉しいです。

感想もお待ちしています!



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