第二十四話 毘摩質多羅(びましったら)対武速
「先生、無事か?!」
振り向くと木藤と白城、マル暴の東雲が居た。
「他の署の方は?」
「自衛隊が来て、裏から避難させた。俺と白城、東雲だけだ」
「あんな化け物に組員たちはやられたのか?悍ましいな」東雲が云った。
「武速が来ました」
「何だって?!」
「武速!帰れ!無理だ!」
部落に行ってからまだ10日間ほどだ。
武速は掌を開き、腕を伸ばし、十字に重ねた。
「何だ?あの子供は?空に浮いているぞ」「大和尊の様な姿だ」自衛隊や米軍が見遣った。「ヤマトタケル?」米軍は意味がわからない。
「敵か?味方か?」軍がライフルを向けた。
「味方よ!彼も須佐よ」舞が屋上から大声で叫んだ。「ミカタ?」
毘摩質多羅も、何だ?と思った。
「小僧、何者だ?」
「須佐武速」
「武速?お前がそうか。だが小僧に何が出来る?わしに触ればこの町は、吹っ飛ぶぞ」身体中を溶岩の如くにした毘摩質多羅が叫んだ。
「こう云うことが出来るさ」
十字に合わせた掌から猛吹雪を発射した。
ぐわああああああああ
液体窒素の吹雪の様に似ている。火を吹く身体に液体窒素。毘摩質多羅の身体にヒビが入った。
ぐわああああああああ
毘摩質多羅は、苦し紛れに身体中から火の粉を噴き出した。
「先生、危ない。逃げよう」
ズドーーーーーン!ズドーーーーーン!ズドーーーーーン!ズドーーーーーン!ズドーーーーーン!
辺りは火の海になった。
皇居も燃えた。「退避ーーーーーー」
百目野たちも逃げ出した。
ズドーーーーーン!ズドーーーーーン!ズドーーーーーン!ズドーーーーーン!ズドーーーーーン!
「ひいいいいい」
本庁ビルが崩れ始めた。「白城、東雲、先生を守れ」
辺りは氷始めた。
がううううううう
毘摩質多羅の動きも悪い。「佐助さん、大手裏剣を!」武速が叫んだ。
佐助が大手裏剣を出し、毘摩質多羅に投げた。
しゅるうううううううう
バキーーーーーーン!!!!
毘摩質多羅はバラバラに弾けた。
わああああ
辺りから歓声が上がった。
武速は崩れかかった屋上に舞い降りた。
「武速、いつの間にそんな・・・」
「役 小角先生と武角様の指導のおかげだよ」
「それにしたって・・・」
そしてバラバラの毘摩質多羅が煙と共に消えた。
「佐助ーーーー」権左が駆け寄った。左衛門も来た。
「やったな、武速」方を叩いて祝福した。
佐助は思った。「これで3柱葬った。羅睺阿、毘摩質多羅だな。私が異空間まで追って戦ったのは誰だ?婆稚か?佉羅騫駄か?」
「奴らは死んだのか?佐助」
「いや、傷ついただけだ」
「しかし、オリオンの呪いは阻止出来たな」「うむ・・・」佐助は考え込んだ。
「どうした?佐助」
「いや、何か引っかかる。簡単すぎる」
「どういうことだ?」
武速が分け入った。「何もかもおかしいよ」
「何がだ?」左衛門が聞いた。
「阿修羅の配下が少なすぎるし、統制も取れていなかった」
「確かに・・・阿修羅の配下は数万のはず」
「佐助、阿修羅は・・・何を考えている?そうだ!何故、ここを襲った?まるでバラバラだ」
「そう、バラバラなんだ。いかに堅固な阿修羅でも統制が取れなければ、いとも弱い。軍隊と同じだ」
佐助は舎脂の言葉を思い出していた。
ワタシハ、チチ二シタガウ
「もしかしたら・・・」
「もしかしたら・・・?」
「いや、俺個人の考え過ぎかもしれない。皆、長居は無用だ。帰ろう」
皆、思った。武速はやはり須佐男の力を受け継いだ・・・と。何代か前の先祖の頭を撫でただけでこれほどの力を与えるとは・・・しかもまだ修行を初めてほんの数日。
「恐ろしくなってきた。俺たちはこんな奴を育てられるか?」
そして消えた。
「あれが須佐か・・・」自衛隊も米軍も立ち竦んでいた。




