第十六話 羅睺阿修羅王(らごうあしゅらおう)
「う、うわああああああああーーーー!!!」
それはとてつも無く大きい阿修羅だ。
ガッシャーーーン!
窓ガラスが割れ、大きな手が侵入した。
木藤は拳銃を取り出し、撃った。
ガウーーーン!ガウーーーン!
まるできかない。その手は武速を奪おうとしていた。
武角が背から刀を織り出し、飛びかかり襲い掛かった。
ズバッ!
指が1本斬れた。
ギャウウウウウーーーーン!
大きな手が怯んで引っ込んだ。ここは5階だが武角はそのまま外に飛び出した。
「修羅王ーーーー!来い!」武角は構えた。
武速を守るために外に出たのだ。
グオオオオオオオオオン!!!
見ると上半身だけコンクリートを破壊し踊り出ていた。腕は4本だ。全身は推測するに30mは、ありそうだ。
「貴様・・・羅睺だな」
「ヤカマシイワ、スサモノーーー!」三つ頭の両端が叫んだ。
ズバアアアン!!
武角の後ろから尾が躍り出た。振り返った時、叩き付けられた。武角はすっ飛んで駐車中の自動車に叩きつけられた。
「武角さん!!」窓から百目野がその様子を見た。
羅睺は再び其処を向き、武速を奪回しようとしている。
「く、くそ」武角は起き上がり、スーツを脱ぎ捨て、須佐の戦闘着になり、再び挑んだ。
病院内は大騒ぎだ。
「きゃあーーーー」「うわあーーー」
「皆さん、逃げて!!」百目野が叫んだが、重病人、高齢者が多い。医師たちはパニクっていた。
すると1人のお年寄りが叫んだ。「あれは?あれは、伝説の須佐ではないか?!」須佐を知っている老人が居たのだ。
「須佐?」
「たった1人、あの化物と戦っている男だよ!俺の田舎に祀ってある須佐神社の須佐さまだ!伝説の通りだ。志能備の須佐さまだ!皆さん、我々は逃げられない。須佐さまに祈ろう」
中年の男が「祈る?馬鹿か!俺は逃げるぞ。見ろ、あの忍者みたいな奴。まるで敵いっこない」
ここでは大技は使えない・・・人々も逃げられない。武角は1人奮闘していた。「くそ!どうする・・・」
その時、武角が捕まった。「し、しまった!」そのまま地面に叩きつけられ、拳で殴り続けられた。
だめだ・・・強すぎる・・・
「武角さんが殺される!」百目野も木藤も焦った。
その時、空から人が現れた。数十人は居る。須佐だ!佐助と須佐の仲間だ!
そして空には白虎の軍団が現れた。数百匹は居る。空からの攻撃だ。白虎軍はコンパクトに攻撃を始めた。
ヒューン、ヒューン。
急降下を始め、一成に阿修羅に攻撃を始めた。
ババババババババババババーーーーーーーッ
胸からの雷砲だ。数百匹の白虎から機関砲のごとく阿修羅に向けられた。避ける隙間を与えない。
その隙間をねって須佐たちが武角を助けあげた。
ババババババババババババーーーーーーーッ、ドドドドドドドドドド。
グワーーーーーーーーーーッ!!!
阿修羅もこれではたまらない。肉片が散った。
間髪を入れず須佐たちが襲いかかる。
体の手前で両手で八の字を描いた。すると同じ人間が数人になった。
「分身の術だ」百目野は呟いた。
数十人の須佐が百人以上になった。
ズサッ!
全員が刀を抜いた。
そして阿修羅に飛びかかった。アシュラの身体に張り付く者、顔まで飛び跳ねる者、背中に張り付く者。それが一斉に刃を立てた。
グワーーーーーーーーーーッ!!!
嬲り殺しだ。尾は切り刻まれた。
物凄い速さで幾度も身体中を切り刺した。
グワアアアアアアアーーーーーーーーーーッ!!!
白虎も諏佐を避けて波状攻撃をかける。
アアアアアアアーーーーーーーーーーッ!!!
顔に飛びかかった須佐が正面の顔の目を突いた。
ヒイイイイイイイイイイイイーーーーーーーーーーッ!!!
阿修羅はたまらず地中に逃げようとする。
「逃すか」
と見せかけて阿修羅の身体が高温になり真っ赤になった。
ゴウウウウウーーーーン
「焼け死ぬぞ!離れろ」
佐助が特大の手裏剣を出した。頭の上にかざし、「むん!」鋭利な十字手裏剣だ。投げた。
ブオーーーーーーーーン
数個も投げた。
それは胸に、腕に、刺さり、額に刺さった。
阿修羅は倒れ伏し、そのまま地中に潜った。逃げたのである。
「終わった・・・・」
「今のところはな。武角さまの容態を見ろ」
「武角さま」「武角さまーーーー」
「お、俺は大丈夫だ・・・」
「武角さま」
「俺も焼きがまわったな。これくらいでやられるとは」
皆さん、もう大丈夫です・・・と大声を発した。
先ほどの老人が「あなた方は須佐さまですか?と聞いた。
武角が立ち上がり叫んだ。
「いかにも!」
「ははーーーー」病人たちが皆、ひれ伏した。
百目野は思った。「須佐が二千年経って、初めて世間に知れた・・・・」
第3章 「妖狐の傀儡」
「須佐之男」
「何?先生」
「お前って謎が多過ぎる。木藤刑事も云ってたろ?お前はなぜ、少年なんだ?母親が櫛名田なんだ?」
「何時か先生に説明するさ」
「俺、本にするぞ」
「先生の話を聞く人は此の時代には出て来ないよ。小泉八雲さんが一番の理解者だったね。けど、何代か後の子孫が先生の意思を受け継ぐよ」
「俺の子孫?お前、未来が視得るのか!」
「先生、消防がもう来てるよ。大和民族の格好と忍者を彼方此方に視られたく無い。武角!行くぞ」
「はい。では、柳田先生、また」
そう云うと、須佐之男と武角は消えた。
「先生の話を聞く人は此の時代には出て来ない。けど、何代か後の子孫が先生の意思を受け継ぐよ」
意思を受け継ぐ・・・・僕ではなかった。
それは武速のこと?




