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第十三話 須佐之男

捜査本部から自衛隊の要請が成された。警察署長→東京都知事→総理大臣、防衛大臣、閣僚会議→自衛隊(陸上、海上、航空)へと出される。時間がかかるのである。災害では無い。本来の武装である。


翌朝、木藤と百目野、そして柳田父で武速たけはやの入院する病院で落ち合った。「木藤刑事、百目野先生」「お父さん、武速君の具合は?」「気絶していただけです。取り敢えず精密検査を施したって処です。・・・あの、あの化物は何ですか?」「今はお応えできかねます。武速君の証言を聞きたい。大丈夫ですか?」「担当医師からも大丈夫だと」

3人は病室に向かった。

病室には担当医師と精神科の医師が居た。「警視庁の木藤です」「阿鼻あび大学准教授・百目野です」「例の刑事さんと学者さんですね」「証言を取っても善いですか?」「武速君、大丈夫だよね?」武速はコクっとこうべを垂れた。

木藤が口を開いた。「武速君、順繰りに話そう。まず、ヤクザとの繋がりのこと。君は組員なのかい?」「違います」

「だが、出入りしていたのは事実だね?」こうべを垂れた。「組長が君がお金を持ち逃げしたと云っている」武速がカッと目を開いた。「そんなこと、していません!」「だが、そう云っている」「嘘です!僕を無理やり組員にしようとした。嫌だと云ったら脅してきたんだ。毎日、家の前にたむろして・・・まるで家が・・・」「なぜ?来君みたいな少年を?それに警察に連絡すれば善かったんじゃないか?」「僕にはコントロール出来ない能力があって・・・」「能力?」


百目野がそこに入った。「武速君、須佐の力だろう?」武速は目を丸くした。木藤は?と云う顔だ。「云いづらくても云ってください。そういうものの私は専門家だし、木藤刑事も信用できますよ。だから君の話を聞きに来た。お父さんから話は聞いている。君は3代かけて須佐之男から力を授かったんだ」

「僕には悪魔の能力だ!学校にも居られない。同級生にからかわれてカッとしただけなのに睨んだだけで。そいつの腕をへし折った」

百目野と木藤は目を合わした。「そんなことが幾度かあってヤクザに目を付けられた。僕は嫌だと云ったのに僕の周りに4、5人見張りが付いたんです。しつこかった・・・で先日も囲まれて、そしたら・・・」百目野が聞いた。「阿修羅が現れた?」「阿修羅?」「君も聞いたことがあるだろう?修羅界に棲む鬼、阿修羅だよ」

「阿修羅・・・・・」

「百目野先生!」木藤は理解した。武速の能力だ!それに阿修羅が目を付けた。「しかし、百目野先生、奴らからすれば人間の能力などたかが知れている。なぜ?」

「だから木藤刑事、須佐の力を授かったからですよ。古代からの帝釈天と共の天敵、須佐の力を我がものにしようと」

「だから傷つけなかった・・・」

「須佐は天敵だが仲間でもあるんじゃないかと・・・それに住吉大社、オリオン・・・」

「なんだい?」


筒男三神(住吉大社)は、伊弉諾イザナギが日向の小戸(おど)(たちばな)みそぎをした際に誕生した神。神功(じんぐう)皇后摂政前紀で、皇后に新羅(しらぎ)遠征4神の中に記されている。(神代紀上第五段)


日向国の(たちばな)小門(おど)の水底に居し、水葉も(わかやか)に出で居る神、名は表筒男、中筒男神、底筒男の神


「水底・・・」

「須佐之男とは?」

「海の神だ」

「そう、伊弉諾、伊邪那美イザナミの子、天照大神は太陽神、月詠つくよみは夜の神。須佐之男は海の神。そして須佐之男はそれを嫌がって天空をおわれる。落ちた星なんです」

「百目野先生、神話と話がぐちゃぐちゃじゃないか!オリオンが須佐之男だと云うのか?!」

「神話など信じちゃいけない!都合の善い話に人世で書き換えたものです。簡単に云えば須佐之男はオリオンの力を持った荒神なんだと思います」

柳田父が「途方も無い話ですね」

「で、阿修羅は?」木藤には何がなんだか解らなくなった。

「須佐之男の化身、武速君を利用しようとしている・・・・奴も天空を追われた落ちた星・・・うっ!」百目野はあることに気づいた。

「どうした?先生」


物のいまだ成り(ととの)わざる(古事記)


「・・・・・・・・・」「先生、何を考えている?」

「須佐之男を手に入れればオリオン座ポイントなど関係ない!オリオンがそのまま手に入るのだから」

「なんだと?!」


医師たちが「あんたたち、見舞いに来て何を話しているんですか?武速君が動揺します」

ごうん!

「な、なんだ?」病院が揺れた。「地震だ!大きいぞ!」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

「でかい!崩れるかもしれない」武速はボーーーっとしてベットに居た。

「武速君、冷静になれ!」

「百目野先生、何を云っている?」「彼がこの地震を起こしている!」

きゃーーーーーっ!うわあああ!

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

近所の木造家屋が次々と、たまらず潰れた。ぐわん!ぐわん!

「武速君、やめろ!」

覚醒し始めている・・・・・


しばらくして武速の気が治った。同時に地震も止んだ。

「武速君・・・」

「僕は・・・僕はどうしたら善い?」

「佐助だ。武速を助けるには佐助が要る」

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