8話:ネコちゃんとの出会い
「フン!」
「回転刃鋸!」
絡繰弁慶が取り出した刀を、妖刀の鞘でブッ壊す。
この鞘はかなりの硬度を誇っているのか、マジで相手の攻撃が何にも通用しない程だ。だから一方的にヤツの刀を破壊できるんだ。
そりゃ妖刀の鞘だしそのくらい耐久力が無いとダメだよなぁって言う。
「我刀無駄九十四本消費!怒心頭確殺!!!」
「うるせぇッそんな壊れやすい刀を手にしたお前の問題だろうが!」
正直コイツの持ってる妖刀だけど、こりゃ贋作ですわ。脆すぎる!いったいどこの誰がこんなもん作ったんだか。
「我持、最高傑作!『光剪刀』ッ!!!」
「ゲーッなんか閃光出してきやがったぞコイツ!」
とか思ってたらホントに凄いの出してきましたよ!ビーム出す刀とかどうなってんだコラ!
クソッこうなったら刀で防御!あっ鞘が割れた!これはもう使えませんね。投擲するしかなくない?
「そんなにコイツが欲しけりゃくれてやるッ!!!」
「何!?我刀!我……!」
「あっ遂に受け止められなかったか」
投げつけたら完全に刀が突き刺さった。もう歯車も動かなくなったみたいだしこれは死んだやろうなぁ……
「我……停止……不……」
「死んだか……。まぁいいや、それより先に行くぞ」
しかしこの割れた鞘どうするかなぁ。下手に持つと乗っ取り食らいそうでさ。まぁいいや銀孤にでも渡しておけばいいだろ。図太そうだから無効化出来るだろ。
にしても、コイツ四十四式って言ってた割にそんなに強くなかったなぁ。たまにいるんだよな、やたら式が高いのに弱い奴と式が低いのに強い奴が。人間時代でも多かったわね。
しかも霊魂はちょっとイジっただけで粉々じゃん、あーあ大損ですわ。二度と戦わないからな!ったくホントに……
「お、お姉さま……」
ん?なんだそんなに怯えた表情で話しかけてきて。まるであり得ない物でも見てるような……
「なんだよ銀孤いきなり……。ん!?」
あ、ありのまま今見ている光景を話すぜ!
今俺は確かに絡繰り弁慶とかいう奴を撃破した。
しかし目の前にいきなり大量の絡繰り弁慶が現れた!どこから来たのかとか何体いるんだとかそんな簡素な疑問じゃねぇ、もっと気味の悪い物事を味わったぜ……
「ど、どうしますわ?!あれだけの数と戦うんですわ?!」
「ぐぎぎ……!」
もう何十体いるのか数えられない。しかしアレは……元々人間が作った人工式神だったはずだが?
もういい!コイツで片っ端から切り伏せれば一網打尽だ!
「えぇい知った事か!銀孤刀寄越せッ!こうなったら全員たたっ切ってくれるわ!」
「ダメですわお姉さま!これは妖刀なのですわよ!お姉さまが操られてしまってはいけませんわ!」
「はっ!そう言えばそうだった……。なんで一瞬抜こうと思ってしまったんだ?」
今もしかして精神操作を受けてたのか?長く持ちすぎたせいなのか?
クソッ流石に本物の妖刀……!精神操作はお手の物ってか!
いやこの状況すげぇしんどいぞ!流石にさっき戦った奴みたいに相手は妖刀を持ってるって感じじゃないが、多勢に無勢とはまさにこの事!しかも銀狐は戦えない!
そんで俺らが引き始めたらこっちに向けて走って来たぞ!
「こうなりゃ逃げるぞ銀狐!走れ!」
「お、お姉さま待ってくださいまし~!」
「お前はどうしてそこまで遅いんだ!」
くそっ、銀狐を背負って走る俺より圧倒的にアイツらの方が早い!
こうなったら海のある方にでも走ってワンチャン塩害を食らわせた方が良いか?
「っと!おい猫耳のお前!今ヤバいのが来てるから逃げた方が良いぞ!」
そうして走っていると目の前に猫ちゃんが。いわゆる猫又って感じの妖怪か?
まぁソイツが目の前に立ってたんで逃げるよう勧告しておいた。
だがソイツは逃げるでもなく、背負っていた金槌のような武器を構えて絡繰り弁慶に突っ込んで行った。
「……心配ない。ボクはそれを壊す為に来た」
「え──」
それはもう圧倒的だった。
あれだけの数の絡繰り弁慶があっという間に破壊されていく。相性という物もあるだろうが、それにしたって圧倒的な速度で壊されていく絡繰り弁慶達。
「なんだあいつ!?知ってるか銀孤?」
「いえ。ですがとても強いですわ……。それにあの槌、アレは業物の一つですわ」「槌なのに?」
そして追って来た絡繰り弁慶は全滅。目立った傷も負ってない辺りマジで強い。
……で、あの彼女がこっちに来てるんですけど。お、俺らは敵じゃねーぞ!
「な、なんだオラーッ!て、敵かぁ!?」
「安心していい。ボクは妖怪と戦うつもりはないよ。迷ってる?」
……あら?意外と話せるタイプの人?と言うか猫?見た目はちびっこの黒猫ちゃんだけどねぇ。
「ま……まぁ。実際問題迷ってはいるが」
「そっか。ボクは『猫』。君達は?」
「俺は金華。んでこっちは銀孤だ」
「ですわ!」
な、なんだよぉ顔を近付けてきて……。猫みたいなのは見た目だけじゃないってか?思わず目をそらしてしまったわ。
おやハイライトの無い真っ黒お目目ね、見てると吸い込まれそうだ。白い髪の毛と真逆で怖いわ~っと。
「……ん、よろしく。それより、迷ってるならボク達のいる所に案内するよ」
「ホントか?まぁそれならありがたいけど……。なんて場所だ?」
「マヨヒガ。ボクらの住んでる場所だ」
◇
そんな訳で俺らはマオについて行く事にした。一応干し肉を食うかと聞いたが『別に大丈夫』と言われてしまった。冷酷な奴だぜ……。
仕方ないので二人で干し肉を貪りつつ、歩く事1日目。ちょっと聞いてみたけどまだまだマヨヒガには遠い様子。どこに住んでんねんキミら。
「マヨヒガってアレだよな?イワテの僻地にある……」
「うん。ボクらはそこに住んでるんだ」
別に俺はこのまま歩いても構わないのだが、銀孤が疲れで完全にダウン。マオの歩く速度が結構早いので追いつくだけで精一杯らしい。確かに早いけどね……。
へとへとで倒れた銀孤を背負いつつ、しばらく歩いていた所で夜になって来たので互いに休憩する事に。適当な木で焚火の元を作って俺の妖術で火を起こす。
「……へー。火、つくんだ。便利だね、それ」
「まぁな。それでマオはなんでセンダイに来てたんだ?」
「絡繰弁慶の破壊の為。アレは人も妖怪も無差別に襲うようになったから、始末してるんだ」
なんでここに来たんだと質問したらこう帰ってきた。
そう言えば聞いた事がある。このトウホクの地がこんな有様になった原因を。
先ほどの絡繰り弁慶って奴いただろ?アレが元々ここらを守ってたんだよ。
なんかよく分からんけどそれがいきなり暴走して大暴れ。町の防衛のほとんどをそれに頼り切っていたせいでオワオワリ。
あっという間に廃墟が完成したって訳なんでございます。誰が作ったんだって?さぁね。多分トウキョウのヤツだろうとは思うけど。
「とは言えなんで暴走したんだろうなぁ」
「所詮人間が作った物。壊れて当然。人間なんていっつもそう」
……そこまで言う?ちょっと言いすぎじゃない?
とは言え実際問題人工式神なんていつ暴走してもおかしくない物だったからなぁ。俺もアレには反対だったよ、まぁ結局暴走したんだけどさ。
「……それはそうとマヨヒガまで後どのくらいだ?」
「そうだね、だいたい半日あればたどり着くかな」
「それは銀狐を無視した場合の話だろ……」
スヤスヤと眠りにつく銀孤の横で俺もまた眠りにつく。
それにしてもトウホクにここまで妖怪がいないと言うのは想定外。俺の元々の計画もこれじゃあダメだ。霊魂持ってる奴全然いないしな。
どーせ時間もいっぱいあるからこのままマオについて行くかな。
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