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5話:行ったれトウホク地方


「おっ、来たぞ県境!ほら見ろ誰も来ないからボロボロの看板しかねぇ!」


 銀狐と出会い歩く事約10時間。俺達は県境までやってきた。ここまで結構長かったからなんだか感慨深いぜ。

 県境と言ってもポツンと看板が置いてあるだけで、誰かがいると言う訳でもないのだが。だってトウホクの人間はある事故によって全員いなくなったのだから。


「なぁ銀狐!……あれっ銀狐は?」


「ま、待ってくださいましお姉さま~!」


「──お前そんなにスタミナ無いのか?」


 後ろで息を切らしながらポテポテと歩いてくる銀狐をよそに、『この先人間の立ち入りを禁ズ』と書かれている看板を焼き払いながら県を跨ぐ。

 いやだって……今の俺は人間じゃないのだもの。こんな看板通用しないわ!大体人もいねーのにこんなところに立てても無駄だろ看板!!!


 それより銀狐だよ。ここまで休憩を五回もはさんだんだぞ?!なのにコイツポテポテポテポテ歩きやがって……!お前は馬鈴薯ポティトゥか?!あ!?


「そう言えばお前式はいくつだ?」


「へぅ、へぅ……。へ?お姉さま。銀狐の式は七十七式ですわよ?」


「ウソつけお前なんで七十七式も持ってる奴がそんなに肉体的体力(スタミナ)が無いんだコラ」


「それは銀狐がなるべく誰とも戦いたくは無いからですわお姉さま!」


「はぁ……」


 コイツ……。まぁ式が高いだけで強いならキョウトはとっくの昔に壊滅してるわ。

 あの辺って七式を超える妖怪ばっかりだからなぁ。つまり七十式より上の奴ばっかり。銀狐がそれと同じだとは思えないっすね。ホントは七式だろ。


「まぁ俺がヤバい時は治してくれよ?」


「もちろんですわお姉さま!」


 さてと……ここはトウホクのフクシマら辺だろう。だろうって言うのはここは横に長いのでどの辺か分かんねーんだよ。

 この辺は餓鬼が大量にいるんだよなぁ。アイツら雑魚の割に一式下位くらいの強さがあんだよな。まぁそもそも餓鬼はどこにでも現れてモルモット扱いされてるけど。


 だが!一応弱いとはいえ今の俺は十九式!それなりに強いんじゃい!!!


「よーし行くぞーっ!!!!!」


 〜五分後〜


「撤退!撤退ッ!!!」


 俺達は今無様に逃げ出している。

 原因は銀狐だ。こいつマッジで戦いに参加しようとしやがらない。最初に見た時は五体くらいいたのに実際戦ってるの刀持ってる奴だけでさ?

 戦ってる最中に妙だなと振り返ったら銀孤が囲まれて棍棒でボコボコにされてやんの。


「なんで無抵抗で殴られてんだお前は!?」


「銀狐は戦いとか苦手なんですわぁ……」


「自衛くらいしやがれってんだよ!」


 それだけならまだいい。問題は刀を持ったやけに強い餓鬼がいるって事だ。マジでやたらと強いヤツがいる。

 式に換算すると三十式くらいあるんじゃないかって感じだ。


 ただあの刀が悪さをしているのは何となくわかる。明らかにあの刀から黒い妖力オーラがあふれ出していて、それが餓鬼を操作している……ような気がする。


「あの刀をどうにかすれば勝てそうだな……」


 となると真面目に銀孤が邪魔だな、役に立たないだけならともかく自衛も出来ないってのはちょっと……。

 と言う訳でおいて行く事にします。


「よし、アレは俺が何とかする。お前は……そこら辺に隠れてろ」


「了解ですわお姉さま。……ですが、本当に一人で大丈夫なんですわ?」


「なぁにあの刀さえどうにかすれば勝てるさ!」


 さぁてと……。まず周りにいる餓鬼はさほど強くない。三体までなら俺一人でも普通に勝てる。何なら銀孤を守りながらでも勝てるさ。

 しかし問題は刀持ってるアイツだ。アレはヤバい。俺の狐火を簡単に切り裂いてきやがった。


 ただ好機(チャンス)はある。

 ヤツの持ってる刀を手放させる事だ。


 あの餓鬼、よくよく見れば腹に穴が開いている。あれだけ穴が開いている状態だったら普通の妖怪でも死んでいるはずだ。

 つまり、あの刀を持ってる餓鬼は既に死んでいて刀に操られているんじゃないか?昔聞いたぞそういう刀があるってな。確信はねーけど。


「だがそれ以外に勝ち目も薄いしなぁ」


 やるしかねぇか。まずは奴らの視界内に入り、こちらに注意を向けさせたうえで陽炎を発動!普段よりも濃い霧を出して更に周囲を見えにくくする!

 コレで一体ずつ暗殺……


「うおっ初手で仲間を切りやがったコイツ!」


 やっぱり群れてるだけで仲間意識とかはない感じなのか?それとも刀に支配されるから無意味なだけなのか。

 だが一体が倒れたのなら好都合!言っただろ?!餓鬼は三体までなら俺でも勝てるってさぁ!


「オラッ妖力蹴り!」


 刀を持った奴を蹴り飛ばし、距離を離したら近くにいた餓鬼の顔を掴んで~!


「狐火ッ!!!」


 至近距離で狐火を発動!流石にこの距離なら防御も出来ないか。顔が完全に弾け飛んだ。そしてすかさず棍棒を振りかぶって来た餓鬼の攻撃を避け、妖力を込めた(パンチ)


「おらぁっ!」


 顔面に直撃したのを見たならすかさずもう一発!!!

 顔の形変えてまうぞこの野郎!ん、そろそろ刀持ってる奴がこっちに来たな、なら残ったコイツを掴んで……。投げ飛ばす!


「うわっマジで切りやがったコイツ……。まぁ処理してくれたのはありがたいが」


 試してみたけどホントに切るとは思ってなかったなぁ。とは言えもう残ったのはコイツだけ!落ちてた棍棒を拾いまして~?振りかぶって殴るッ!


「あぁやっぱり棍棒は切断されるよな」


 まぁそうだよね。しかし!これももちろん織り込み済み!

 棍棒はぶん投げたんだ、この狐火の変化型アレンジを確実に叩き込むためにな!


「狐火、閃光弾せんこうだん!」


 うおっ眩しっ!やっぱり目くらましにしかならないが……目くらまし程度で充分!刀を持ってる手を妖力を込めて思いっきり蹴る!


「よしっ完全に刀は落とした!オラまだやるかこの野郎!」


 ……刀を落とした瞬間動かなくなりやがった。え、死んでる?

 あぁ死んでるわ。霊魂も無くなってるし。と言う事は、やはり出会った時点でこの刀に操られてたって事か……?


「どこかに鞘とか無いか?剝き出しのこれに触れたら絶対ロクな事にならないわ」


 うーむ鞘とかは……あった。

 なんだこのキンピカの成金みたいなキモい鞘は。まぁ紫色の刀身に比べりゃ充分マシかもだが……。


 そーっとね、そーっとコレを仕舞いまして……。

 ハイ大丈夫!もう触ってよし!


「とは言え抜いたらダメだな、これは俺が持っておこう」


 さて殺し合いも終わった事だし銀孤を呼びに行くか~。


「おーい銀孤~。終わったぞー」


「ですわ!それはそうとなんですわその刀?」


「多分妖刀だ、抜くなよ」


「りょ、了解ですわ!」


 後は餓鬼の霊魂をいただきまして。相変わらずひっでぇ味。ゴミ捨て場のギリ食える食料レベルの味だ。この間食ったアレよりはまぁ……マシかな、食い物として認識出来るからな。


「さてと。この先に行けばいよいよトウホクだ。まずはセンダイに行って片っ端から妖怪共を倒して霊魂食い荒らしに行くぞー!!!」


 とは言えここからフクシマを横断しないとダメなんだがな……。


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