18話:デカい奴を思いっきりぶん殴るとスッキリするぞ!
「さてと……。戦う前に戦う時の決まりを説明しておくぞ」
ひとまず戦う前にマトモな服を着ろよと言われたので衣装室に案内された。
んでガンマから戦いについて説明された。コロッセオとか言ってたけど総合格闘技って感じの印象だ。
「あぁ」
「まず第一に殺しはアリな」
「あっいいんだ」「殺せれば、の話だがな」
どうも妖怪同士の殺し合いもここじゃしょっちゅうあることらしい。んで、最後には決まってオウガがやって来て両成敗するんだってさ。
妖怪らしい倫理観の無い試合ですわ。
「まぁ……。死ぬのは貴様だけだろうけど?」
「ハイハイ。……それ以外は何か?」
「一応妖術の使用は禁止だ。貴様も妖力強化は使えるだろう?妖術を使うと見栄えが悪いと言われてしまってな……」
見栄えとか気にするなよ殺し合いで。とは言えこれは単なる殺し合いじゃなく、決まりのある殺し合いだ。ならしょうがないか……。
「……ところで服は?」
そんな事を考えてたら着替えろと言われた服が見当たらずガンマに聞いてみた。
するとガンマは縦型箪笥に入っている妙な服を指さした。
いわゆるナカクニ服と言う奴なのだろう。俺が貧相な体なので大した問題では無いが、仮にハイネとか銀孤とかが着てたら胸のほとんどが見えるだろってくらいに露出の低い服だった。
「コレ?」「あぁ」
「……服?」「あぁそうだよ!お前みたいな貧相な体のヤツが着るような服じゃねーんだよ!!!」
逆ギレされちまったよ。元はと言えばお前が悪いんでしょーがッ!!!勝手に人の姉と銀孤を連れて行って?!ほんでこんなふざけたワケ分からんクソみたいな行事に参加させたの誰ですか~!?
「文句を言うなら攫うんじゃねーよ最初から」
「フン!コレをする事でバカ妖怪共が集まってくるのだから仕方ないだろう!」
すげぇ開き直り方されたんですけど。何を言ってるんだコイツは。まぁとは言えよ、大勢の前に出るのに甚平ってのは流石に見た目も悪いしな。
「晒巻いてまで着る必要あるか?」
ふんどしはこの際突っ込まなくてもまぁ良いとして……サラシいるかよ俺に。自分で言うのもなんだけどこの胸!見てくれよこの胸を!十人が見たら十人が崖って答えるくらいに何もないんだぞ凸凹がッ!!!
「以前女の陰陽師を攫って来たら胸を露出されて見とれてる間に殺された事があってな。それ以降一応着せているのだ。……その女は殺したが」
「すげぇアホじゃん」「俺もそう思う」
色仕掛け……効くんだ。
妖怪の癖に。そう言うの異常性癖って言うんだぞ。
「まぁお前の貧相な胸なんか見て興奮するヤツなんかいないと思うけどな」
「お!?俺だって成長すればボインになる可能性もあるだろ!」
「(笑)」
なんか……ムカつくなぁ。俺は元々男だけど他人から貧相な体とか言われると流石にムカつくなぁ……!
いや別に巨乳になりたいって話じゃ無いけどな?身体を貧相貧相呼ばわりされると流石にちょっと……。
「さぁ行け!せいぜい客共を楽しませて来い!」
「客をクソバカ呼ばわりは流石にどうかと思うよ」
まぁ実際問題こんな殺戮ショーなんて一部のマニアしか見ませんよって話だ。
扉を開けて外に出ると、リングの周りにはゲスな笑みを浮かべた妖怪共がニヤニヤしながら俺を見てきた。
それを無視し、俺はリングへと足を踏み入れる。
『さぁ始まりました今回のメインイベント!!本来はこのトウホクでも有名なマオが出てくるはずでしたが……。代わりに金華と言う、今では珍しい狐妖怪が相手となります!!!』
解説のヤツがずいぶんテンション高いっすね。まぁそこは専門家意識って奴か。
「……ってか、まだ戦ってるみたいだが?」
「お?お前が今回の俺の相手か?!」
リングに上がったらなんか三つ目のデカい奴がさっき見た陰陽師の女をボロボロにしてたわ。腕を封じてなけりゃまともに戦えねーのか?情けないっすね。
「そうだ、ついでにこの女をゴミ捨て場に置いて来いよ」
「どのついでだよ」
「そりゃ当然……。お前もゴミ捨て場に行くんだからなッ!!!」
『おーっと!人間を投げつけるついでに思いっきりブン殴ったぞー!頭から大量に血が出ているッ!これはもう死んでしまったか~?!』
全くひでぇ事しやがる。俺がちゃんと捕獲してやったから無事済んでるんだぞ。しかし一つだけ言っておくことがあるな。
「ヘヘヘ……。へ?」
『い、いや違う!血が出ているのは頭からじゃ無い!見角選手の方だ!腕がへし折れてそこから血が出ているぞーッ!!!』
妖力強化無しの俺の頭突き一つで折れる腕じゃ、勝ち目の一つもないもんなぁ!!!
「はギャぎ?!?!?!?!?」
「それで本気?大したことねーな!情けなくて涙が出ちゃうよ(笑)」
「こ、このクソガキッ!!!」
残った左腕で攻撃か。なら蹴りで迎撃だ!オラキーック!!!
「ウゲーッ!?」
『あーっと!残された腕で攻撃した見角選手だが全く通用しない!左腕が背中にまで回る程へし折れているーーッ!!!』
「ギャハハあのバカ腕が折れちまったみてーだぞ!」「ダッセー!ダサすぎて笑っちまうぜ早く死ねよ!」
勝ったはいいがこの民度だと情けなくて涙が出ちゃうよ……。ガンマが客をクソ呼ばわりするのもやむなしって感じでございます。
「そりゃクソ呼ばわりもやむなしか」
『あー……。一回戦も終わったので、五分間の休憩時間が挑戦者には与えられます!』
「たった五分か……」
……この分だと不味いな。
何が不味いかってマオに頼んでた事があるんだよ。
『え。先に姉さんを助けに行けって?』
『あぁそうだ。多分あいつらは俺が勝ちそうになったらお前の姉ちゃんも銀孤も人質にするに決まってる。だからその前に探して助けちまえ』
『……。銀孤は?』『アレがそう簡単に死ぬかよ』
『……ん。分かった。でも無理はダメ』
『なぁに俺だって負けねーよ!さ、行って来い!』
一回の試合の限界時間がどの程度かは知らんが、休憩がたった五分って言うのはずいぶんキツい。俺がじゃなくマオがだ。
何せ両腕なくなったコイツの式は二十。控えめに言ってザコだ。……あぁ俺も含めてな?
と言う事は、試合を長引かせる事がしんどくなると言う事でもある。適当にやってると八百長試合扱いされて二人に危害が及ぶ可能性もあるからな……!
「ひとまず休憩は休憩。しっかり休ませてもらうぜ」
◆~マオ視点~
金華に言われて、ボクはひとまず怪しい場所……地下にやって来た。
壁にはたくさんの牢屋。ひとまずチラっと見たけどここに姉さんはいないみたい。
警備してる妖怪はいたけど姉さんに危害を加えた時点で敵だ。
「ったく、あんな胸がデカいだけの女を見張ってろって?いくら何でも嫌になってくるわ」
「オイオイ滅多な事言うもんじゃねーよ。コイツはコレでもマオの姉らしいからな」
「ウソだろ?こんな弱いヤツがあの女の姉貴な訳ねーだろ。きっと血は繋がってねーよ!」「違いねーや!」
──だから。
「ぇへ?」「は?」
コイツらの首をへし折る事に何の抵抗も、無い。
「お前ッマオか?!う、腕が折れてるってのにどうやって……足か?!クソッ誰」
「黙れ」
声を出される前に足で首をへし折り、もう1人もキックで喉を潰した。後は廃棄所直通道へ叩き込めばいい。
まぁ首をへし折ったところで妖怪は死なないけど、声は出せなくなるからそれでいい。
そして見張りから鍵を回収してもう一人もダストシュートに叩き込む。でも鍵みたいなのは板みたいなコレしかなかった。
「……で、これ何?」
間違いなく板だし、多分この辺の牢屋の鍵じゃないと思う。となると怪しいのはあの機械みたいな扉。
「──あった」
見たことある。このよく分からない機械。
多分この板をこの機械に押し付けると……。ん。開いた。
「姉さんの匂いがする……。ん。絶対この先にいる」
でも、多分あのオウガって強い妖怪がいる可能性もある。
……金華が足止めしてくれている間に、早く姉さんを助けに行かないと。
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