17話:コロッセオへのいざない
「え、誰お前?」
見た感じで言えば青い肌をした鬼……青鬼ってヤツか。身長は確実に2メートル超えてる巨体。確かオウガって自己紹介したっけ?
「姉さんをどこにやった!」
ま、マオ?いきなり声を張り上げるの怖いからやめて?それよりコイツ多分メチャクチャ強いぞ。俺の妖力探知機がビンビンに反応していますわ!!!
「まぁ待て。俺は一応お前らをだな……」
「言わないつもりならぶっ飛ばしてから聞いてやる!!!」
「ちょ、ちょっと待て!いきなり武器で殴りかかるなマオ!」
「……ハァ」
お、オイオイ嘘だろ?!コイツマオの一撃を腹で受け止めやがった!マオはそれなりに強いはずだぞ!それを防御しないで受け止めるだと……?!
「俺の話を聞け」「なっ!?ぐぅ……っ!!」
「あっマオ!おいしっかりしろ!」
マオが思いっきり投げ飛ばされたぞ!オイオイ家を貫通して飛んでいったぞ大丈夫か?!
うわすげぇ怪我だ!頭から血も出てるし腕とか折れてるんじゃねぇの?!軽く投げ飛ばしただけでこの威力……!
「──しまった。ただ投げ飛ばしただけだったのだが……。折れているのか?あの程度で」
「おいお前!お前何者だ?!」
「名前はちゃんと教えただろう。……だが、確かに説明しておくべきだな」
……一応敵対心はないようだ。あくまでマオはマオが襲い掛かって来たから迎撃したってだけらしい。しかし何という力だよ、ちょっと投げ飛ばしただけでマオがボロボロだぞ。
「俺は鬼牙。いわゆる鬼だ。俺は現在センダイにある闘技場である男の元で働いている」
「えっセンダイに?俺結構散策したが何にもなかったぞあそこは」
「それもそうだろう。あそこには我々しか知らない入り口があるのだ。そしてそこに貴様らの姉を現在監禁している」
は?マジかよキレそう。と言うかいつそれやったの?確かマヨヒガって普通に入るの難しかったはずなんですけど?
「……いや待て。昨日の夜中か……?」
「おぉ、ずいぶんカンがいいな貴様。そうだ、昨日この村の近くに昏睡妖術を仕掛けた。ずいぶん眠かっただろう?」
「道理でワシも炉を付けっぱなしにしながら眠ってしまった訳じゃ……」
なーる程ね。なんか理解したわ。しかしマオすら眠らせるレベルの妖術とかヤバいんじゃね?
「本来はマオ、貴様だけを残すはずだったのだがやたら固い鍵のかかった部屋があってな……」
「俺も連れて行くつもりだったのかよ」
……にしても、コイツが壊せないとかあの鍵どういう素材で出来てんだよ……。
「まぁ良い。しかし本来マオを連れて行くはずだったが……。怪我をしている妖怪をコロッセオに出したところで盛り上がらない」
「……でも、ボクが行かなきゃ姉さんは……」
ウーム中々厳しい状況だ。そもそもこんなことするなって話なんですけども!
とは言えこうなってしまったのなら言うしかないかぁ……。
「じゃあ俺がそのコロッセオってのに出りゃいいんだろ?」
「お?……誰だ貴様は」
「俺は金華。見ての通り狐の妖怪だ」
「あぁあの銀色の奴の妹か。……式は?」
「十九だけど?」
あっコイツ露骨に無視しやがって……。ロマン爺に話しかけてんじゃねーよこの野郎!
「……お前強いな?」
「フン!悪いがワシはもう戦いをする気はないわ!まぁ炉を台無しにされ若干トサカに来てるがな!」
「何故戦わない?強いのだろう?」
「ワシは戦うよりも武器を作る事の方が好きなんじゃよ」
あったまに来ちゃったなぁ~!……一発ブン殴っても良いよな?良いよなぁ!ただでさえこっちはマオの腕を折られてんだ、一発ブン殴ってやらねーと気が済まねーんだよ!!!
「オイこっち見ろよオウガァ!」
「ん?」
「これでも……ッ食らいなぁッ!!!」
全ての妖力を右腕に集めて……思いっきりぶん殴るッ!明らかに俺を意識して無かったからかわき腹に命中だぜ!
幾ら式が低くてもなぁ、全ての妖力を腕に込めてぶん殴ればかなりの火力が出るんだよ!
「ぐぅ……ッ!」
「マオの腕へし折ったお返しじゃッこの野郎!」
「く、ククク……!や、やはりそう来なくては面白くない……!良いだろう、貴様がコロッセオに来い!案内してやろう!」
割と全力でブン殴ってみたが、そんなに効いてない気がする……。見ろよ筋肉で受け止められたわ。
ただ何か認められたのか案内してもらえるらしい。ひとまず腕の折れたマオに添え木をしつつ、一緒に行く事にした。
「大丈夫か?」
「……妖力での回復が全く追いつかない」「銀孤ならすぐ回復出来るんだけどな」
ふーむ、そう考えると銀孤ってかなりの回復妖術の使い手なんだなぁ。
や、俺も妖力で回復は出来るけどな?せいぜい軽い傷くらいで骨折とか切断とかは無理だぞ。
「休憩はしない。止まらずセンダイに行くからな」
「あぁ」
そう言った瞬間いきなり全力で走り始めたオウガ。置いて行かれないようにと俺らも無言で走り始めた。
休憩無しなら俺らでも走って20分でマヨヒガからセンダイに行ける。もちろん休み一切無しで常に妖力強化をしないといけないって前提があるけどな。
「で?センダイのどこにコロッセオってのがあるんだよ」
ガチで走る事15分。俺達はセンダイ城跡地にやって来ていた。相変わらず何もない廃墟だが、コイツの言う事を真に受けるならここに何かがあるらしい。ホントかよ。
「少し待て。今地下にいる奴らから連絡を待っている」
はぁ。そう言えば一回来たことあるけどその時どっかから銀孤が牛取って来てたな。
……アレどこから取って来たのか疑問だったけど、まさか……
「なぁ、唐突に聞くけどお前らって牛とか飼ってる?」
「はぁ。飼っているが……。この間盗まれてだな。全く腹立たしい事だ」
あっそれ俺らのせいだ……。
まぁ言わなくてもいいかな、別に今言ってもどうしようもないだろうし。
「こんな不毛な場所で家畜を飼う事がどれだけ面倒だか分かっていないのか全く……」「そりゃ厳しい事で……」
「っと、ここだ。入れ」
そうこう下らんことを言ってると、どうやら地下の奴らと話が付いたのか、瓦礫に隠した扉が開いて地下への道が現れた。
下からはかなり下品な声が響いてくる。大量の妖怪が多分ここにいるんだろう、それにしても汚い下品な声だ。
「と言うかここ何?」
「ここはいわゆる『裏賭博場』と言う奴だ。様々な妖怪共がここに来て……」
っと、一際デカい声が響いて来たな。あっちで何やってるんだか……。
「……アレは?」
「人間と妖怪の殺し合いだな。どこかから連れて来た陰陽師をあそこで戦わせているのだと言う。……ただし陰陽師側は腕を封じられた状態でな」
俺が首を向けた先、そこでは若い女の人間と巨大な妖怪が戦っていた。
……正確に言えば戦うと言うより一方的に嬲っていると言った方が正しいだろうか。それを見て歓声を上げているらしい。やっぱり妖怪って趣味悪いわ。
「大丈夫か、マオ?」
「……流石に、アレを見て喜ぶとかはムリ。あんなの、何も面白くないよ」
人間嫌いのマオもコレにはドン引きの様子。そりゃなぁ。嫌いな物でも限度って物があるんですよ。流石に。むしろこんなもん見て喜ぶ奴の方が気がおかしいって話だよ。
「とりあえずこちらに来い」
「はぁ……。この先に銀孤たちがいるのか?ん?」
「いない。俺の雇い主はいるがな。入るぞ」
んで誘われるまま中に入ると奥にはオッサンみたいな奴がいた。一応妖怪らしい、多分一つ目小僧だな。一つしかない眼鏡かけてるし。
「やぁ。よく来てくれたねマオ……。って誰だよソイツは」
「あぁ『眼魔』。彼女は金華と言う妖怪でな……」
「え?!じゃあマオ使えねーって事?!なんかの冗談かよ?!」
……一瞬カリスマっぽく見えたような気がするが、気のせいだった。まぁいいやその辺は。
「え、なんで?なんでマオの腕折れてんの?」
「まぁ、俺のせいだな。そしてその代わりと言っては何だが……金華を今回の対決相手にしようと思うのだが」
おぉガンマ?とかいう奴が台を思いっきり叩いた。それお前の方が痛いんじゃないの?あぁ実際痛がってるしお前の方が痛いんじゃん。そんでその状況でキッって睨んでも何も凄めて無いからな?
「……お前が俺の相棒じゃなけりゃお前を殺してたところだよ……!だからってこんな貧弱そうな狐一匹を今回の最大行事に?!お前式は?!」
「十九式だけど」
「ムリだろ?!……とは言え腕折れてるマオとか一瞬で死ぬだろうし……!えぇい仕方が無い!今回お前には妖怪との五連戦を行ってもらう!元々はマオにやらせる予定だったがなぁ!」
なるほどね。元々はマオにここで殺し合いさせるつもりだったのか。なんてクソな奴らだ。今も俺を見る目がさっさと死ねよって感じの目をしてるし。
「だがお前が一度でも敗北すれば、その時はお前らの姉とそこにいるマオを公開処刑してやるからな……!」
「どーせ拒否権はねーんだろ?良いぜ、やってやるよ!!!」
そのナメてる表情思いっきりゆがめてやるから覚悟しろよな!!!
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