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16話:全てには突然に


 マオから暗い過去を聞き、互いにだいぶ気まずい感じで帰っている。話聞いたら普通に一家惨殺ですよ?いくら妖怪が嫌いでもそこまでしねーよ俺でも。

 や、まぁおおよそそんな感じだろうとは思っていたけども。しかし実際問題そうだと言われると何とも言えないっすね……。滅びて正解?的な?


「だからボクは人間を……皆殺しにしたいと思ってる」


「そうか。まぁそう思うだろうな。けどしないだろ?実際さ」


「……うん。それをしても家族は帰って来ないから。今は姉さんもいる。それに……。トウホクが壊滅した時に、多分あいつらも死んでると思うから」


 あの時トウホクに何があったかは知らんが、確かアレで生き残った人間は片手で数える程だけ。その上当時の俺より若い奴……。年にして5歳以下の連中だけだったはずだからまぁ無いわな。


「でも、もし。……もしも、あいつらのうち一人でもボクの前に出てきたら。……その時は、ボクはソイツを殺す。その後……マヨヒガを出ていくよ」


「──するなよ」「しないよ。……だって死人に口なし、あいつらが生きてる訳ないんだから」


 ウームやはり恨みは激しいか。そう言えば化け猫って人間への恨みで産まれた妖怪だったよな?

 だとすればこのレベルの恨みも怒りも納得ではあるが……。元々俺も人間だからコレが過剰だと思うのか?まぁ嫌いなのはよく分かった。


「そうか。悪いな長々と聞いてさ。……そりゃ嫌いにもなるわな人間が」


「……ん。だからボクは人間が嫌い。……そう言えば、金華はどうなの?」


「えっ、俺?いや俺はまぁその……。人間に関してはどうでも良いって感じかな」


「そう」


 あー……!ここで余計な事を言ったら絶対に面倒な事になる……!

 今の俺は妖怪だし、銀子は純粋な妖怪だからまぁ大丈夫だろうけども、なんかの拍子に人間だってバレようものならヤバイよ。襲い掛かってくるかもしれんぞ。


「そ、それよりホントにアレで最後なんだよな?」


「ん。……これからはお姉……姉さんと一緒に生きるよ」


「そうか……。まぁそれならいいさ。別にお前も積極的に人間と関わりたい訳でもねーだろうしな」


 にしてもこの辺にも機械が沢山あるなぁ。俺がいない間に増えたみたいだな?

 今やトウキョウは機械大国って言われてるみたいだし、この辺りも沢山の機械があったんだろうなぁ。


「やっぱりトウキョウ行ってみてーな」


「そう?」


「やっぱり機械とか面白そうだし?けど今はまだ弱いし行けないだろうけど」


 それにしてもマオは初めて会った時無口だなって思ってたけど、喋ってみると案外おしゃべりだよな。やっぱりちゃんと会話しないと人ってわかんねーもんだな!


「お、そろそろマヨヒガだぞ!」


 そうこう言ってたらもうマヨヒガに帰ってきましたよ!と言っても外は真っ暗、夜って感じでみんな家の中に入ってる。全然声とか聞こえないから寝てるのかな……?

 まぁ確かにやたらと眠いけどな。


「しかしまぁ疲れたなぁ。どーせ爺さんの刀もまだまだ出来てないだろうし俺もう寝るわ!」


「……ん、了解。ボクはマヨヒガを見回るから先に寝てて」


「あぁ分かっ」「おかえりなさいましお姉さま~!!!」


 ハイネの家に帰って早々、銀子が突っ込んで来た。なんかやけに疲れているので避ける事も受け止める事も出来ずに押し倒された。デカい胸が俺の顔にブチ当たる。

 どうでもいいけどデカい胸は凶器になる。顔が痛いッス。


「どうしましたお姉さま?元気がないようですわよ?……はっ!もしや誘い受けと言う奴なのですわ?!でしたら銀子、お姉さまを受け入れますわよ~!さぁ!さぁ!!!」


「えーい胸を揉むなッ!耳もモフモフするなッ!……それよりなんか眠くねーか?」「銀子は大変元気ですわ~!!!」


 ホント元気だなぁコイツは。俺はなんかやたらと眠いって言うのにどこからその体力が湧いてくるんだか。そこだけは見習いたいものですわねぇ。


「ハイハイ……。悪いけど飯は今日いらんわ。寝るからな」


「ですわ~!?せっかく銀子が丹精を込めてお姉さまの為に作ったんですわよ?!せめて一口だけでも~!」


「悪いな。明日食うからさ……」


 うーむしかし妙に眠い。最近は妖力の操作も覚えて来たからなのか、凄まじい眠気は無くなって来たはずなのだが。とても眠い……。この状態で銀孤が襲ってきたらホントにヤバいな、鍵はしっかりかけて……。


「鍵ヨシ!──さて寝ますかね」


 な、なんか立ってられないくらい眠いんだが?これ、これおかしいよなぁ?

 やばいいしき……。が……おちる


 ◇


 ……はうあっ!?今何時?!とりあえず朝って事は分かるけど!


「そんなに疲れてたかなぁ俺……、うわぁっ爺の家が燃えてるッ!!!」


 窓開けて目の前に即火だ!びっくりしたわマジで!あの爺さん何やってんだ!?はよ消火しに行くぞ!鍵を開けてる暇はねぇ窓から飛んでいく!


「おい爺さん無事かー?!」「ぬ……?ぬおぉっ!?燃えておるっ!ワシの炉が!作品かたなが!」


「……わ。燃えてる」


 おっ、マオもやって来たみたいだな!良いから早く手伝えって!見ろよ水を賭けてみてるが文字通り焼け石に水だぞ!


「ボクは皆を呼んでくる」


「そうか!わかった早く呼んできてくれよ!!!」


 あわわっガッツリ燃えてますよ!炉の火を止めてから寝るべきだろオッサン!

 しかしひっでぇ燃え方!あーあ全部燃え散らかしてるぞ!!!ここが他の家に近くなくてよかったなぁ!ホントに!


 その後住民総出で何とか火は止められたが……。爺さんの家はボロボロ刀はドロドロ。まだ燃えてるけど釜の中に入ってるので一旦放置。これに水かけたら水蒸気爆発するって言われてるしな。


「ぐぬぬ……。しかしワシの製造していた貴様の刀は無事じゃ。これだけは不幸中の幸いじゃな……」


 んでドロッドロに溶けた鉄の塊から爺さんが俺の刀を取り出していく。

 一応原型が無い程ドロッドロだけど無事らしいが……また打ち直しらしくかなりガックリしてた。かわいそ。


「しかし結構な人数集まったな。もう火は消えたから大丈夫だぞー!」


「……あれ?姉さん……は?」


「え?あぁそう言えばいないな。……と言うか、銀子もいねーな?」


 辺りを見回したが確かに銀狐の姿が見当たらない。普段なら俺の側にすぐさまやってくるはずだと言うのに。


 マオ曰く確かに全員ここに呼んだらしい。らしいのだが、そこにハイネと銀狐の姿は無かった。寝てるのか?とも思ったが、考えてみればハイネは超早起き。起きてたら確実にここに来るはずだし、そうでなくともマオは皆を集めたって言ってた。


「……じゃあ、お姉ちゃんはどこに行ったの?」


「うーん、どうなってんだ……」


「おい。……お前ら」


 そう考えていた時だった。

 俺らの後ろからいきなり知らない男の声が聞こえてきた。咄嗟に振り向くとそこには1本の角が生えた巨大な男がそこに立っていた。


「……誰だ?!」


「俺は『鬼牙(オウガ)』。……お前らの姉は俺が預かっている」


 ……出てきていきなり何言ってんだコイツ?!


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