15話:あんまり聞かない方がいい事
「ふぅ……。に、二割くらいは出来るようになって来たぞ……!」
刀を振るう事約五時間。
大体五十本くらい廃棄物にしつつも、何とか武器として振るえる程度に妖力を流す事が出来るようになった。
ちなみにここまでで数時間かかってます。クソッ天才の俺でもここまで時間がかかるとは……!とは言え当初の十年かかるってよりは早く出来ると思う。
一度コツを掴めばこんなもんよ……!
「お姉さま!何をしていらっしゃるのですわ?」
「ん、銀狐か。……何持ってんだ?」
気が付けばもう夕方、銀狐も心配になったのか俺の所へやって来た。
──何故か手に壊れた頭だけの絡繰り弁慶を持って。
「なんでお前それ持ってんだ?」
「ですわ……。マオ様が処理しておけと言ってきたのですわ」
「どんだけいるんだよソイツ。と言うかまた壊してるのかよ」
真面目に何体作ったんだよここにいた奴らは。そりゃそんだけの数が一斉に反旗を翻したらここにいる奴らも全滅するか……。
「どうもハイネ様も止めて欲しいようですわ。大怪我したら大変だと申しておりましたし」
「そりゃなぁ……。仕方ない止めてくるか。で、そのマオは今どこに?」
「マヨヒガの外にいるようですわ」
と言う訳でマオを探してマヨヒガの外へ。マオは結構強い妖力を持っているので、遠くにいても妖力の流れて感じ取る事が出来る。
どうやらアキタにいるようだ。全く何をしているんだか。
「さてと、会いに行くとしますか」
走って約30分、かつてのアキタだった場所に俺はやって来た。
正直ここに来るのは非常に怖い。何故ならここにはナマハゲと言う激ヤバ妖怪がいるからだ。
そりゃもうナマハゲってのはすさまじく強く、特に悪い事をした相手に対しては非常に強くなりメチャクチャにしようとしてくる。
そしてその基準はガバガバどころかスカスカ、完全懲悪の末路であり夜中に飯食っただけで即座に敵判定して殺そうとしてくると言う野蛮っぷり。
なのでそんなに近寄りたくないんですよねこの辺。
「とは言えわざわざここに来るって事は何か用があるって事で……」
マオはマジで何考えてこんな場所に来たんだ?ナマハゲ以外にこんなところに来る意味がないだろ。
「お、マオだ。おーい何やってんだー」
「ん、金華」
「全く何を……あれーッそこに転がってる奴はナマハゲじゃねーか!?」
「邪魔だから殺した」「そんな野蛮な……」
えぇ……。ソイツ確かクソ強かったはずなんだけど?でもちょっと傷ついてるから多少苦戦したみたいだな。傷ついてるの服だけだけどな!
「大体ここに何があるってんだよ」
「……絡繰弁慶の工場」「え?」
「トウホクの主要都市にあった絡繰弁慶の工場。ボクはそれを全部破壊する為に来た」
えぇ……。そんな事あるの?この辺に?アレの製造工場とかあるの?
じゃこのナマハゲ君はそれを守る為にここにいたんじゃないの?ねぇどうなのよマオさんよ。
「コイツ殺してよかったのかよ?」
「人間に味方するような妖怪なんていない方がマシだ」
わぁおエゲつねぇ眼してますよこの子。ガチでそう思ってるからタチが悪い。人間嫌悪者かよ。
……しかしここまでの憎悪、一体こいつの過去に何があったんだ……?
「……なぁマオ。俺も一緒にその工場の破壊手伝うからさ、代わりに……なんでそこまで人間が嫌いなのか聞いてもいいか?」
「……。良いよ」
良いのか。
歩く事数分、俺らは工場にたどり着いた。あ、ちなみにナマハゲの霊魂は食っておきました。これでも式上がらんの何?俺の限界はここだって言いたいのか?
とりあえず工場の窓から中を除く。中では何やら仰々しい機械が絡繰弁慶を大量生産していた。あんなふうに生まれるんですかアレって。
「わーお無人工場。どういう原理でアレ作られてんだか」
「ボクにもわからない。けど、周囲の土からアレらは作られてる」
「じゃエクソシスト連中が使う自立型土人形みたいな感じか」
土で歯車とか作れるのか?とか思ったが、だからこそここらの絡繰り弁慶は弱いんだろう。あの最初に出会った奴がやたらと強かっただけで。
俺も人工式神には詳しくないが、人工式神には利点と欠点がある事は知ってる。
それは妖怪としては《《式がまるで上がらない》》と言う事だ。
どういうことかと言うと、通常陰陽師が式神契約を結んだ妖怪は霊力を与えて強化する事が出来るのだ。
だが人工式神にはそれが出来ない。つまり育てて強くするとか出来ないって事だ。
しかしメリットもある。それは作った瞬間からそれなりに強いと言う点だ。それこそ四十式以上の強さを持たせる事も出来るみたいだしな。
だからこそこうして量産してたのだろうが……。残念、最近知ったが式が高い=強いと言う訳ではない。故に二倍以上の式差があってなお俺に負けるんだ。
「あの機械を壊せば活動は停止する。コレでこのトウホクにある忌々しい絡繰弁慶製造装置は……。完全に破壊される」
「了解!なら周りの絡繰り弁慶は俺が倒しておくからよ!」
機械の周辺には絡繰り弁慶が護衛みたいな感じで立っているが、効率の良い妖力強化を覚えた俺にとってはザコも同然!
窓を蹴破り近くにいた絡繰り弁慶をそのまま蹴り飛ばして~思いっきりブン殴るッ!
「うひょぉまとめて一撃!?俺も結構強くなったのかもな!」
「違う。それが金華の本来の強さ。ボクが教えたのはそれを引き出せるようにしただけ」
「あぁそうなのか……。じゃあボコってやるよッ好き放題になぁ!」
もはや絡繰り弁慶など一撃で粉々に出来る程、今の俺は妖力操作を完璧にこなせるようになったんだよ!
水の上を歩く際、足に妖力を纏わせてただろ?アレを応用し俺の拳に妖力を纏わせればそれだけで俺の拳は鋼鉄のように固くなるのさ!まぁ常に覆っていると妖力がすぐに燃料切れするんだけどね(笑)
「オラオラ!邪魔だぞお前らッ!」
どれちょいと面倒だし……このまま妖術も食らいやがれッ!
「ってアレェ?!狐火君強くない?!」
狐火を使ってみたら目の前にいた絡繰り弁慶くんがみんなドロドロに溶けおったわ!
なんだいきなり火力が上がったぞ?!これも妖力操作を覚えたからなのか……?!
「ねぇ!なんか妖術の火力もあがってんだけどコレ何?!」
「え。……それは知らない」「知らんの?!」
い、いきなり怖くなって来たなぁ~。でもまぁやってる事ってのは結局のところ俺が使ってた霊術と同じでしょ?って事はほとんど同じように強化が出来るって事でしょ?
つまり俺の中の妖力もまた上がっていると言う事か……?んーまぁいいや!強くなったのならそれに越したことは無いし!
「で!?マオ工場破壊出来た?!」
「もうちょい」
と言うか結構時間かかってな~い?そんな固いんその機械……あぁボコボコにボコってるわ。凹み過ぎて中で絡繰り弁慶詰まっちゃってるんじゃないの?
「ふぅ……。『猫邪・嵐』ッ!!!」
何その技!妖力で強化した体で殴る技よね!?見てほら余波で物凄い風が吹いてますわよ!俺が食らったらまず違いなく死にますね!
「すげぇなその技!俺も出来るかなぁ!?」
「頑張ればその内出来るようになる」
「そっか!」
さーて絡繰り弁慶製造機械も完全に破壊されたところで~?帰り道歩きながらマオの過去に関して聞かせてもらいましょうかね。
「さてと。じゃあ聞かせてくれよ、帰ってる間だけでいいから」
「ん。……ボクがなんで人間が嫌いか、教えてあげる」
まぁコイツから感じ取れる人間への怒りの感情。それを考えれば大体何があったかは分かるはずだが……
「《《ボクの家族は皆人間に殺されてるから》》」
うわぁ……。だろうとは思ってたけど実際に聞きたくなかったなぁ……。
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