11話:修行回って奴
「──もうへばってる?」
「ゼー…ゼー…。う、うるせぇ……」
マオと共に獣を狩りに来て数時間、全然応えていないマオに対して俺はと言うと疲れ果てていた。
確かにかなりの量走ったし、畜生共を追いかけてそれなりに動きはした。だがしかしそれにしたってマオが疲れていなさすぎる。
「大体……!なんだってお前はそう疲れてないんだ……!」
「……それを説明するには時間がいる。まぁ後で教えてあげる、妖力の使い方」
そう言って悠々と獣の解体を進めていくマオ。こっちは息を整えるだけで手一杯だと言うのにどんなスタミナだ。
しかし妖力の肉体強化術、バカみたいに妖力を消費するから疲れるんだよなぁ……。
「よし、解体は終わったから帰ろ」
「あぁ……」
結局俺はマオの半分すら獣を狩ることが出来なかった。と言うか全体的にこの辺の獣強くね?デカいし。
それを抜きにしてもマオは素手で狩りをしてたから言い訳もできないし。
「今日の収穫。よろしく」
「あ〜ありがとうね!んじゃこっちで処理しとくからね!」
「ん。また取りに来る」
んで狩った肉は肉屋に置いて行き、俺はマオに連れられて修行場にやって来た。目の前にはデカい滝。多分コレで滝行をするのだろう。
そしてマオは案内し終えると俺の方を向いた。
「さてと。じゃ、教えてあげようか。ボクと金華の違いを」
「あぁ。休憩もしたしな!」
んで何をするのかと聞こうとしたら、マオはその辺にあった木の枝を拾って図を書き始めた。ただ凄まじく絵が下手なので半分くらいなに書いているのかは認識できなかったが。
「まず第1に……。ボクと金華の妖力の差を教えておく」
「そういえばお前式は幾らだ?」
「29」「あれっそんなに差がないような?」
一応胸を見たけどちゃんと二十九だった。おかしいな?こんだけ強いんだからもうちょい高い式かと思ってたんだけど。
「で、妖力の総数的には……。ボクが100と仮定するなら金華は80くらいかな」
「あれ?10も違うのにそんなに変わんねーのか?」
「でも問題はそこじゃない。重要なのは……妖力の使い方」
そう言うと、マオは自分の手に妖力を集めていく。俺でも出来るわ!と言いたくなったが、マオの方が妖力の漏れがなく丁寧だ。
「確かに金華は全力で80の力を使えるけど、今実際に使えるのはせいぜい……10くらい」
「10!?」
俺そんなに実力を引き出せてないの!?
しかしそんなに酷いのかね?一応俺だって妖力が見えてるんだし、妖力の流れもちゃんと理解しているはずだが……
「見れば分かる。……今のボクの妖力はどのくらい見える?」
「え?……手に集めてる感じ?」
「はずれ。正解は全身に張り巡らせてる」
マジ?
──確かによくよく見れば薄く全身に妖力のオーラが見えるような気がするな。けど集中しないと見えない位の。
「まぁ確かにそうらしいが……それが?」
「そしてこれが今の金華の状態」
……いきなり駄々洩れになった~!
え?!俺こんなにバカみたいに妖力を放出してた訳!?そんな事ある?!全部行ってるじゃんか!
「見ての通り。今の金華は穴の開いた金桶で水を汲もうとしてる感じ」
「あ~ハイハイそりゃ土台無理な話だわ。少しは出来るだろうがな持続も持たないだろうし」
「ん。だからまずは……これ」
なるほど。それはまぁ分かったんだが……なぜに滝行?
言っちゃあ悪いけど滝行とかただただキツいだけで何の意味もないクソみたいな苦行やぞ。
「……顔に疑問が出てる」
「え?!いやまぁ……そうだろ。だってなんで滝行するんだよ」
「説明するのも面倒。今からやるから見てて」
「あっはい」
しかしまぁ実際問題こんな滝で何をするつもりなの?あぁ滝まで歩いて行くんだ。下にわざわざ足場に出来る石も置いてあるし、ガチで坊主が滝行をする感じの奴じゃん。
……で、そこからどうするん?あぁ滝に突っ込んで……?!
「え?!」
た、滝を無手で割りやがった……!
どうなってんだ?!なんで滝を割れるんだ?!
「よく見て」
「えーっと……?あ、放出する妖力だけで滝を割ってるのね」
「ん。まずは妖力の放出から始める。だからコレ」
「なるほどな!けどそればっかりやってると更に放出癖がつくんじゃ……」
「大丈夫。最終的に全部操作できるようになるから」「そうか……」
とりあえず言われるがままに滝行をする事に。
と言っても妖力の放出ってんなら俺もそれなりに出来るんだぞって事で!行くぞ~!!!
~三分後~
「オボボボボボ……」
「……大丈夫?」
「はうあっ!溺れるところだったわマジで!」
「今回も3分持たなかったね」
滝行をする事約三十分、俺は何度も溺れていた。
いやね!聞いてくださいよ!今やってる事って考えてみれば妖力を全部放出するって事なんですけど、妖力ってなくなると一気に疲れるの!
んで、放出しきっちゃった結果がコレ!水底に沈みかけたよ!その度にマオが俺を拾ってくれる……。ありがたい話で。
「と言うかマオはどのくらい出来るんだ?」
「ボクは最低でも30分かな。慣れてるって言うのもあるけどね」
「そうか……。マジでキツいこれ」
「でもやらなきゃ強くなれないよ」「だよなぁ」
現状俺はとても弱い。いや絡繰り弁慶に勝ってんじゃんと思うだろうがあの時は妖刀とはいえ武器ありの状態だったからノーカンだ。アレは持ってるだけで妖力を増量させてくる武器みたいだし。
……でも妖刀だから一々抜かせようと無意識的に操ってくるんだよなぁ。メリットに対してデメリットが見合ってませんよ。
「じゃあボクはおね……姉さんの所に行くから、しばらくそれやってて」
「その前に濡れてもいい服持って来てくれん?」
◇
「ふんぎぎぎぎぃ~!!!!!」
「おぉ。頑張ってる」
マオが服を取りに行く間、俺は更に数十回くらい滝に押し流されつつも若干なら滝に抵抗出来るようになっていた。次第になんかコツ?みたいなのを掴んだのか、多少上手く出来るようになって来たって感じ!
「どうだ!5分は出来てあががっ」
「おー……」
まぁ相変わらず溺れる事になるんだがな。シンプルな液体に押し流されてそのまま滝壺にブチこまれる。ちなみに、今の時間はどの程度出来てたか聞いたら一分も出来てなかったって。マジかよぉ。
ひとまずマオが持って来た服(濡れてもいい奴)を羽織って滝行が出来たことを自慢してみる。
「それで?結構できるようになって来たけど」
「ん。でもそれは前提だから」
「……意外にお前って毒を吐くよな」
確かに今はマオの半分も現状できていないが、だからといってそんなに言う?と思ったがマオは俺に更なる修行をつけてきた。
指を指したのは先ほどまで滝行をしていた場所の隣、更に深い滝壺がある場所だ。遂に足場の石すらない場所な?
「じゃあ大体10分耐えられるようになったら……次は、あそこで滝行して」
「……いやいや。あそこは足場も無い場所じゃん。ムリじゃん」
「じゃあ見てて」
俺が無理だろと思っていると、マオはそれが当然かのように水の上を歩き始めて先ほどのように滝を割り始めた。
この時点で俺にやらせたいことは理解した。したけども……
「どうやって水の上に乗ってんの?!」
「妖力を足にガーって集中させてる。その状態で頭の上へ妖力をバーって放出する」
「俺まだまともな妖力操作も身に着けてないんですけど!!!」
あっ無視?!お前今俺の事無視しやがったな!?露骨に顔をそらすな!俺の方を見やがれ!後なんだその説明は!お前割と説明ヘタなところあるよな?!
「最終的にはこの30分の砂時計が落ちるまであそこにいてもらう」
「嘘!?過酷教育!鬼!マジかよ!」
それが出来る状態じゃねーから教えを乞うてるのにそんな事言われましてもねぇ~!!!コイツ意外ともの教えるの下手だな!?
「マジ。最初は一分も出来ないだろうから安心して良いよ」
「どこが?!ま、まぁここは一つ試してみるべきだろう!……溺れたら助けに来てくれよ!」
「良いからいけ」
「わーっ……」ドボーン
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