10話:泥酔いもふもふ
「うにゃ~……。そう言えば二人はどこから来たのにゃ?」
風呂場で意気込んだけどそれはそれとして風呂はゆっくり入ります。
んでゆっくりしてたらハイネが顔だけ出しながらゆるゆるとこちらにやって話しかけてきた。……どうでもいいけど巨乳って水に浮くんだなぁ。
「俺はキョウトから、銀狐はニイガタからだ」
「ですわ!……そう言えば銀狐達の名前は教えていましたわ?」
「にゃ!そういえば聞いてなかった気がするにゃ!」
ひとまず俺と銀狐の名前を教え、その後はマオが持って来た熱燗を片手に駄弁る。
「しかし酒もあるのかこの辺」
「にゃ!コレはアタシが作った猫殺しって言うお酒だにゃ!」
「自分で猫殺しを作るなよ」
とは言え熱燗自体はかなり俺好みのガツンと来る酒だったのでガバガバ飲んでしまった。後で聞いたんだけどコレ地味に度数が高いらしい。平均的なヒノモト酒より10度も高いんだってさ。
そうするとどうなるかだって?
「お姉さま~!しっかりしてくださいまし~!」
「う~ん天地がひっくり返ってみえる~!お?この壁はなんだ!?」
「ボクの胸だよ」「あーこれはイカンのにゃ。マオ!客間に連れて行くのにゃ!」
「ん」
顔真っ赤にひっくり返って無様を晒すのさ。
そしてそれ以降の記憶は覚えていない。目を覚ましたのは布団の上だったしな。
「はうあっ?!……酔っぱらったか?」
目覚めてすぐに周囲を確認し、目の前に置かれた服がある事に気が付いた。
多分だけど子供用の服だろう。着物みたいな服と……ふんどし。ふんどしって。
──言ってやりたいことは沢山あるが、前まで来てたゴミよりはマシである。少なくともギリ布と言えるアレよりは。
そんな訳でそれを着て、その隣に置いてあった水を飲み。二日酔いで痛む頭を抱えながら階段を降りる。一階には銀狐ら三人が朝食を取っていた。こっちに気が付いたら即座に銀狐がこちらに駆け寄ってきましたわ。
「あ、お姉さま!大丈夫ですわ?!」
「まぁな……」
「あの後は本当に大変でしたわ!お姉さまが銀狐に抱き着いてモフモフし始めて……」
「え?!俺そんな事したの!?」
「そして激しい一夜を……あふん」
「ボクの布団に寝かせた。……なんかコイツやましい目で見てたから」
「あぁスマンありがとうな」
危ない危ない……。最近分かったけど銀狐は俺の事を割と性的な目で見てるフシがある。別に性癖をどうこう言う気は無いけども、手を出されるのはちょっとね……。
「とりあえず今のところは……マオみたいに武器が欲しいんだよな」
一息ついて落ち着いたところで、俺が使えるような武器が欲しいとマオに言ってみた。
実際問題俺がいくら妖力で肉体を強化したところで、手刀が本物の刀になる事はない。やっぱり手堅く使える武器が欲しい所なのだ。
「ん。じゃあオジサンの所に案内するね」
「では銀狐もお姉さまと……」「銀狐ちゃんはアタシと一緒に来てにゃ~」
「あぁんお姉さま~!」
ズルズルと引きずられていく銀狐を放っておいて、俺とマオは武器職人がいる家へと向かう。道中俺の事を怪訝な表情で見てくる妖怪が何人かいたが、目線は気にせず家の中へ。
「おい爺さんやってるか」
「あぁん?!マオか!なんだワシの作った武器を壊したのか?!」
マオが爺さんと言った奴は背中から手が六本も生えてる、なんかクモみたいなオッサンだった。顔の堀が深いタイプのオッサンだな。
で、オッサン以外には炉と大量の武器がある。多分コイツが作ったんだろう、それにしちゃ箱とかに入れずに投げ捨ててるのはどうなんだと思うが。
「違う。ボクの……友達?知り合い?まぁいいや、武器を作って欲しいって言うんだよね」
「はぁ~オイこっち来い来い!そこの狐!」
「ハイハイ……」
近寄ってみるといきなり俺のほっぺたを掴んでムニムニしてきやがった。引きはがそうとするがまるで歯が立たない。
式を見れば六十式と言うそれなりに強い式をしている。
「うー!何をするぅ~!」
「ふん!及第点スレスレだがまぁ良いだろう!」
今の行為にどういう意味があったのかは分からんが、武器を作ってくれる様子。
周囲に散らばっている大量の武器を炉にくべながら質問を投げかけてくる。
「で?どういう武器が欲しいんだ?」
「まぁ刀とかが欲しいかな」
「刀!?ワシに単なる刀を作れと?!つまらんな!どうせなら閃光とか出せるようにするのはどうだ!?」
「出してどーすんだよ出して」
「何!?ビームは男の浪漫だろう!?大体本来ならマオの持っているそれにもビーム機能を付けるつもりだったのだが……」
「炉萬爺、そう言うの良いから」
このロマンとか言う爺はだいぶアレそうだ。ただ色々言いたいところを噤んで許可しても構わない程度には強い武器を作れる様子。
なので俺もマオに学びビーム以外には口出ししない事にした。
「全く最近の若いのはビームを出そうとせん!これだから鍛冶屋が廃れていくのだ……(ブツブツ」
「それでどんな刀なんだ?今作ってるのは」
カーンカーンと先ほど炉に溶かした鉄を打つ音が響く。俺はこういうのに詳しくないが、六本もある腕を全て使って打つほどに固い鉄なのだろうか?
そう思って質問してみると、首を180度曲げてこちらに振り向いて来た。
「ん、これか?これはそうだな……。斬撃を飛ばすことが出来る刀だ!」
「はぁ」
そう質問に答える爺さんの目は爛々と輝いていた。まるで新しい玩具を見つけた子供の用だ。ただ言ってることがよく分からない。実際使えばわかるんだろうがな。
「飛ばしてどーすんの?」
「使い方は貴様が考えろ!あと出来上がったのなら名前は貴様が決めるのだ!名は重要だ、全てにおいてな!」
「はぁ……。まだ出来ないんだろ?」「無論な!」
「ならしばらく考えるわ」「それもまた一つの答えよ!」
武器の名前ねぇ……。
と言うかマオが持ってる名前って猫が付けた名前だったの?結構中二病入ってる?
「……。格好いいじゃん」
「いやまぁ良いけどよ」
どうも俺がどういう目で見たのか感じ取られたのか、ハンマーを我が子のように抱くマオ。別に悪いとは言って無いだろ!いい加減にしろ!
まぁ良いとも言わないけどな。
「じゃまた来るからよオッサン」
「出来たら連絡するわい!」
と言う訳で外へ出て、今度は猫と一緒に食料を取りに行く事になった。
一応ここでは畜産と農産が行われている。農産はともかく畜産はそれほどマトモに出来ていないようで、仕方ないので俺らみたいに戦える奴らが猪とかクマとか狩に行くのだ。
「しかしここって何人くらいいるんだ?」
「二人増えて99くらい」「だいぶ妖怪がいるなぁ」
「ん。みんな戦いから逃げてきた。だからボクたちが代わりに戦う」
「そうだな。なら早速熊狩りと行きますかね!」
まだ鍛冶は終わらないようなので、マオと一緒に狩りに行くぞ!
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