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49 戦闘の後


ザックさんに ”この先に六人の敵が待ち構えている” と報告した時、それを聞いたエリザベートさんも戦闘に加わると仰った。


「和真は剣なんて使った事無いでしょうし、ましてや戦闘なんて経験ないんでしょ? 私はこれでも辺境伯令嬢。幼い頃から自分の身は守れるようにと剣術もそれなりに習得しているわ」

”えへん” とでも言いた気に胸を張ってエリザベートさんが提案した。


「お嬢様だって実戦の経験は無いのでは? それに今はドレスをお召しになっておられるでしょ。いざとなった場合はやむを得ませんが、此処は騎士の皆さんと俺に任せて下さい」


「和真のくせに襲撃者の相手が出来ると思っているの⁈」

「 ”和真のくせに” ってのは良く分かりませんが 何にしても暫くは侍女達と馬車から様子を見ていてください。余計な怪我とかを負わせてしまったら俺がロベルトさんに会わせる顔が無いです」


そんなやり取りの後、戦闘になったのだがエリザベートさんは馬車の中で窓越しに大人しく見守ってくれていたのだろう。ケリがついたのを確認するように、静かに開いた馬車の扉の隙間からそっと顔を覗かせた。


「敵は全部片づけましたから安心してください。もう大丈夫ですよ」

俺がチャリの横に立ったままそう言うと パッと明るい表情になり勢いよく開いた扉から飛び出して来た。


「和真、お疲れ様!」

「倒したとは言え油断は禁物ですよ。まだ何か手の内を隠している可能性もありますから」


「これから拷問して色々と吐かせるのね! どんな企みでこの私の馬車を襲ったのかしら? ちゃちゃっと吐かせちゃって頂戴」

「それはザックさん達の仕事ですよ。俺は此処でもう少し警戒しておきますからお嬢様は馬車に戻ってください」


この世界に来るまで剣を振り回す人なんて見た事なかったし、捕まえた襲撃者を拷問だなんて…… どんな方法を使うんだ?

ナイフを突き付けて脅すとか? 生爪一枚ずつ剥がすとか? 逆さ吊りにして鞭でシバくとか? それとも正座させて膝の上に乗せる重しの量を増していくとか?

どの方法にしても映画やアニメでしか見た事の無い世界だ・・・


俺の過激な妄想とは裏腹に現実の取り調べは想像していたものとは違って結構甘いものだった…… 残忍な手段は必要は無かったようで逃げられない様に縛り上げたうえで ”此処にこのまま置き去りにする” といって脅しただけでぺらぺらと黒幕について話し出した。


「デルク男爵家に雇われている者だ。方法は任せるからウェストン伯爵家の令嬢が選定の儀に参加できない様に妨害しろと命を受けた。 

デルク男爵令嬢を第二王子の婚約者にするために動けと……」


「エリザベート様以外にも男爵家より高位の候補者はいらっしゃるのだから当家の妨害だけしても今更婚約者の座を狙うのは不可能な事は明白だろう?」


「それでも第一候補さえ失脚させればまだ望みが有るとのお考えだ」

「魔物が襲ってきたのもお前達の仕業か? デルク男爵自身の命令なのか?」

「そうだ。男爵様から命を受けての襲撃だ」


「 ーーー 領地も持たない単なる男爵家風情が 辺境の地の守りを任されている騎士団を持つウェストン伯爵家相手に こんなお粗末な戦略で勝てる訳が無いだろう。デルク男爵は何を考えている…」

「可愛がっているお嬢様の事しか頭に無いのです」

「甘やかして育てた結果が一連の騒動を引き起こしたのだろ?

いい加減目を覚まさないと…… と言ってももう手遅れだな。今回の件が公になれば男爵家は取り潰しを免れない。聖女様第一候補の伯爵令嬢を亡き者にしようと企てたんだ。覚悟しておけ」


「そ、それは…… こうなってしまったからには申し開き様も無い。だが、こんな僻地に何も持たないまま置き去りにされたら…… 帰還するにも何の術もない。頼むから馬だけは置いて行ってくれ」


そう嘆願されたが 本来切り捨てられても文句は言えない立場だろう。


「此処で命まで取られ無いだけマシだと思え。仕えた相手が悪かったと同情しての事だ。当たり前の事だが王都に着いたら伯爵に報告する。近いうちに国から沙汰が下りる事になるだろう」


そう言ってその場に襲撃者達を残して彼らの馬だけを引き連れその場を後にした。

何も持たせず置いて行くのは残酷なようだが、六人もの賊を連れて旅を続けるには足手纏いになる上に危険だ。かといって騎士たちの独断で捌きを与える事など出来ない。

証拠の品とする為と更なる危険を回避する為に彼らの持っていた武器や金品を没収してから解放したのだった。



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