12章
誤字脱字報告よろしくお願いします。
1
制御訓練は、地下演習室で始まった。生徒会専用区画。外部回線は遮断済み。
「今日は出力を三十%に制限する」
月城彩葉が淡々と言う。
「三十であれか」
「百にしたら医務室が足りない」
冗談に聞こえない。俺はヘッドセットを装着する。深呼吸。演算、開始。
2
仮想空間。白い盤面都市。敵は五名。条件は“被弾ゼロ制圧”。無理難題だ。
(……来る)
視界が割れる。右側に一つの未来。左側に、もう一つ。
右。俺が前進、二人撃破。だが三秒後に背後から被弾。
左。待機。味方が一人落ちる。だが勝率は上がる。
同時に、見える。
「これが……二重未来」
選べる。選んだ瞬間、片方が崩れる。だが。さらにその先が分岐する。無数の糸。脳が軋む。
《同期率:61%》
低い。
(もっとだ)
集中。五手先。十手先。未来が重なり、透ける。敵が射線に入る“可能性”を削る。世界が、細くなる。
「……今だ」
俺は一歩だけ動く。敵の動きが、わずかに遅れる。撃たない。撃つ未来を“消す”。結果。敵は回避行動を取れない。味方の弾が命中。被弾ゼロ。
《任務完了》
3
現実。ヘッドセットを外した瞬間、膝が折れた。夏芽が支える。
「顔色、最悪」
「景色が、うるさい」
今も見える。
廊下を歩く未来。
医務室へ行く未来。
彩葉が何かを告げる未来。
重なっている。
「副作用よ」
彩葉は静かに言う。
「演算が日常に残留している」
「消えるのか」
「慣れれば」
慣れなければ?聞かない。その時。警告音。生徒会端末が赤く点滅する。彩葉の目が鋭くなる。
「外部アクセス?」
画面に表示されるロゴ。鳳凰寺。
「早いわね……」
俺の背筋が冷える。
「異常進化、検知された」
財閥は気づいた。
「監視フェーズから回収フェーズへ移行する可能性がある」
「回収って」
夏芽が声を震わせる。
「白斗を?」
「ええ」
部屋の空気が凍る。俺の視界に、また未来が浮かぶ。
拘束。
研究施設。
再調整。
それを。
俺は、消す。
「来るなら、迎え撃つ」
彩葉がこちらを見る。
「感情で動かないで」
「動いてない」
淡々と。
「選択してるだけだ」
彼女は一瞬だけ、笑う。
「本当に厄介ね、あなた」
端末を閉じる。
「なら、先に打つ」
「先?」
「財閥の内部にいる協力者を炙り出す」
学園内に、裏切り者がいる。未来が、二つに割れる。
裏切り者が判明する未来。
失敗して、俺が捕まる未来。
どちらも見える。選べる。けれど。未来が増えている。
三つ。四つ。
演算が、勝手に広がる。制御が、まだ甘い。俺は目を閉じる。
「……次の訓練、強度上げろ」
夏芽が止めようとする。
「無茶だよ」
「無茶じゃない」
静かに言う。
「間に合わない」
彩葉は数秒、俺を見つめる。
「いいわ」
決断。
「三日以内に裏切り者を特定する」
そして。
「あなたは、それまで壊れないこと」
条件付きの信頼。悪くない。未来はまだ、揺れている。でも。俺はもう、見ているだけじゃない。
――選ぶ側だ。
お久しぶりです。←何回言うんですかね、、
なんと学園内に裏切り者がでましたぁ。
白斗の感情も出しながら物語を進めていきます!




