表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
13/16

11章

誤字脱字報告よろしくお願いします

それは、授業中に起きた。VR戦術理論。シミュレーションは、都市制圧型。俺は端末を装着する。いつも通りの、軽い没入。

――のはずだった。

視界が、深く沈む。いつもより、音が鮮明。空気の振動まで、見える。

(……違う)

敵の配置が、立体的に浮かび上がる。予測線が、無数に走る。味方の移動。敵の射線。三手先、五手先、十手先。全部、同時に。

「白斗?」

夏芽の声が、遠い。指が勝手に動く。指示を出す前に、味方が最適解を取ったように感じる。いや、違う。俺の“思考”が、回線を通して先に流れている。

「……なんだ、これ」

演算が止まらない。

確率。

分岐。

損失計算。

脳が焼ける。敵が一人、倒れる。俺は撃っていない。だが、倒れる未来を“選んだ”。教室がざわつく。

「今の、何だ?」

「指示出してないよな?」

「でも動きが……」

俺の視界に、数字が走る。

《同期率:92%》

知らない表示。

《演算領域拡張中》

嫌な汗が流れる。

(止まれ)

止まらない。未来が、見える。敵が左に回る。いや、違う。回らない。回る未来を、消せる。

――消した。

敵の行動が、変わる。現実が、演算に追いつく。

「白斗、外して!」

夏芽が叫ぶ。ヘッドセットを引き剥がす。視界が、白く弾ける。


医務室。天井が、やけに遠い。

「……過負荷」

月城彩葉の声。

「予想より早かったわね」

「予想、してたのか」

「ええ」

彼女は端末を操作する。

「IFは“予測型”じゃない」

一拍。

「確率改変型よ」

背筋が冷える。

「改変?」

「あなたの脳は、仮想空間内で“選択された未来”を優先する」

「意味がわからない」

「簡単に言うと」

彩葉は静かに言う。

「あなたが“勝つ未来”を選び続ければ、周囲の行動がそこに収束する」

夏芽が、息を呑む。

「それって……」

「兵器よ」

即答。

「だから封じられた」

頭が痛む。記憶の断片。研究員の声。

『この子は、演算で現実を歪める』

『倫理的に問題だ』

吐き気がする。

「副作用は?」

「脳への負担。過剰使用で神経損傷の可能性」

軽く言う内容じゃない。

「止められるのか」

「理論上は」

理論上。

「でも完全制御は、まだ無理」

彩葉が、俺を見る。

「選びなさい」

またそれだ。

「封じるか。使いこなすか」

窓の外で、夕陽が沈む。普通の学生なら、悩む時間がある。でも俺は。

「使う」

即答だった。夏芽が、目を見開く。

「白斗……」

「中途半端が一番危険だ」

彩葉は、ほんの少しだけ満足そうに頷く。

「なら、訓練を組む」

「訓練?」

「確率改変の制御実験」

彼女の瞳が、鋭く光る。

「あなたが壊れる前に、完成させる」

兵器としてではない。

――駒でもない。

俺自身のために。演算は、まだ止まらない。でも今は。

自分で選んだ。

お久しぶりです。1ヶ月くらいでしょうか。

白斗の異能が明かされてきました。

確率系の異能力って強いですよねぇ。(多分?)未来とかに干渉する異能は多々ありますが確率型ってのは少し斬新ではないでしょうか?


次回もお楽しみにくださいませ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ