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ロストテイカー  作者: しータロ(豆坂田)
第二章――第二次典痘災害『下』

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第257話 危険な連絡

 次の日。ついに明日、ハヤマカラ都市近くにある第24中継倉庫に着こうとしていた。その夜、モンスターの処理を終えて仲間と警備を交代した後、ランパードは自室で仮眠を取ろうとしていた。

 柔らかく安全で、暖かいベットで寝れるのはありがたいと思いながらランパードがベットに寝転がる。そして気持ちよく睡眠に入ろうとしたところで、誰かからの着信が来た。


「……」


 面倒だな、と思いつつ仕事の連絡であったら大変であるためランパードは起きて通信端末を見る。着信はクロエからだった。


「……うげ」


 名前を見た瞬間、面倒だなとという気持ちはさらに強くなった。だが立場上、出なければならないため、ランパードは渋々着信に出る。


「はい。ランパードです」

「ランパード。久しぶりだな」

「はい」

「列車の事故は大丈夫か?」

「もう二日前のことですよ、それ」

「あ、そっかごめんごめん。確か報告によると列車の故障と線路の破損だな。大変だったな」

「いえ別に。予定していた三時間で修理が終わったので」

「へぇ。あの被害が三時間で直るのか。確か整備士少なかったはずだが、どうやって間に合わせたんだ?」


 レイとその護衛対象について話しても良いものかと考える。だが彼らは極秘の任務についているとは言え、結局のところ機動部隊の人間なので良いだろうという結論をランパードは下した。


「たまたま通りがかった人が直してくれました」

「ほう。名前は」

「レイと……もう一人、少女の名前は聞いてません」

「レイ?……少女?……それは本当か?」

「え、はい。何かありました?」

「そのレイって奴はテイカーか?」

「確か、そうだったと思います、表向きは」

「……そうか。じゃあ連れの少女はめちゃくちゃに可愛い子じゃなかったか?」

「めちゃくちゃ……え?……まあ所謂いわゆる美少女と言われる部類ではありましたね」

「なんだその回りくどい言い方は」

「別にいいじゃないですか、僕、彼女の顔よく見て無かったんですよ」

「それもそうか。お前じゃあの人は恐れ多くてそのご尊顔を見ることすらできないか」


 ご尊顔? 恐れ多くて? ランパードの脳内に奇妙な情報が溢れ出す。


「先輩。二人のこと知ってるんですか?」

「まあな。それなりに、というより少女の方に関しては知人だ。テイカーの方はそうだな、まあ仲間ってところだ」

「つまりは機動部隊所属だと?」

「まあそういうところだ。経済連所属だな」

「はぁ、そうですか」

「で、二人は今どこに向かったか知ってるか?」

「今、列車に乗ってます」

「……なんで乗ってるんだ?」

「確か……」


 レイ達が生きたいのはクルガオカ都市かハヤマカラ都市か、前に聞いたが忘れてしまった。今更レイ達に確認を取るのも面倒で申し訳ないし、ランパードは一か八かで答える。


「確かハヤマカラ都市に行く予定だって言ってましたよ」

「ハヤマカラ……ということは第24中継倉庫か」

「はい、そこまで乗せて欲しいと。線路と列車の修理、それと彼らの《《事情》》に配慮して乗せましたけど、別に大丈夫ですよね?」

「大丈夫だ。というよりそちらの方がいい。もしお前がそこで拒否していたら、危なかったな」


 ランパードはその仕事上、たった一回のミスでクビになり得る事案というのがそれなりに発生する。ランパードの立場にもなると責任を引き受ける必要があるため、その遭遇回数はさらに多くなる。

 今回もその一つ。基本的には断るのが正解。だが今回の案件においてのみ受けるのが正解だった。また別の事案では断るの正解である可能性もあるし、今回は本当に偶々運が良かった。相手がS-PARに乗っていて、それでいてある程度信頼できる人物だったのが幸いだ。

 稀に何ら情報を与えないでまるで一般人かのような装いをして絶対に了承することのできない要求をしてくる者がいる。本来ならば拒否するのが正解だが、まるで落とし穴、罠のように了承しなければならない場合というのもある。

 もしそこで判断を誤ればアウト。即クビ。

 今回はたまたま運が良かった。相手の事情を察することができたし、提案を気持ちよく受け入れることができる相手と状況だった。


「ちなみに危ないって、断ったらどうなるんですか」

「首を切る」

「概念的に?」

「物理的に」

「ひぇ……」


 『クビを切る』のではなく文字通り『首を切る』本当に選択を誤っていればヤバい案件だった。


「まあそう怖がるな。そうなるのは本当に最悪に最悪が重なった時だけだ、もしもは私も助けるしサンシャも援護する。死にはしないさ」

「いやまあ、それは良かったですけど」

「それじゃあ、すまないが少しの間でいいから二人の動向を追ってくれないか?」

「動向って、僕は中継倉庫で降りませんよ?」

「それまででいい。できればこれからの行き先でも聞き出してくれるとありがいな」

「いや恐れ多くてできませんよ、さっきの話を聞くと」

「はっはっは。すまなかったな。まあやれ。お前ならやれるはずだ」

「はぁ?……はぁ……まあ出来る限りはやってみますよ」


 だがこれで胸がキリキリする案件は終わった。そろそろ通話も終わりだろうしと、ランパードが寝転がろうとする。その時、クロエからもう一つ連絡が入る。


「まあ世間話はこれぐらいにして、まだ電話をかけた本題がまだだったな」

「あ、そういえば、そうでしたね」


 レイと少女のことは別に電話をかけてきた理由ではない。


「明後日から私とサンシャの配属が変更されることになった」

「はい」

「つまりは私が空いた穴に誰かを補完しなくてはいけなくなった。そこでお前を推薦したいと思ってるんだが、どうだ。受ける気はあるか?」


 受けるも何も、クロエがついているのは機動部隊の中でも出世コースとされるエリートの巣窟。担当する案件は西部全体に影響を与えるような大きなものばかり。ランパードには強い向上心というものがないが、それでも給与が跳ね上がったり地位も恩恵も多く受けられる。断る理由は無い。


「え、受けれるなら受けたいです」

「なんだ煮え切らない返事だな。別に他の奴に頼んでもいいんだぞ」

「あ、いえ!僕に引き受けさせてください!」

「よし、いい返事だ。お前は今着いてる任務を終了後、近場にある機動部隊拠点で手続きをしろ。引継ぎについてはまとめた書類を後で送る。見ろ」

「分かりました」

「よし、用件はそれですべてだ。配属先でもがんばれ。それと二人のことを見て置いてくれよ」

「了解!」

「よし、じゃあな」


 そこで通話が切れた。その時には先ほどまであったランパードの眠気は消し飛んでいた。

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