↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天女の笑顔  作者: 時宮のシロ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/9

第4話 勇気を出したの

 少女は母親のもとを離れ、リビングに戻ってきた。

 父親と談笑していた兄が、少女に気づいて手招きする。


「おいで。もう一回撮ろう。もうからかわないから。」


 少女が座る場所を示しながら、兄はどこかおどけた調子だ。

 その様子に、少女は表情を硬くして応じる。


 父親も一人掛けの椅子からソファへ移り、少女を促す。

 少女はおとなしく歩み寄り、兄と父親の間に腰を下ろした。



 兄がタブレットのカメラを起動し、三人を画面に映す。


「じゃあ撮るよ。さん、に、いち……。」

(シャッター音)


【写真】笑顔を作った少女と、優しそうに笑う兄、笑顔の父親。


 少女はスカートの膝あたりを握り、写真の自分を見つめる。


「もう一回。」


「はいはい。さん、に、いち……。」

(シャッター音)


【写真】真顔になった少女と、優しそうに笑う兄、笑顔の父親。


「おい……。笑顔で撮るんだろう?」


 兄が少女の顔を覗き込む。

 少女は顔をそらし、口を尖らせる。


「わかってるよ。」


「おい……。」


 兄が妙に固まった人形のような真顔を作る。

 少女はその顔に耐えきれず、吹き出す。


「ふふっ……! ん!」


 すぐに笑顔を消し、目を逸らして口を引き結ぶ。


 兄はさらにしかめっ面を作り、ゆっくりと少女に顔を近づける。


「ふ! ──やだ。やめてよ、お兄ちゃん。」


 少女は必死に目を逸らし、笑いをこらえる。

 その様子を見ていた父親が、思わず笑い出す。


 少女はつられて笑ってしまい、慌てて真顔に戻す。


 兄はそんな少女に、可愛くてたまらないというように笑い出し、父親も穏やかに笑う。


 ──少女の顔がみるみる引きつる。

 顔を歪めて上を向き、ぎゅっと目をつむる。


「お兄ちゃん、──やだ!」


 ボロボロと大粒の涙が両目からこぼれる。

 止められない。


 家族の前で泣くなんて、いつぶりだろう。

 赤ちゃんみたいで恥ずかしい。


 少女は、声をあげて泣き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。