18話 倒れることすら
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私は、ごく普通の社会人です。
新卒で入った会社に、三年勤めて。
それなりに頑張っていまいた。
頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張って、頑張っていたら、
気づいたときには、うつ病と診断されていました。
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でも。
誰かに頼る、ということが、どうしてもできませんでした。
会社にも、
病院にも、
家族にも。
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大丈夫だと、思っていました。
まだやれると、思っていました。
頑張れば何とかなる、そう思うようにしていました。
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だけど。
気づけば、夜になると――
「死にたい」
そればかり、考えるようになっていました。
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最初は、ただの考えでした。
でも、それはだんだんと強くなっていって。
衝動に近いものに変わっていきました。
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そろそろ、限界なんだと思います。
夜になると、心を締め付けるものが強くなる。
眠ることはできない。
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もし、明日が来ないのなら。
この辛さも、耐えられたのかもしれない。永遠に続く 夜が この心を癒してくれたかもしれない。
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だが、容赦なく時は進む。
朝日は昇る。
その光を浴びた、ほんの一瞬だけ。
心が、すっと軽くなる。
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しかし。
その一瞬が過ぎれば。
また現実が、私を蝕む。
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あの夜を。
あの辛い時間を。
一年、耐えるだけなら。
まだ、なんとかなったのかもしれない。
終わりを想像できるのなら。
まだ、耐えられたのかもしれない。
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だが、これと。
一生、付き合っていくことはできない。
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絶望した。
そして。
そこにあった答えは、ただ一つ。
――死だった。
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そして、今朝。
いつものように、会社に向かって歩いていました。
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信号の前で、立ち止まって。
ぼんやりと、道路を眺めていて。
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……ああ、ここで。
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そう思いました。
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タイミングさえ合えば、
それで終わる。
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最初に頭に浮かぶのは。
周りの人への迷惑。
あるいは、自分への批判。
――事故になれば。
あらゆる人に迷惑をかけるだろうと。
そんな言い訳が、最初に思い浮かんだ。
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そんなものは。
自分が死んだ後には、何の意味もない。
そう分かっていても。
考えてしまう。
無意識のうちに、死を遠ざけようとする。
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仮に、それらを振り切れたとしても。
最後の、その一歩が。
とてつもなく重い。
とてつもなく、怖い。
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自ら死を選ぶ人たちは。
こんな恐ろしいものに、直面していたのか。
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無理だ。
できない。
怖い。
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それが。
私の、最初の自殺未遂の記憶だ。
そうやって家に帰った時、夜にその苦しみが来て思いました。
死ぬこともできない、この苦しみを永遠に味わい 続ける 絶望が。
もう倒れたい もう無理だ もう無理なんです 誰か助けて。
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そうやって3日が経ちました
ただ、少しだけ。
疲れていました。
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「……お姉さん」
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