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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第6章 悲劇の未亡人

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第1話・見送りの列に並び立つ~虚空を彷徨い、意識を飛ばす~

第6章 悲劇の未亡人



     第1話・見送りの列に並び立つ~虚空を彷徨い、意識を飛ばす~



 宿の従業員らに見送られて出発した馬車は、ブルンを出て西へと向かう街道を目指す。



「ねぇ! 見送りの中に、セージとリリーが並んでたの、見た!!」


「…………っ!」



 従業員らから少し離れた後ろの方にいた二人を、目敏く見つけたジャンヌが興奮気味に笑顔を向けると、どういう訳かインスがギシリと固まった。



「………え? どうかしたの??」



 思いもしない反応にジャンヌが首を傾げれば、様子の変化にアインも心配そうに見上げる。



「インスさま……?」



 アインを撫でていた手も止めて、瞬きすらせずに硬直しているインスを見てアインが不安そうに声をかけた。



 けれど、そのアインの声すら聞こえていないのか、真っ青になって微かに震え始めてしまう。



「えっ!? ちょっ!? い、インス??」


「は? え? おい、マジでどうしたんだよ??」



 流石に、その異様な様子にジャンヌもリオンも驚いて声を上げる。



「い、インスさまっ!!」


「……っ!!??」



 目に涙を浮かべて、アインがインスの服の胸元を掴んで揺さぶると、漸くハッと我に返った様子でアインを見た。



「……ああ……すみません……ダイジョウブデスヨ……」


「「いやっ! 全然大丈夫じゃないし!!」」



 何とかいつも通りの表情を取り繕おうとしているのが、ジャンヌにまでわかるほど引きつった微笑を浮かべるインスの声が片言。


 ジャンヌとリオンが力一杯突っ込んで、ますます涙目になったアインがぎゅうっとインスに抱き着いた。



「……スミマセン……ダメカモシレマセン……」


「そう見えるわよ……」


「そうにしか見えないぞ……」


「……………っ」



 虚ろな表情で虚空を眺めるインスの言葉にジャンヌもリオンも力一杯頷いて、アインがぎゅうぎゅうと頭を擦りつけるようにして抱き着く。



 そのアインの頭を、半ば惰性で撫でながらも、インスの顔に生気がない。



「というか、本当に一体全体何があったのよ?」


「……イエ……オツタエスル、ヨウナコトハ、ナニモ……」


「お~い。インス。流石にそろそろ戻ってこい……」



 心配して問いかけるジャンヌには何でもないと返すが、遠くに行きすぎていて説得力がなさすぎる。



 気づけば馬車はブルンの街を抜け、街道に入っていた。



「何もないわけないでしょ! その包みのせい? 何が入ってるの?」


「………サア………」



 呆れたようにジャンヌが言葉を重ねれば、何となく返事は返してくるのだが、反応も遅い。



「インス~? アインが心配してるぞ?」


「…………っ」


「……っ……!!」



 仕方なくリオンが最終手段としてその名前を告げれば、ぎゅうぎゅうと抱き着くアインにハッとしてインスは手を止める。



「…………アイン君……?」


「……いんすさま……」



 視線を落としたインスを、アインの涙に濡れた濃い紫色が心配そうに見上げてきた。



 そうっと、インスがアインを抱きしめて、ゆっくりとその背を撫でる。



「……すみません……心配させてしまいましたね……」



 ちょっと眉を下げたインスの声にきちんと意識が戻って来ていて、ジャンヌたちはそっと胸をなでおろした。



「……申し訳ありません。ちょっと混乱していました……」


「珍しいわね? 何があったのよ?」



 改めて、ジャンヌたちにも軽く頭を下げたインスに、ジャンヌは気にしていない、とでもいうかのように話を続ける。



(……いや、掘り下げるなよ。というか、続けるな……)



 向かいでリオンがちょっと顔を引きつらせているが、ジャンヌは一切気づかない。



 先ほどまでのインスの様子を考えれば、言いたくないどころか思い出したくもないのであろうことは明白。


 それなのに、一切気にしない鈍感力は流石というべきか……



 今は発揮して欲しくない能力ではある。



「……いえ、私もよく分からないのですが……」



 そっと溜め息を吐いたインスがまたちょっと遠い目になった。



「「……? ……」」



 きょとりと首を傾げたジャンヌと、アインの動きがシンクロする。



 その様子に、若干の苦笑いを浮かべて、インスはそっと息を吐く。



「……セージさんとリリーさんから、私とアイン君に、と……」



 チラリと、インスの視線が脇に立てて置かれた大きめの包みを示した。

第1話をお読みいただきありがとうございます。


ブルンの街を後にした馬車の中で、ジャンヌの目撃談をきっかけに、インスが片言になるほど強烈にフリーズ!?


泣きそうになりながらインスを揺さぶるアインと、的確に現実へ引き戻すリオン。


彼らが手にした、セージとリリーからの「謎の包み」が、これから始まる大きな誤解劇の幕開けを告げます。


果たしてその中身とは……?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「こんな時だけ目敏いジャンヌWW」「インス!? マジでどうしたWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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