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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第6章 悲劇の未亡人

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第2話・お礼の品と誤解~詰める皇女と煽る呪師~

第6章 悲劇の未亡人



       第2話・お礼の品と誤解~詰める皇女と煽る呪師~



 まさかの事実。


 インスはセージとリリーからお礼の品を受け取っていたらしい。



「何でっ!!!!」


「何でも何も……直接家に行ったのはインスたちだからだろう……」



 これでもかと大きく目を見開いたジャンヌが心底驚いたように、というより、明確に不満そうに声を荒げる。


 呆れ果てたようにリオンが答えるが、憤慨した様子のジャンヌには聞こえていないようだ。



「一体全体何を貰ったのよっ! 見せなさい!!」


「ひ……っ!」



 怒鳴りつけるジャンヌの剣幕に、びくりと肩を跳ね上げたアインを、ちょっと強めに抱きしめたインスが冷ややかにジャンヌを見据えた。



「……大きな声を出すのはやめて頂けませんか?」


「…………ぁ……」



 珍しく、インスの声も少し硬さを宿す。


 目に涙を浮かべて震えるアインの様子に気づいて、ジャンヌも若干狼狽えた。



「ご、ごめんなさい……びっくりさせちゃったわね……」


(そういう問題じゃねぇ……)



 シュンとして、前のめりになっていた体勢を戻したジャンヌの言葉に、内心冷や汗を浮かべながらリオンがスッと視線を逸らす。



 インスの目に、何というか……危険すぎる濁りが見え隠れしている気がする。



 そっと息を吐きだしたインスが目を伏せ、震えるアインの背をゆっくりと撫でた。



「……その……どうも、色々と誤解があったようでして……」


「「? 誤解……?」」



 呟くように話し始めたインスの言葉にジャンヌとリオンは首を傾げる。



「…………………サスガニ、ソウテイガイ、スギテ…………」


「お、おい! インス!! 戻ってこい!! アインが心配するっ!!」



 また片言になったインスに慌ててリオンが声を上げれば、アインが両手を伸ばしてインスの首に腕を回すようにして抱き着き直した。



「………アイン君………?」


「……インス様、お辛い、ですか……?」



 馬車の中で半分立ち上がるようにして抱き着いてきたアインにちょっと驚く。



「……っ!? 危ないですよ……」



 雪の積もる街道を走る馬車は、いかに皇族仕様と言えどもそれなりに揺れている。


 インスは慌ててアインを抱きしめた。



「アイン。心配なのはわかるけど、ちゃんと座ってろ。お前が転んで怪我でもしたらインスがキレる……」


「「……ぇ……?」」


「……………は?」



 隣から手を伸ばしたリオンがアインの腋の下に手を入れ、インスから引き離し、いつものように背中をもたれさせるような体勢に戻してインスの膝に乗せる。



 ジャンヌとアインがちょっと驚いたように首を傾げ、インスも軽く目を見張った。



「え? インス、キレるの??」


「……キレる……??」


「………………リオンさんは、私を何だと思っていらっしゃるんですか?」



 瞬きを繰り返すジャンヌは、インスがキレることが想像できない。


 首を真横に倒して疑問符を飛ばすアインは、そもそも「キレる」という言葉の意味が分からない。


 そして、極寒の笑顔でリオンを見据えたインスは心外だとばかりに首を傾げた。



「いやっ!! 実際、もし、大きく揺れてアインが転んで怪我したら怒るだろう!!」


「当然でしょう」



 当然なのかよ……



 ちょっと焦って言えば、間髪入れずにインスは言い切る。


 言い切られて、若干呆れたリオンはげんなりとした。



「……ご、ごめ……」


「ああ、怒るのはアイン君にではありませんよ?」



 びくりと震えたアインにとろけるような微笑を向けたインスは、ゆっくりと、優しく頭を撫でる。



「「………え………??」」



 ジャンヌとアインは思わぬインスの言葉に目を丸くするが、リオンは「やっぱりな……。」としか思わない。



 もし、大きく揺れてアインが転んだのなら、そんな風に馬車を揺らした()()()()に対してガチギレするだろう。



 ……不憫が過ぎる……



「よく分からないけど、とにかくその包みはセージとリリーから受け取ったものなのよね? なら、わたしも中身を見る権利があるわよね!!」



 いや、ない。



 話が逸れまくってはいるが、結局のところ、ジャンヌが気になっているのはその一点。



 インスとアインに、と言って渡された物なら、その二人が見ればいいだけで、ジャンヌに見る権利などあるはずもない。



 それに、どうも、インスの反応を見るに、中身を知らない方がいい気がしてしょうがないリオンは、冷や汗が浮かぶのを感じながら、どうやってジャンヌを止めるか必死に考える。



 ここで中身を確認すると取り返しがつかない気がして仕方がない。



「……皇女殿下は、この中身が欲しい、と仰っておられるのでしょうか……?」


「えっ!? そ、そんなつもりはないわよ!?」



 そう思っていたら、何となく死んだような目でジャンヌを眺めながら、インスが口火を切った。



「……いえ、あまりにもお気になさいますし、むしろ、ご自分が受け取ってしかるべきだ、というような仰りようでしたので……」


「ちょっ!? さ、流石にそんなつもりは……」



 言葉を重ねられて、焦ったようにジャンヌは言い訳するが、どう聞いても自分がお礼を受け取るべきだ、という様子だった。



「た、ただ、何を貰ったのか気になっただけよ!!」



 焦って言うジャンヌの言葉は真実だろう。


 実際、平民であるセージやリリーが、いかにもお偉いお貴族様、といった様子のジャンヌに渡せるものなど何もない。



「……それとも、皇女殿下は、平民である彼らから、お礼を貰いたくてプロポーズ大作戦(あのようなこと)をお考えになられておられたので……?」


「だからっ!! 違うってば!!」



 淡々と、言葉を重ねるインスに、大声でジャンヌが否定した瞬間。



「姫様。如何なさいましたか?」



 少し緊張した様子でファンが外から声をかけてきた。

第2話をお読みいただきありがとうございます。


セージとリリーからの「お礼の品」を巡り、馬車内は大騒ぎに!?


大声で詰め寄るジャンヌと、アインを優しく庇いつつ冷徹な正論で煽り倒すインス。


リオンが呆れる中、ジャンヌの声を聞きつけたファンが外から声をかけてきて……?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「お礼の品が気になりすぎのジャンヌWW」「インスの迷いなき『当然でしょう』WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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