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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第5章 皇女殿下のブルン散策

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第9話・無茶ぶりしたのに気づかずに~出発の朝にバスケット~

第5章 皇女殿下のブルン散策



     第9話・無茶ぶりしたのに気づかずに~出発の朝にバスケット~



 翌日の朝。


 宿の食堂レストランでしっかりと朝食を取った後、すっかり珍しいランチに魅了されたジャンヌが、無理を言って軽食のバスケットを命じて(頼んで)いた。



「今日のランチはなんの予定だったの? 毎回すっごく楽しみにしてたのよ!」


「ありがとうございます……お気に召して頂いたこと、シェフにも伝えておきます……」


「……失礼いたします。本日のランチでは野草を用いたオイル煮を前菜に、鳥肉の煮込みと黒角麦を混ぜたパン。デザートにはチーズタルトを予定しております」



 ワクワクとした様子で宿の主人に声をかけるジャンヌと、質問に答えるために食堂の支配人が一礼して一歩前に出る。



「おいしそう!! それをバスケットにしてくれるのね!! 楽しみだわ!!」


「「………………」」



 ジャンヌの頭の中では、宿の食堂で出るようなランチメニューがバスケットになっているようだ。


 そうだとも違うとも言い切れなくて宿の主人も食堂の支配人も沈黙する。



「……お嬢様……流石に、そのままの状態ということはあり得ません……」


「えっ! そうなの!?」



 すぐ傍で睨みを利かせているファンが口を挟めば、ジャンヌは本気で驚く。



「……お前……バスケットに中にオイル煮や煮込みを入れたら零れるし、冷めて食べれるものじゃないだろう……」


「そうなの!!??」



 呆れ返ったリオンが言えば、ジャンヌはますます驚いて目を見開いた。



 ちなみに、当然だが、ジャンヌは事前にランチ用に軽食のバスケットを用意して欲しい、と伝えていたわけではない。



(いや……朝飯食ってる最中にいきなりバスケット用意しろ、なんて言われて用意できるわけないだろ……?)



 内心で頭を抱えるリオンは、どうやってそれを伝えるべきか……と考える。



 ジャンヌはもちろん、ファンも「バスケットを用意しろ。」と言ったら即座に出てくると思い込んでいるようだ。



(……いや、無理だろう……)



 現実問題として、事前に予定されていないものを用意するのは容易なことではない。


 ここは中流貴族家向けの宿ではあるが、だからこそなおさら軽食のバスケット、なんて存在している筈もない。



(……貴族が旅の途中で昼に弁当バスケット何て広げるわけがない……特にこの周辺はちゃんと飲食ができる店のある町や村が殆どだってステールも言ってたし……)



 わざわざ冷めきったバスケットを、雪の降り積もる中で広げて食べよう、なんて物好きはジャンヌくらいだろう。



 一体どうする気なのか……



 宿側次第ひとごとながら気にするリオンがチラチラと宿の主人オーナー食堂レストランの支配人の様子を窺う。



 けれど、どういう訳か主人も支配人もあまり慌てている様子がない。


 どことなく落ち着きがない様子は見られるが、困り果てている、という感じではなかった。



(……もしかして、実は普通にランチバスケットの販売とかしてるのか……?)



 貴族がどんな生態なのかをちゃんと知っているわけではないリオンには分からないが、こういった無茶ぶりも多いのだろうか?



(……貴族相手の商売はめんどくさそうだな……)



 そう考えればと、ちょっと遠い目をする。



「? リオン? どうかした?」



 様子に気づいたジャンヌが声をかけた。



「……いや……お貴族様って、分かんねぇな……と……」


「「……は……?」」



 遠い目をしたまま呟くように答えたリオンに、意味が分からずにジャンヌが首を傾げ、ファンが眉を寄せる。



(……貴族向けってことは、この宿の経営をしてるのも貴族なんだろうなぁ~)



 そして、今更ながらに気づいた事実。



 よく考えるまでもなく、ただの平民が、上位貴族に含まれる伯爵家まで対象にした宿を経営できるわけがない。


 いや、やろうとすること自体はできるだろうが、客側の貴族が忌避するだろう。


 まして、従業員として貴族に所縁のある夫人や令嬢、令息などを雇うことだってできないと思われる。



「……オレとは世界が違うわ……」


「「……は……??」」



 続けたリオンの言葉に、ますます訳が分からなくて、ジャンヌもファンも困惑する。



「……それにしても、インスたち、遅いわね……?」



 朝っぱらから、なぜか疲れた様子のリオンに首を傾げつつ、そう言えば、とジャンヌが言えば、一瞬だけ宿の主人と食堂の支配人の身体が強張った。



「……何か知っているのか……?」


「……その、お連れ様は、お嬢様がお望みになられた軽食のバスケットを確認なさる、と……」



 その微かな動きを目ざとく見とがめてファンが目を向ければ、鋭い眼光に射竦められて緊張しながら、食堂の支配人が答える。



(……あ、なるほど……)



 その返答で察したリオンがちょっと目を見開く。



「……なるほど……」



 同時に、納得したように頷いたファンは……



(……得体のしれないものが紛れ込まないように監督をしに行ったか……やはり、何だかんだ言いながら、インス(あのもの)も姫様の護衛である、という認識はあるようだな……)

 


 先日、暴漢にジャンヌが襲われかけた際のインスの立ち回りから、そう認識を改めていたファンの思考はやはり、どこまでもジャンヌファーストだった。

第9話をお読みいただきありがとうございます。


出発の朝。


ジャンヌが「ランチメニューをそのままバスケットにしてほしい」と無茶ぶり!?


「オイル煮や煮込みをバスケットに入れたら零れるし冷める」と呆れるリオンと、そもそもそのままの状態で入るわけがないとツッコミを入れるファン。


そんな中、インスが遅れている理由を「バスケットの確認に行った」と聞いたファンは、「得体の知れないものが紛れ込まないよう監督に行ったのだ」と一人都合よく納得します。


思い込みとすれ違いが交錯する中、いよいよ一行は出発の時を迎えて……!?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「いつも通りのポンコツ二人WW」「胃痛組もデフォWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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