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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第5章 皇女殿下のブルン散策

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第6話・認めて貰えないものと~決して認めたくないものと~

第5章 皇女殿下のブルン散策



     第6話・認めて貰えないものと~決して認めたくないものと~



 ジャンヌの責任を否定したファンは、見上げるジャンヌから目を逸らさない。



「そも、我々は姫様の護衛が任です。その観点で言うのであれば、インス=ラントは正しくその任務を果たしただけにすぎません」


「……えっ!?」


「…………っ」


「……………」



 淡々としたファンの言葉に、ジャンヌは目を丸くし、アインも絶句する。


 クロードは変わりない様子に見えるが、多少、もの言いたげでもあった。



「……その上で、現状、魔法を使わせられないあの者に、身をもって姫様を庇わせることになったのは、護衛騎士団長であり、この討伐隊において采配を任されている私の失策です」



 重ねて自分の責任を告げるファンに、今度こそ言葉もなくただ見つめ返すジャンヌの前で跪く。



「ちょ!? ディアス!?」



 ギョッとしたジャンヌが声を上げるが、深く頭を下げたまま、ファンは顔を上げない。


 驚いたのはクロードやアインも同様で、息さえ詰めてただ見つめる。



「……ですので、姫様の御心を煩わせることになってしまったのも、私の責任です……」


「……ディアス……」



 違う、そうじゃない。


 そういうことを、言いたいのではない。



 そう思うのに、ジャンヌには何と言っていいのか分からない。



 どんな言葉を重ねても、ファンは決して、ジャンヌの非を認めないと分かった。



(……っ。こんなの……っ!)



 責任がない、と言われることが、これほど辛いとは思わなかった。



 青ざめて、微かに震えるジャンヌは、自身の前で跪き、頭を垂れるファンを見下ろしながら、言葉にならない叫び(ひめい)を上げる。



 脳裏を過るのは、かつての魔族による襲撃。



 両親や、多くの者が犠牲になり、最愛の弟であるジョン(カルロス)が呪いにかけられ、成長することも、目覚めることもなく眠り続けることになった、五年ほど前の事件。



 あの事件で、唯一無傷で助かったジャンヌは、どうして自分だけが無事で済んだのかが分からない。



 女神の加護の力。



 そう伝えられはしたけれども、ますます納得できなくて……



(……どうして、わたしの大切な人たちは、守ってくれないの……?)



 何度口に出して問いかけたくなったことか……



 女神の祝福で、守られるのは()()()()()()なのだ。



 そして、多くの者たちが、身を挺し、命を懸けて、守ってくれるのも……



 それが……重い。



 だからこそ、ジョン(カルロス)の呪いは、自分が解いてあげたかった。


 解いてあげられたと、思っていたのに……!



(……わたしが、何かをしたいと、思うと、誰かが、犠牲になるの……?)



 声もなく泣きじゃくるアインが、無言で見守るクロードが、跪き、頭を垂れるファンが、誰も自分を責めないことが……辛い。



 では、常々ファンやインスが言うように、諦めて皇都に戻りたいのか? と問われれば……



(っ! それは、ダメ……!)



 そうしたら、誰も、カルロスの呪いを解こうとしない。


 アインから奪われた瞳の宝石も、インスとアインの二人にかけられた呪いだって、誰も解けない。



 仮に、インスの手に後遺症が残ってしまったのだとしても、これまで通りに生活できなくなってしまうのだとしても、それでも!



(……取り戻さなくちゃ……! 呪いを解かなくちゃ……!)



 それだけは変わらない。



 それは、つまり……



「……なら、ディアス……」


「……はい……」



 長い沈黙の後、掠れた声がジャンヌの唇から零れ落ちる。



 躊躇うことなく返事を返したファンを、見下ろす。



「……この先も、わたしを、守ってくれる……?」


「はい。命に代えても……」



 泣き笑いのような震える声の問いかけに、迷うことなく答えたファンの左肩に、そっと、右手を添える。



「……なら、よろしくね? でも、死んだりしないで……もし、ディアスが死んじゃったら、誰が、わたしを守るのよ……」



 それから、一度息を整えて、ゆっくりと言葉を紡ぐ。



「っ!? ……はい……肝に、命じます……」


「……うん……」



 ハッと息を飲んだファンは、ますます深く頭を下げて、その下命を引き受ける。


 小さく頷いて、ジャンヌはファンに立つようにと促した。

第6話をお読みいただきありがとうございます。


インスを負傷させた責任を「認めて貰えない」ジャンヌ。


そして、ジャンヌの非を「決して認めたくない」ファン。


誰かの犠牲の上に自分が立っていることに苦しみながらも、それでも歩みを止めるわけにはいかないジャンヌ。


ファンに下した「わたしを守ること、そして死なないこと」という命令には、彼女の強い覚悟が込められています。


覚悟を新たにしたジャンヌですが、重傷を負ったインスの容態は果たしてどうなるのか!?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「ぶれない主従WW」「熱いけど……WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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