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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第5章 皇女殿下のブルン散策

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第5話・被害の規模とその結果~想定される最悪は~

第5章 皇女殿下のブルン散策



       第5話・被害の規模とその結果~想定される最悪は~



 結局、何事もなく宿に戻れたジャンヌの護衛にファンとクロードが残り、リオンは神殿に進捗を確認させに走らせる。



「はあっ!? 戻って来てから言うなよ!!」


「馬鹿を言うな。貴様程度でも、居ないよりはマシなのだから、当然護衛の任が優先されるに決まっているだろう。かといって戻ってくるまで、インス(あの者)の容体が知れないでは困る」



 襲撃発生以降、ずっと警戒していたのはリオンも同じ。


 だから、漸く少し気が抜けると思ったところで神殿に行って来いと言われたリオンは当然反発するが、ファンは一切怯むことなく冷然と言い切った。



「……オレだけか……?」


「……クロードを外すわけにはいかない……」



 ムッと眉を顰めたリオンが、暗にアインはどうするのかを問えば、苦虫を噛み潰したかのような表情で答えたファンはいかにも不服と言わんばかり。



「ちっ。仕方ないな……」



 ファンの言葉には不満はあれど、確かにファンやクロードと比べれば自分が劣っているのは認めざるを得ない。


 だから、一番身軽に動ける自分が伝令のまねごとをさせられるのも致し方ないとリオンは戻って来たばかりの宿をまた出ていくことになった。



「……ねえ、アイン。インスの怪我って、どんな感じだったの……?」


「……っ……!?」



 宿の部屋に戻って、部屋付きの従業員にお茶を入れさせ、退室させた後、恐る恐るジャンヌが問いかければ、クロードと共に部屋に連れ込まれたアインは青い顔でびくりと震える。



 ここまでの道中も、一言も口を開かず、ずっと俯いていたアインは、クロードにしがみついたまま恐る恐る顔を上げた。



「「「……………」」」



 ジャンヌがアインに声をかけたことは気に入らないものの、インスの怪我の状態はファンも気になるところ。


 だから、全員が黙ってアインの返事を待つ。



「……ぁ……インス、さまは……」



 注目されて、怯えた様子を見せるアインが、震える声を絞り出し、何とか答えようとするが、感情が高ぶっているのか、瞳が潤んで必死に涙を堪える。



「……怪我、は……殴られた怪我、です……ローブが、切れない、ように、守って……でも……」



 ようよう紡ぎ出された言葉を要約するに、防刃ローブのおかげでインスの怪我は斬撃による切創は免れたようだ。


 けれど代わりに、素人が加減なく振り下ろした鉄の塊に激しく殴打された結果、肩の骨にはひびが入り、神経は挫傷し、完全に右腕が麻痺していたらしい。



「……な、治る……わよ、ね……?」


「「「………………」」」



 改めて聞いた怪我の様子に、青ざめて確認するジャンヌの声が震える。



 けれど、その質問に、誰も即答しない。



「……っ……!?」


「……どうなんだ……?」



 ヒュッと息を飲んだジャンヌがますます青ざめるのを見て、ファンが詰問すれば、グッと、一度唇を噛んだアインは、そろそろと口を開く。



「……神官長様が、以前、教えて下さいました……神経の修復は、すごく、難しいって……」


「「……っ!!」」



 呪師は、魔力を感じ分けることで、状態の詳細を探る。


 アインのように、魔力を視認できる能力を持つ者は、数百年に一度現れるかどうか。



 たまたま、今の時代の、同じ国に、アインと、皇孫皇子(ジョン)という、二人もの能力者が産まれているけれど、その能力の差も大きい。


 ましてや、ジャンヌの弟であるジョンは皇都に居て、しかも魔族によってその力の源である瞳の宝石を奪われてしまっている。


 その結果の盲目状態、という呪いを解くために、ジャンヌは魔族の居城があるというバルバ島に向かわんとしているのだし、同じく左目の瞳の宝石を奪われ、隻眼になってしまっているアインは……



(……僕が、インスさまに、魔法を、かけても……っ)



 魔族によって、インスとの間に相互に苦痛に襲われる呪いまでかけられてしまっているアインでは、インスに回復魔法をかけても呪いの苦痛で逆に苦しめてしまう。



「……この街の、神官様が……神官長様や、大神官様くらいのお医者様じゃ、なかったら……分かりません……」



 ブルンの神殿にいる、医学を専門とする神官呪師、医呪(いじゅ)神官たちの中に、主神殿の医務殿で総括をしている医呪神官長や、医呪神官でもある大神官と同等の腕前を持つ者がいるのか、いないのか。


 それ次第では、後遺症が残る可能性もあった。



「……麻痺が残った場合、どうなる……? インス(あの者)は、呪師としての任務を、続けられるのか……?」


「「……っ……!?」」



 グッと、眉間の皺を深くして、重ねてファンが問いかければ、ジャンヌもアインも顔色を無くして息を飲む。



「……ぁ……そ、その場合……()()()()と、同じだけの、お仕事は……難しい、と、思います……」



 答えるアインの声が上ずって震え、ようよう絞り出した直後に床にへたり込む。



「ちょ……アイン……?」



 驚いてジャンヌが声をかけるが、アインは呆然とした様子。



「「……………」」



 ファンとクロードも言葉を無くして沈黙するだけ。



(……つまり、仮に呪いが解けたとしても、麻痺が残れば当代一と言われた実力を、今後発揮することはできなくなる、ということか……いや、それ以前の問題で……)


「……場合によっては、日常生活にも支障をきたすことになるのか……」


「「……っ……!!??」」



 思考を巡らせていたファンがうっかり漏らした呟きを聞きつけて、ジャンヌとアインがびくりと肩を跳ね上げる。



 ハッとするが、既に漏らしてしまった呟きをなかったことにはできない。



「……わ、わたしの、せい……?」


「それは……!」



 青ざめたジャンヌの唇が零した囁きに、咄嗟に声を上げたファンは……だが一瞬、返答に迷う。



「いえ……私の采配ミスです。姫様には一切の責はありません」


「っ!! でも……っ!!」



 けれど、すぐにきっぱりとジャンヌの責任は否定する。


 反発するように声を上げたジャンヌをファンは真っ直ぐに見据えた。

第5話をお読みいただきありがとうございます。


安全のために宿へ帰還した一行。


アインからの報告でインスの負った怪我の深刻さが少しずつ浮き彫りになっていきます。


最悪の場合、呪師としての仕事はおろか、日常生活にも支障が出るかもしれない……


想定される被害予想に、それぞれの自責と後悔が交錯します。


果たして使いに送り出されたリオンはどんな結果を持ち帰って来るのか!?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「パシリのリオンWW」「なぜそこだけ口に出すWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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