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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第5章 皇女殿下のブルン散策

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第4話・事後処理と被害状況~可能性と警備体制~

第5章 皇女殿下のブルン散策



       第4話・事後処理と被害状況~可能性と警備体制~



 駆けつけた警備隊が、気絶したり、関節を極められたりして地に伏す十数人の若者たちを捕縛し、荷馬車に箱詰めにしていく。



「恐れ入りますが、何があったのか、お伺いできますか?」


「……何がも何も、突然暴徒どもがお嬢様に危害を加えようとしてきたのを退けただけだ……」



 警備隊長が事情聴取を頼めば、ファンが不機嫌そうにそう答える。



 真っ青になって微かに震えるジャンヌの視線はインスに釘付け。


 そのインスは泣きじゃくるアインの指示でステールが応急処置をするのに、ちょっと困ったように微笑んでいる。



 そこにも、警備隊員が近づいていて、話を聞いていた。



「念のため、お伺いいたしますが、彼らと面識は……?」


「ない。そもそも、我々は皇都からの旅の途中に立ち寄っただけだ。お嬢様は宿の従業員以外とは殆ど関わられてもいない」



 質問を続ける警備隊長とファンのやり取りを半ば聞き流し、ジャンヌはぎゅっと、震える両手を握りしめる。



(……わたしの、せい……?)



 アインを心配させないためだろう、いつも通りに微笑むインスは、だが顔色はこれ以上ないほど青ざめ、滲む汗と、時折微かに眉を顰めて、そっと苦痛を逃すように息を吐いていた。



 当然、アインもステールも……ファンやリオン、クロードだって……どころか周囲の野次馬も、警備隊の面々も気づいている。



 気づいてはいるが、当のインスが隠そうとしているので、誰もそのことに触れられない。



 けれど間違いなく、自分が不用意に散策したい、と言い出さなければ……ましてや、ただ状況に驚いて右往左往していなければ、避けられたかもしれない負傷だ。



(……右、肩……血は、出てないみたいだけど……)



 喧騒が、頭の中で反響して、すぐ目の前で話をしているファンの声も、少し離れたインスたちの声も、何も聞こえなくなる。



「……右手、動かなくなるんじゃ……」


「……っ!!??」



 様子を、ジャンヌの真後ろで、まだ警戒しながら見ていたリオンの呟きが不意に鼓膜を叩く。



「……ぇ……?」


「あ? ……いや、肩の骨にひびが入ってて、神経がやられて麻痺してるって言ってただろ?」



 掠れたジャンヌの声に、首を傾げたリオンがつい先ほど聞こえた内容を繰り返す。



「……麻痺……?」


「そう言ってただろ? オレは詳しく知らないけど、アインが前になんか指で形作ってたから……」


「……っ!?」



 呆然と繰り返したジャンヌに、聞こえてなかったのか? とリオンが説明する。



 言われて、はっと()()()()



 呪師は、魔法を使う際に、両手で呪印いんを結ぶ。


 ジャンヌも詳しいことは知らないけれど、だからこそ、手が塞がるような武器や道具は基本的に持たない。



 そして、普通に考えれば、効果の高い、強い魔法を使うためには、さまざまに複雑な呪印いんを結ぶ必要があるのだろう。



「……まあ、()()あんまり関係ないだろ? 二人とも使()()()()んだから……」


「っ! でもっ!!」


「? お嬢様? 如何なさいましたか?」



 気楽に言うリオンに食って掛かるように声を上げれば、戸惑った様子でファンが声をかける。


 事情聴取をしていた警備隊長も、ちょっと驚いたように目を見開く。



「……っ……。インスの、怪我……」


「……ああ……」



 半泣きになったジャンヌの声が震えた。


 スッと、目を細めたファンもまた、一瞬苦い表情を見せる。



「……神殿の治療院で、治療を受けさせます……すべてはそれからです……」


「「……………」」



 そうとしか言えないファンの返答に、ジャンヌもリオンも口を閉ざして沈黙した。



「……警備隊で、馬車を用意させましょう……負傷されていらっしゃるのでしたら、無理に歩かせない方がよいでしょう」


「……そうだな。頼もう……我々も、早急に宿に戻る。お嬢様を狙う者がいると分かった以上、留まるわけにはいくまい」



 話が聞こえた警備隊長が提案すれば、頷いたファンはインスに関しては警備隊に任せ、自分たちはとりあえずの安全確保のためにも宿に戻ることを決める。



「……よろしいですね……?」


「……分かったわ……」



 念のため、ジャンヌに確認すれば、ジャンヌも神妙に頷いた。



「クロード。宿に戻る。同行しろ」



 そうと決まれば、とファンが声をかければ、えっ……と小さく声が上がる。


 一体何だと眉を顰めたファンは、ぎろりと()()()を睨んだ。



「当然であろう? お嬢様を狙う不埒者が出たのだ。護衛は密に……っ!?」



 言いかけて、ハッと気づく。



「……ぁ……」



 真っ青になったアインが震えて、インスとクロードとを見比べる。



(っ。そうだ、クロードは神殿護衛官として、アイン(アレ)の監視が優先される! クロードを姫様に付ければ、ついでにアレが付いて来る!)



 内心で舌打ちし、アインをジャンヌに近づける危険と、クロードを外す損失を比べるが、どう考えてもクロードを外す損失の方が大きい。



 これだけの襲撃があったばかりで、()()()()()ジャンヌの身を完璧に護り切れるなどとは流石に言えない。



 実際、護衛の隙を縫って、危うくジャンヌに危害が加えられてしまうところだったのだから。



「「「…………………」」」



 無言でファンはアインを睨み、クロードは困ったように二人を見比べる。


 きゅっと、インスの服の裾を掴むアインの手を、インスがそっと撫でて離させた。

第4話をお読みいただきありがとうございます。


駆けつけた警備隊による事後処理が進む中。


インスが負った怪我が呪師にとって致命的である「右腕の麻痺」を引き起こしている可能性が浮上!?


自分の散策のせいでインスが大怪我を負ってしまったと顔面蒼白になるジャンヌ。


一方、安全を優先して宿へ戻ることを決めたファン。


しかし、ジャンヌの護衛に手練れのクロードを回せば、もれなくアインまでセットでついてきてしまうというジレンマに頭を抱えることに!


インスの傷は癒えるのか?


そして今後の護衛体制はどうなるのか!?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「事情聴取する警備隊が不憫WW」「クロードを呼ぶ→もれなくアインが付いて来るWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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