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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第5章 皇女殿下のブルン散策

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第3話・起こってしまった最悪な~ぶつかり合うのはお互いの~

第5章 皇女殿下のブルン散策



     第3話・起こってしまった最悪な~ぶつかり合うのはお互いの~



 きっかけが何だったのかは今となってはもうわからない。


 分からないが、結果だけは明確だった。



「……あなた方の思う正義自体は否定しません。けれど、それを『誰かのため』だなんて言い訳で押し付けるのはやめて下さい……」



 地に伏し、呻く男たちを前に、青ざめて脂汗の浮かぶ顔に、冷ややかな光を宿した眼差しで見据えるインスの声音は決して荒げるようなものではない。



 けれど、だからこそ、その言葉は聞く者の心に深く突き刺さる。



「……所詮はただの自己満足に過ぎません。そんなものに利用されても迷惑です。ましてや、その結果、勝手に()()にされた方々にまで咎が行くと、なぜ考えもしなかったのですか?」



 右手がだらりと垂れ下がり、その肩の辺りを強く左手で押さえるインスを支えるステールは、表情を動かさないように緊張していた。



 息が乱れ、微かに震える身体が限界を伝えてくる。



 けれどインスの眼差しからは凍えるような憤りが消えることはなく、呻く男たちにも諦めや理解の色は見られない。



「……インスさま……っ」



 半ば地面に蹲るような体勢のインスに縋りつき、重く垂れ下がるその手を指診していたアインがポロポロと泣きながら呼びかける。



「……大丈夫ですよ……ブルン(この街)の神殿には、医呪(いじゅ)神官の方がいらっしゃいます……」



 男たちに向けていたのとは全く違う、どこか困ったような表情で告げるインスに、アインは強く唇を噛みしめ、俯く。



 半ば団子のように固まっている三人の前、男たちとの間に立つクロードはチラリとその様子を見とがめ、ステールがアインの唇に親指を当てて無理やり緩めさせる。



 インスたちの後ろには、真っ青になって立ち尽くすジャンヌと、同じように顔色を無くしたファンが愕然とした気持ちを押し隠し、必死に無表情を保って間に立っていた。



 そんなジャンヌの背を守るような位置にはリオンが居て、通行人が呼んだと思われる警備隊が道を開けるように怒鳴る声が近づいて来ている。



 散策をしたい、と言ったジャンヌが、いくつかの商店を見て回った後、商店街の噴水が見えてきた辺りでそれは起こった。



「お前か!! 我儘令嬢!!」



 突然、棒を振り回し、何やら怒声を上げて一人の若者が一向に襲い掛かって来たのだ。



「えっ!? 何!?」


「……無礼な……」



 いきなりなんだと戸惑うジャンヌを守るために、眉を顰めたファンが素早く動く。


 最後尾にいたリオンもパッと走って、ジャンヌの背後に立った。



 しかし、たった一人の暴漢に怯むはずもなく、素早くステールが制圧し、その若者を地面に押し付ける。



 けれど、当然辺りは騒然とし、悲鳴や怒声が響き、巻き込まれまいと右往左往する人々で通行が妨げられてしまう。



「「よ~く~も~っ!!」」



 と、今度は二人が同じように襲い掛かってきた。



 流石に、追撃があるとは思っていなかったが、それでもすでに臨戦態勢に入っていたクロードがその二人をステール同様、地面に押し付け、制圧を完了させる。



 もちろん、襲撃が起きた段階で、インスもアインを地面に降ろしていた。



「……………」


「…………っ」



 その、地面に降ろされた直後のアインが、微かに何事かを囁いて、聞き取ったインスがすぐに男たちの様子に注意を向ける。



「よくも! よくも! よくも!!」


「お前のおもちゃじゃないんだぞ!!」


「謝れ!!」


「……ちっ! 暴れるな!!」



 護衛官という、呪師を制圧できるだけの実力者に取り押さえられているというのに、男たちは遮二無二暴れていて、舌打ちしたステールが先に意識を刈り取っていた。



「……えっ? えっ?」


「……何なんだ、一体……」



 訳の分からないことを喚く若者たちに、完全に委縮して戸惑うジャンヌが挙動不審になる中。


 平民の暴徒に不機嫌さを見せるファンは、クロードも同じく二人の意識を刈り取ったところで()()()()()()しまう。



「ああああああっ!!」


「お前がぁ~!!」


「……っ!? 何なんだっ!!」



 けれど、その直後、更に二人が抜身の剣を振り回して襲い掛かってきて、ごっちゃになった人波と、次々に湧いて出るような暴徒に苛立つ。



 だからと言って、切り捨ててしまうわけにもいかず、避難しようとしている者なのか、襲い掛かってくる者なのかを瞬時に判断しながら立ち回るうちに、状況に驚き、混乱していたジャンヌが一歩、二歩と後退る。



 その結果、ファンたち護衛陣の視界から、ほんの一瞬、ジャンヌの姿が消えてしまう。



(……っ!? しまったっ!! 姫様はっ!?)



 すぐに位置を確認しようと視線を巡らせれば、更に湧いて出た三人がジャンヌに襲い掛かろうとしていて、間に入ったインスが二人を突き飛ばし、残る一人を止めようと動いているのが見えた。



(っ!? インス=ラント!? 戦えるのか……? よかった……)



 そうして、何事もなく、無事に終わる、と思った直後……



「「「「「「「……っ!?」」」」」」」」



 あろうことかその若者はインスの防御をすべてすり抜け、ジャンヌめがけて剣を振り下ろしてしまう。



「……なっ(間に合わないっ!!)……!?」



 他の暴徒もまだ大人しくなりきらない。


 ましてや、微妙に距離ができてしまっていて、今更彼らを放置して走ったところで間に合わない。



 最悪の事態が脳裏を過り、真っ青になった一同の前で。



「……っ……!?」


「っ!? 動かないで下さいっ!!」



 ヒュッと息を飲んだジャンヌが動こうとするのを、インスの鋭い声が遮る。



 そうして、振り下ろされた剣は、咄嗟に間に割って入ったインスの右肩を捉え、鈍い音とくぐもった短い悲鳴を響かせた。



 ジャンヌへの危険を察した瞬間、若者たちへの手加減をやめ、動けないように手足の関節を極めたファンがその直後にはジャンヌの身柄を確保する。



 殆ど同時に、クロードが剣を振り下ろした若者を沈めて、それ以上の襲撃がないことを確認したインスがふらつき、蹲るのをステールが抱き止めたのだった。

第3話をお読みいただきありがとうございます。


賑やかな商店街の散策を楽しんでいた一行。


ですが、噴水のある広場に差し掛かったところで突然の襲撃が発生!?


ステールやクロードが迅速に暴漢を制圧するものの、次々と湧き出てくる暴徒たち。


護衛陣の視界が一瞬遮られ、混乱の最中でジャンヌに凶刃が迫ります。


その危機に咄嗟に身を呈して割って入ったのは、本来守られるべき立場のインス。


右肩に剣を受けて蹲ってしまったインスの安否はどうなるのか!?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「フラグ回収乙WW」「まさかのインスが盾になるWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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