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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第5章 皇女殿下のブルン散策

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第1話・マイペースで突き進む~追いつくためには駆け足で~

第5章 皇女殿下のブルン散策



     第1話・マイペースで突き進む~追いつくためには駆け足で~



 午後も早い時間。


 遅めの昼食を取りに食堂などを訪れる者。


 あるいは、午前中で仕事を終わらせ、ゆっくりとお茶を楽しむ者。


 食事を終えて、買い物に訪れる者など、商店街は人が溢れ、馬車や荷車が行き来し、時には騎馬が人を縫うようにして駆ける。


 ブルンの道は決して狭くはないのだが、それらがごちゃ混ぜに行き交う、混沌とした状態。



「……想定よりも混乱しているな……」


「いまさら何をおっしゃっているのですか?」



 皇都ほど整備された道ではない、ということをまざまざと見せつけられて眉を顰めたファンが思わず呟けば、極寒の笑顔でインスが首を傾げる。



「なんだか皇都より活気があって楽しそうね!」


「「…………………」」



 そんな二人のやり取りが聞こえていないかのように楽し気なジャンヌの声が響いて、思わず口を閉ざす。



 先頭にファンとジャンヌが並び、そのすぐ後ろをインスとアインが手を繋いで歩く。


 その、インス真横にはステールが立って、道行く者がぶつかって来ないように物理的な盾になっている。


 最後尾にはリオンとクロードが並び立ち、はっきり言って物々しい。



 特に、騎士であるファンはもちろん、巨漢であるクロードとステールの存在が威圧感をこれでもかと高めていて、先ほどから人ができるだけ避けようとして逆に渋滞が起きていた。



 しかし、彼らは気づいていない。



 本来なら中央で守られるべきジャンヌが先頭に立ってしまった結果。


 代わりに中央付近で囲まれるような形になったインスとアインが、屈強な男たちに()()()()()連れ出されているように見えている、ということに。



 眼光鋭く周囲を見回すファンと、隙なくインスたちの様子を見ながら不用意に近づく者が出ないように目を配るステールと、そのすべてを最後尾で、赤髪の青年(魔女の申し子)と一緒に見張る大男。



 気遣いするはずもない(自分のペース)で先頭を行くジャンヌに追いつくために、急ぎ足どころか駆け足で進まざるを得ないため、既にアインは息が上がっている。



「……アイン君……」



 様子に眉を顰めたインスが足を止め、抱き上げようとすれば、アインは荒い息を吐きながらも首を横に振った。



「おい。インス……」



 先を行くジャンヌやファンが気にするはずもないので、足を止めてしまった結果、少々距離ができる。



 そのステールの声に気づいて漸く二人も後ろを見て、距離ができていることにファンの目に険が宿った。



「何をしている! 隊列を乱すな!!」


「ちょっと、ディアス……」



 怒声が響き、通りすがっただけの者までびくりと身を竦めるのに気づいて、ジャンヌが咎めるように呼ぶ。



「……ご、ごめ……」


「アイン君……」



 ハアハアと、息を荒げながらもアインが口を開けば、腰を落としてそっと抱き寄せたインスが宥めるように背を撫でる。



「大丈夫? 疲れちゃった?」


「……それ以前の問題で。アイン君は平地でもまだ歩くのがやっとです……それなのに、こんな雪の残る道を、大人の歩幅で歩かされたら、走ることになるとお分かりになりませんか?」



 様子に、首を傾げたジャンヌが言えば、極寒の笑みを浮かべたインスがぴしゃりと告げた。



 そっと、アインの左目の辺りをいたわるように指先で撫でて、言外に隻眼になってしまったことを示す。



「……ぁ……!」



 そのインスの手の動きと発言で始めて思い至ったジャンヌが軽く目を見開く。



「……無理に同行させていらっしゃるのですから? もう少し気にかけて頂けるかと思っていましたが……」



 どうやら、そんなおつもりは一切ないようですね?



「なぜ、お嬢様が気にかけねばならない。追いつけないのであれば、クロードにでも抱かせておけばよかろう」



 にこりと笑って言うインスに、眉間に皺を刻んだファンが憮然として返す。



「「……………」」



 バチリと、二人の間で火花が散った。



「ちょっと、ディアス! そんないい方しなくてもいいでしょう!」


「事実です……追いつけないことなど、初めからわかっていたということではないか? ならば、お嬢様のお邪魔をしないよう、適切に配置すればよいだけだ」



 むうっと唇を尖らせてジャンヌが咎めるが、ファンは当然のことと言わんばかりに言い切る。



「……ごめんなさい……」



 漸く息の整ってきたアインが俯いて、小さく言えば、インスは射殺さんばかりの強さでファンを睨みながらアインを抱いて立ち上がった。



「「…………っ!?」」



 その瞬間、ピクリと二人が微かに息をのむ。



「? ……どうした?」



 様子が変わったことに気づいたステールが声をかければ、インスは無言でゆっくりと周囲を見渡した。



「インス?」


「……何だ……?」


「どうかしたのか?」


「「……………」」



 首を傾げたジャンヌが声をかけ、ファンが眉を顰める。


 リオンも、困惑気味に辺りを見るが、特に変わった様子はない。


 だがクロードはステールと共に緊張感を高め、インスに注目していた。

第1話をお読みいただきありがとうございます。


いよいよ始まったブルンの街の散策!


ですが、初めから一筋縄ではいきません。


マイペースに先頭を歩くジャンヌとファンに追いつくため、アインが駆け足を強いられて息を切らせてしまいます。


そのことに腹を立てたインスと、気にも留めないファンとの間で、またしてもバチバチの口論が勃発(笑)。


そんな中、アインを抱き上げたインスは何かに気づいたようで……?


賑やかな商店街の散策はどうなってしまうのか!?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「ファンも『ある意味』正しいWW」「でも視野狭窄WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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