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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第4章 皇孫皇女の日常思考

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第9話・どこまでもマイペース~騎士団長の認知の欠落~

第4章 皇孫皇女の日常思考



      第9話・どこまでもマイペース~騎士団長の認知の欠落~



 今日のランチはヴェローペをメインに、パンチェッタと根菜のクリームスープ、温野菜のサラダ。


 デザートにはシェーヴォのコンポートで作られた淡雪氷菓子(ソルヴェッティ)


 

 濃厚な味付けの料理はしっかり食べた満足感を与え、するりと溶けて消えるほど薄く、細かく削られた氷菓子は、食後の口内をさっぱりとさせてくれる。



 小食気味のインスも、まだ幼いアインもしっかりと完食しているのを見て、こっそりとステールが頷いていた。



「……ああ、そうでした……」



 と、食後に香茶を飲みながら、ふと思い出したようにインスが口を開く。



「「…………っ!?」」



 途端に、ファンとリオンが警戒したように強張るのを見て、ちょっと困ったように微笑む。



「何? 何かあったの?」


「……いえ。ただ単に、私の方の予定はとりあえず終わりましたので、今後はどうなさるおつもりなのかを確認しようと思っただけです」



 同じように食後のお茶……ジャンヌはミルクティー……を飲んでいたジャンヌが気にもせずに促せば、インスはあっさりとそう答えて()()()()を見た。



「う~ん。……セージとリリー(あのふたり)のことは気になるけど、障害が無くなったのなら、きっと大丈夫よね? なら、わたしたちはわたしたちの目的を果たさなくちゃね!」



 ふんすと胸の前で両手を握って気合を入れ直すジャンヌの様子に。



「「「「「「…………………」」」」」」



 男性陣は全員無言。



「じゃあ! 午後は散策に行きましょう! 早ければ明日には出発になっちゃうから、その前に少しくらいは散策したいわ!」


「なっ!?」


「えっ!?」


「……は……?」



 次の瞬間、両掌をテーブルにつけて、身を乗り出したジャンヌがキラキラした笑顔で言い出す。


 ファンとリオンが目を見張って絶句し、流石にインスも微かに目を丸くする。



 ステールは顔が引きつるのを必死に堪え、クロードは無言。


 アインは声もなく大きな瞳を見開いて口をポカンと開けた。



「お……っ! いけませんっ!!」


「何でよっ? ずぅっと我慢してたんだから、一回くらい散策してもいいでしょう?」


「ダメですっ!!」


「だから何でっ!?」



 お待ちください。いけません。


 と止めに入るファンはただひたすらダメだというだけ。



 それに対してジャンヌは折角皇都ではない街に数日も滞在しているのに! と不満を示す。



(……これは……)


(……ダメだな、絶対押し切られる……)



 そっと溜め息を漏らしたインスと、様子に早くも諦めの境地に至ったリオンが思った通り、この後、押し切ったジャンヌのブルン散策が決行されることになった。



 とは言え……



「……分かりました……」



 押し問答の末、致し方なく、本当に仕方なく、苦渋の思いで頷くファンを、インスは冷ややかに見つめる。



「やった! じゃあ、一度部屋に戻って、少しだけお腹が落ち着くのを待って、それから出かけましょう! ……そうね? 一時間後くらいかしら?」



 これでもかとばかりに渋い顔をしているファンの様子にも、それを冷めきった目で眺めているインスの様子にも気づくことなく、ルンルン気分で出発の時間を決めたジャンヌはそれはそれは楽しそう。



「……クロード、ステール……お前たちにも同行してもらう……」


「「……え……?」」


「……………………」



 重い重い溜め息を吐いたファンのその言葉に、インスとステールが軽く目を見開く。


 クロードも無言のまま、極僅かに驚きを見せた。


 アインも、大きな瞳を更に大きく見開いている。



「え? ……それって……?」


「……? 何だ?」



 リオンがぼそっと呟けば、眉を顰めたファンが不機嫌そうに睨む。



「……その、俺……私とクロードも、ですか……?」


「当然だろう。お嬢様に万一があっては困る。ここは皇都ではないのだ。護衛の人数は多い方がよい」



 戸惑いながらステールが確認すれば、さも当然そうにファンはそう答えた。



「……インスとアインも……?」


「? なぜ?」



 それなら、とクロードが聞けば、今度はファンは意味が分からないと言いたげ。



「「「「………………」」」」



 チラッと、インスとステール、クロードとアインが視線を交わす。


 リオンもまた呆れたようにファンを眺めた。



「……お忘れかもしれませんが、お二人は私とアイン君の護衛が優先されます……」


「……何を言って……っ!?」



 ジトっとした視線を向けたインスが口を開けば、不機嫌そうに眉間に皺を寄せたファンは言いかけてハッと気づく。



 クロードとステールは、護衛官だ。


 そしてインスとアインは呪師とその見習い。



 護衛官としての任務は皇族の護衛より優先される。



(っ! ……そうだ! 皇宮護衛官のステールはもちろん、専属護衛騎士団の一員とは言え、クロードも神殿護衛官としての任務を優先した上で、という契約だ!)


「…………お分かりいただけましたか………?」



 グッと顔を顰めたファンに、インスが冷ややかに言えば、ますます苦虫を潰したような顔で睨みつけた。



「………………致し方ない……貴様らも来い」


「はい?」


「……ぇ……?」



 唸るように声を絞り出したファンのその結論に、流石にインスもアインも驚いて目を丸くする。



「……おいおい。マジかよ……?」


「みんなで散策になるの? 楽しそうね!」



 若干顔を引きつらせたリオンが呟くのに、ただ一人ジャンヌだけは楽しそう。



 そう言えば、このメンバーでの散策は皇都でもしたことがない。


 ブルンに着いた日にジャンヌとファン以外の五人は連れ立って散策に行っていたというのに、自分たちは置いてきぼりだった。



「あら? そう考えると、みんなで散策に行くのは正解ね!」



 そのことを思い出したジャンヌが笑顔を見せると、男たちは何とも言えない顔で沈黙を返す。



「……とりあえず、いったん部屋に戻っても……?」


「そうね! 一時間後にレセプションの前に集合ね!」



 そっと溜め息を吐いたインスが穏やかに微笑めば、ジャンヌはそう言って昼食を終わらせた。

第9話をお読みいただきありがとうございます。


インスの予定が終わり、いよいよ本来の目的に戻る……


かと思いきや、ジャンヌの希望でブルンの街を散策することに!?


危険を避けるために宿に留めたいファンと、どうしても出かけたいジャンヌ。


押し問答は、結局ジャンヌの勝利に終わります。


護衛官たちの任務の優先順位という問題も絡み、ファンの苦渋の決断によって、最終的にはインスとアインを含めた全員で出かけることに。


皇都以外での初めての全員散策がどのようなものになるのか?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「インスが口を開くと緊張WW」「ジャンヌ、頑張った(よく今までじっとしてた)WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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