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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第4章 皇孫皇女の日常思考

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第6話・案内役に楽観視する~彼女が諦められない理由は~

第4章 皇孫皇女の日常思考



      第6話・案内役に楽観視する~彼女が諦められない理由は~



 ジャンヌの記憶や意識からスコンと抜け落ちていた事実。



 ステールの生家が仕える辺境伯家は、これから向かう西部の辺境伯家だった。



「この先、西方に向かうためには山脈と山脈の間に広がる、広大な魔の森を二か所も通過しなければいけません……その道先案内を、道を知らない者に任せられるとでもお思いですか?」



 それでなくても過酷な道行きを、最悪の季節に突破しようというのに、何も知らない者を案内につける? ありえない。



 にこりと笑いながらも、寒々しい声音のインスに、しかしジャンヌは目を輝かせてステールを見た。



「そっか! だからステールがインスの護衛官として御者も兼ねての同行になったのね!! なら、何の心配もなく進めるわね!!」


「「「「「「…………………」」」」」」



 満面の笑みで言ってのけたジャンヌの言葉に、ピシリと空気が固まる。



「……? あ、あれ?? どうしたの??」


「……どうしたの、じゃない……」



 流石にその異常には気づいたのか、ジャンヌが困惑気味に首を傾げれば、胃を押さえてリオンが声を絞り出す。



(全然、全く、安心できる要素なんぞないだろうがっ!!)



 声を大にして怒鳴りつけたいところだが、恐らくジャンヌは理解しない。



「……()()()()()、皇女殿下は大変に()()()でいらっしゃいますね……?」



 ふふ……っと、小さく笑いを零すインスの目が全く笑っていない。


 むしろ、心底見下しているかのような不遜さを感じる。



「……貴様……不敬だぞ……」


「では、私がわざわざ言わなくてもよいように、是非とも()()()()ご指導ください?」


「……っ」



 眉間にこれでもかと皺を寄せたファンが低く唸るように言えば、それはそれは素晴らしい笑顔で言い返したインスにグッと詰まる。



 そもそも、散々言って聞かせてダメだったからの現状だ。


 本当に最低限の、足りているとは到底言えない人員での討伐隊の結成と派遣。



 しかし……



(だからと言って、私に当たられる筋合いはないぞ!)



 不敬を許せるはずもなく、八つ当たられる謂れもない。



 ムッと、眉を顰めるファンに、変わらぬ微笑を見せるインスは、ゆっくりと立ち上がる。



「……では、私はいったん部屋に戻ります。いつ予定している方が訪ねて来られるか分かりませんので……」


「そうなんだ! じゃあ、ステールもインスと一緒に部屋で待機になるの?」


「……そうなります……」



 それから、一応断りを告げたインスに、軽く頷いたジャンヌはちょっと首を傾げ、言葉少なにステールも認める。



「じゃあ、やっぱり今日は散策ね!」


「なっ!? もう少しの期間、宿でお待ちください!!」


「ええ~っ! 折角皇都とは違う街に来てるのだし少しくらいは見て回りたいわ!」


「だとしても! 護衛も少ない状態で不案内な街を不用意に出歩くのは危険すぎます!!」


「そんなに心配することはないと思うけど……?」


「あります!!」



 言い合うジャンヌとファンを置き去りに、インスはアインの手を引いてさっさと部屋を出ていく。



「では、失礼しますね」



 一応声をかけはしたが、どうやら二人には聞こえていないらしい。



 部屋から他の全員が退散していることにファンが気付いたのは、何とかジャンヌを宿に留めることに成功した後だった。



「というか、最近何だかみんなちょっと口煩くなってない?」



 ブチブチと文句を言うジャンヌは、散策を一旦諦めて宿の一階の茶室ラウンジでファンとお茶をしている。



 先日、セージとリリーが宿前の道で通りすがりざまに目配せしている様子を、窓から眺めていたのと同じ場所だった。



 今日もセージが宿の門前で控えているのを見て取って、またリリーが通りすがれば何かわかるかも! と大いに期待している。



「……当然です……」



 お茶を一口飲み込んで、同時に溜め息も飲み込んで、感情を抑えた声音でファンが相槌を打つ。



「そもそも、お嬢様以外の誰も、今回の旅程に賛同していない、というのをお忘れですか?」


「……………」



 ひたりと、その鋭い眼差しがジャンヌを捉えて告げれば、ジャンヌはムッと口を歪めて睨み返す。



「でも、だからこそ、わたしが行かないと、誰もカルロスたちの宝石を取り戻そうとしてくれないじゃない!」



 ジャンヌだって、分かっているのだ。



 この討伐が、どれだけ難しいことなのか、ということくらい。



 もし問題がないのなら、もっときちんとした討伐隊が大々的に組まれているはず。



 それがない、と言うことは、初めから誰もが諦めきっている、ということ。



(そんなこと、絶対にダメよ!!)



 瞳の宝石を取り戻して、弟にかけられた呪いを完全に解く。



 そのために、ジャンヌは神剣の封印を解き、その使い手となったのだから。

第6話をお読みいただきありがとうございます。


過酷な旅路を前にしても全く危機感を持たないジャンヌの変わらない「前向きさ」に周囲が絶句!


そして、ファンとインスが(いつも通り)バチバチとやり合う不穏な(?)展開に。


そのまま散策をめぐる口論の末、ラウンジでファンとお茶をすることになったジャンヌですが、彼女は誰に反対されてもなぜこの旅を諦めないのか?


その切実な胸の裡が語られます。


周りと噛み合わないながらも、弟を救うという目的だけは決してブレないジャンヌの芯の強さは一体何を掴むのか!?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「言い合いが逆に落ち着くWW」「ジャンヌの決意が固いWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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