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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第3章 ブルンに揺蕩う身分差恋愛

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第7話・事前の調整、うろつく皇女~聞きたいものだけ聞き取って~

第3章 ブルンに揺蕩う身分差恋愛



     第7話・事前の調整、うろつく皇女~聞きたいものだけ聞き取って~



 出勤して来たばかりのセージに時間を取ってもらい、事前調整をした後。



「……そこで何をしている……?」



 廊下で宿泊客と思われる貴族の中年男性に声をかけられ、足止めされていたインスとアインは、なぜか廊下をうろついていたジャンヌとファンに遭遇した。



 百歩譲ってファンが宿の中をうろついていることは許容できる。



 が、報告を待て、と言っておいたのに、どうやら止めきれなかったのだろう。



 ジャンヌを連れてふらついていたと思しき状況を一瞬で理解したインスは、極寒の笑顔で二人に部屋へと戻ることを勧めた。



 その、どさくさに紛れてその場を離脱する。



「……何か話してたんじゃないの……?」


「……物分かりの悪い方がしつこくしていただけです……」



 促されて先を歩くジャンヌが肩越しで振り返って問えば、インスは若干疲れたような溜め息を返す。



「それよりも……私は報告するのでお待ちください、と申し上げたはずですが?」



 そして、すぐににこりと……全く笑っていない笑顔で問いかける。



「え!? ……っと……その、セージを見かけたから! なのに全然報告に来ないし!!」



 途端にあたふたと言い訳を始めるジャンヌを見て、ファンがそっと溜め息を吐く。



「……ですから、部屋でお待ちくださいと、あれほど……」


「……口先だけで止めるのは止めたとは言いませんよ……」



 苦言を呈するファンに対してもインスの目は冷ややかだ。



「「……………」」



 実際に、止めきれずに宿内をうろつかせてしまっているので、ファンにも反論はできない。


 ジャンヌと二人、インスから視線を逸らすようにして沈黙した。



 ジャンヌが使用している貴族用宿室に戻って、備え付けの給湯設備を使ってお茶の準備をする。



「で、どうだったの?」



 部屋に戻って来たからか、好奇心丸出しのワクワクした表情で問いかけるジャンヌに、インスはそっと溜め息を漏らしつつお茶を供する。



 本来であれば女官や侍女などの側使えを同行させるべきであるのに、そういった者たちはおらず。


 また、では代わりに宿の客室付きの世話係に頼むにも……これから話す内容はごく個人的な情報が含まれているので好ましくない。



 その結果、使用人のような真似をすることになったのがインスだというのだからおかしな話ではあるが……



(皇女殿下もフロークス爵子も、料理などは出来上がったものが自然に存在しているとでも思っていそうですからね……)



 ろくにお茶すら入れられない箱入り。



 あ、この先、貴族用どころか宿すらない地域に向かっていくのが不安なんてものじゃない気が……



「……? インス……?」



 お茶を供して、溜め息を吐いた、そのまま動きを止めたインスを、不思議そうな顔でジャンヌが見つめた。



「……いえ……先々以前に、現状に絶望しているだけです……」


「……は……?」


「……言葉が過ぎる……」


「……………っ」



 インスの返答に思い切り首を傾げるジャンヌと、気持ちは理解できるが言い方……と言わんばかりに眉を顰めるファン。



 ひたすら存在を消すように小さくなっているアインが居間のローテーブルを囲むように席に着いた。



「とりあえず、本日午後、警備隊の詰め所での事情聴取の後にフィール家にお邪魔することにはなりました」


「??? ……フィール家???」


「「「……………」」」



 お茶を一口。


 唇を湿らせてから口を開いたインスに、ジャンヌが思いっきり首を傾げるのを見て絶句する。



「……セージさんの、幼馴染である、リリーさんのご自宅にお伺いすることになりました……」


「あ! リリーの家がフィール家なのね!!」



 頭痛を堪えるようにこめかみを押さえて言い換えれば、ぽん、と手を打ったジャンヌが笑顔になる。


 ジャンヌだけが楽しそうというか何というか……



(……先方の、お名前もきちんと把握しておられない、と……)



 どこまでも自分の聞きたいことだけを聞いて、見たいものだけを見ているとしか思えない。



 インスが、どんどんジャンヌ(皇女殿下)に対する感情が冷めていく気がするのは気のせいだろうか? と自問自答しているとも知らず、ジャンヌは満面の笑み。



「……お話を伺う限り、問題のカミルさん、と仰るリリーさんの弟さんは、これまで同様に投薬による治療を続けざるを得ない可能性が高いでしょう……」



 気になる点はあるものの、現状、話から推測される結論はそれだけ。



 正直、確証もないことをうっかり漏らして、下手に首を突っ込まれては堪ったものではないので、疑念は抱かせない。



「でも、それだとセージとリリーが幸せになれないでしょう? それに、ずっと寝たきりなんて、カミルがかわいそうだわ!」


「「「………………」」」



 けれど、どうやらジャンヌの興味はそこだけらしく、細かいことは気にしていない。



 というか、死にかけたばかりで付き合わされているアインやインス(じぶん)はかわいそうではないのだろうか??



「……とりあえず、一度診察自体は致しましょう……ご報告をお待ちください」


「ぇ……? でも……」



 にこりと微笑んで告げたインスに、視線をフラフラさせながらジャンヌは口ごもる。


 どうやって付いて行くかを考えているのは一目瞭然で……



()()()()()()()?」


「…………分かったわよ……」



 笑顔の圧を強めて、とんでも理論を思いつく前に重ねて言うインスに、不承不承ジャンヌは頷く。



 何だか、みんながみんな、皇城(しろ)から抜け出さないように言っていた頃のようだな……と思いながらも……



(……まあ、皇都とは違って、よく分からない場所なのは確かだし、ディアスやインスが心配するのも仕方ないわね……)



 不満はあれども納得できないこともなし。



「じゃあ、お願いね!」



 結果を楽しみにしている、と言わんばかりのジャンヌの笑顔に、男たちはこっそりと溜め息を吐くことになった。


第7話をお読みいただきありがとうございます。


部屋で待機と言われたのに我慢できずにうろつくジャンヌと、すっかり止められなくなっているファン。


事前の聞き取りを終えたインスからの報告と、それを聞くジャンヌたちのやり取りが続きます。


カミルの病気はこれまで通り投薬を続けるしかないだろう、というインスの冷静な見立てに対し、「それではセージとリリーが幸せになれない!」と不満げなジャンヌ。


果たして、これから行われる診察で何らかの希望は見つかるのか?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「インスがどんどん冷めていくWW」「ちょっ!? 訪問先知らないジャンヌWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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