表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第3章 ブルンに揺蕩う身分差恋愛

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/53

第6話・皇帝陛下の理由と思惑~分かっていても甘やかす~

第3章 ブルンに揺蕩う身分差恋愛



      第6話・皇帝陛下の理由と思惑~分かっていても甘やかす~



 なぜ、皇帝が「できうる限り身分を隠すように。」との条件を付けたのか。



 そこには理由と思惑があった。



 まずは理由。



 皇孫皇女の行幸、と大々的に公表しての旅程ではない、と言うこと。



 皇女の行幸であるなら、行く先々の村々、町々に立ち寄り、歓待を受け、返礼を行う必要性が生じる。


 必然、その旅程の調整、随行員、その他さまざま、人員も、日程も、ありとあらゆるものが多く必要になる。



 けれど、ジャンヌの目的は奪われた瞳の宝石の奪還。


 それも、できうる限り早急に取り戻したい。


 止められても、出奔してでも取り戻しに行く、という後先も何も考えていない、半ば衝動的な行動。



 なのに、皇女の行幸、などという調整に時間ばかりがかかって、ちっとも出発できない状況は……間違いなく待てない。



 ならばどうするか?



 身分を隠すことで「皇女の行幸」から「ただのお忍び旅」にして、最少人数、最速調整での出発を可能にさせた。



 途中の村々、町々でいちいち歓待やら返礼やらも不要になるので、それらの調整も、それに時間を取られることもなくて済む。



 代わりに、もし、万が一にも皇孫皇女である、と現地の代官や領主らにばれたら、相手は肝を冷やして歓待を行わなければいけなくなり、それを受けての返礼も必要になってしまう。



 当然。時間が取られ、足止めされることになる。



 それはジャンヌの望むところではないので、流石に理解していた。



 ジャンヌにされている説明はこの、理由に関してだけ。



 なぜか?



 思惑に関しては、他の同行者だけが知っていれば良いから。



 そもそも、ジャンヌ以外の誰も、この極秘討伐隊の派遣を望んでいないのだ。



 つまり、思惑というのは、皇族や高位貴族としての特権をなくし、思うように進まない旅路にジャンヌが根を上げて討伐の旅を諦めること。



 だから、インスだけではなく、ファンさえもがジャンヌに対し、二言目には「皇都に戻れ。」と告げる。



 そうやって、特権を無くして、旅路の苦労を骨の髄まで理解させ、諦めさせなければいけない、というのに……



(……フロークス爵子も、全く理解しておられない……)



 何だかんだと、特権を振りかざすような真似を繰り返し、口ではジャンヌを諫めているようでありながら、全く行動が伴っていない。



 だから、なのだろう。



 うるさく言いながらも、結局は甘やかしてきたツケを……



「あ、でも! 今回の件は、別に他国との外交が絡むような大きな問題じゃないし、医者に診せれなくて困ってる人を助けてあげるだけなんだから、大丈夫じゃない!!」



 しばし視線を彷徨わせていたジャンヌがポン、と軽く両手を胸の前で打ち合わせて言ったその言葉に……



「「「…………………っ!?」」」



 ファンも、インスも、アインさえもが、ほんの一瞬、絶句して顔色を無くす。



「……え……? どうしたの?」



 その反応に、ジャンヌが首を傾げる。



「………いえ。これ以上、申し上げることは何もないな、と再確認しただけです……」


「……???……」



 全く笑っていない笑顔を見せたインスが応えて、ジャンヌはますます首を傾げるだけ。



(……甘やかす()()の騎士団長様の代わりに、私たち(こちら)が後始末しなければならない、と言う訳ですか……)


「……っ」



 ぞっとするほどの冷気を帯びた視線を一瞬感じて、思わずファンは腰に手を伸ばす。


 柄に手をかけたところでハッとして動きを止めるが、危うく抜き放つところだった。



 それほどまでに、インスの眼差しからは温度が消え、明らかな軽蔑が浮かんでいる。



 流石に、そんな目で見られる所以はないと、眉間の皺を深くして睨むが、すいとインスは視線を外した。



「……では、少なくとも、そのサルビス元子爵家のご令息という方と、先に少しお話をさせて下さい……あなた方の我儘に巻き込んでしまうことを謝罪しておきます……」


「えっ!? 何で謝罪??」


「……っ!?」



 表情と声だけは穏やかに、言っている内容は鋭い刃のような言葉を告げたインスに、ジャンヌは本気で訳が分からないと目を丸くし、ファンはグッと唇を噛む。



「……ぁ、の……」



 その時、インスに抱き着いていたアインがそっと、遠慮がちに声をかけた。



「はい? どうしました?」



 即座に柔らかくほほ笑んだインスがアインを見下ろし、そっとその小さな頭をやさしく撫でる。



「「…………っ!!??」」



 その、劇的なまでの表情の変化は流石にジャンヌにも分かって、ファンと二人、目を見張って絶句した。



 そのアインが、思いがけないことを言い出して少し驚いたインスは、アインの不安を取り除くとジャンヌに向き直る。



「……後のことはこちらで調整いたしますので、報告をお待ちください……」


「……えっ!? わたしも……!」


()()()()()()()?」


「……姫様……病人がいる平民の家に、大人数で押し掛けるべきではありません……」



 何か言いたそうだった……おそらく、付いてきたかったのであろう……ジャンヌに関しては、笑顔で遮り、視線だけでファンに任せる。



 流石に、安全確認もできない庶民の住居に行かせる気はないようで、ファンは正しくその視線に込められた意図を察して足止めを口にした。


第6話をお読みいただきありがとうございます。


今回は、皇帝がなぜ「身分を隠しての旅」を許可したのか、その裏に隠された真の思惑が明かされました。


過酷な現実を突きつけて皇都へ引き返させる……はずが、ファンの甘やかしとジャンヌの純粋ゆえの傲慢さが、その計画を破綻させています。


現実を直視しない二人に冷徹な事実を突きつけ、事態を収拾すべく動き出すインス。


立場の違いや認識のズレが交錯する中、彼らの関係性がどう変化していくのか?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「やっぱりジャンヌだ! WW」「インスの視線にファンが動いたWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ