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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第3章 ブルンに揺蕩う身分差恋愛

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第4話・彼女の善意を冷ややかに~言葉を整え思いを飲み込み~

第3章 ブルンに揺蕩う身分差恋愛



     第4話・彼女の善意を冷ややかに~言葉を整え思いを飲み込み~



 前夜、ずいぶん早い時間にがっつりと調整され、休まされた結果。


 すっかり身体の不調は取れたものの、別の疲労でぐったりとしてしまったインスを、翌朝早くにジャンヌが部屋に呼び出した。



 もちろん、アインも一緒に呼ばれている。


 というよりも、アインを呼んだらインスが付いてきた、と言った方が正解か。



 部屋には他にファンが居るだけ。


 一応、部屋の外、扉の前にはクロードも立っているが、同席しているのは四人だけだ。



「……と、いうことで、リリーって女の人の家に行って、弟のカミルって子の診察してあげて!」


「「………………」」



 満面の笑みで、昨日の出来事をあっち飛び、こっち飛しながら説明したジャンヌに、インスもアインも沈黙で返す。



「……ぇ……っ、と……」


「アイン君。大丈夫ですよ……私がお伝えしますから」



 ちょっと首を傾げたアインを軽く撫でて、スッと視線をジャンヌに向けたインスの目が笑っていない。


 ただ、表情自体は常と変わらない穏やかな笑みを浮かべているので、ジャンヌは全く気づいていなかった。



「……つまり、皇女殿下(あなた)は、たまたま目に入った男女の色恋にわざわざ関係を持ちに行かれ、ご自分が責任を取れるわけでもないのに安請け合いをされ、お相手の同意も取れていないのに押し掛けるように、と仰るのですね?」


「えっ!?」


「……言葉が過ぎる……」



 その表情のまま一連の流れをまとめれば、ジャンヌは驚いたように目を丸くし、眉間に皺を寄せたファンがぼそりと窘める。



 ファンの声にいつものキレがないのは、同じようなことを思っているからだろう。



「言葉を飾ってどうなるというのですか? というより、これでも大分、穏やかな表現をしていますが?」



 チラッと一瞬だけファンを見て、すぐにジャンヌへと視線を戻したインスがにこりと笑って小さく首を傾げた。



 正直、言葉を飾らずに言わせてもらうなら。



 わざわざ旅先の都市(こんなところ)で、他人の色恋に首を突っ込まないで下さい。


 しかも、適当なことを言って、責任を全部アイン君に押し付けていると気付いていますか?


 もっと言えば、どう考えても物見遊山の貴族の道楽にしか思えませんよ?


 相手の方だって迷惑でしょう。


 余計なことに関わるくらいならとっとと皇都にお戻りください。


 むしろ私たちはその方が助かります。



 くらいのことは言いたい。


 これを全部飲み込んで、最低限言っておくべきことだけに押さえて、更に表現も整えているのだから文句を言われる筋合いなどなかった。



「で、でも! 弟のカミルって子は十歳から五年も殆ど寝たきりらしいのよ! 助けてあげたいじゃない!」


「そのお心がけはご立派だと思いますが、その方と皇女殿下(あなた)に一体どんな関係が?」


「別にないわよ? え? 何かいる??」



 ぐっと、両手の拳を胸の前に持ってきて力説するジャンヌを冷ややかに見つめる。



 あっさりと関係はない、と言いながら、同時にそんなものが必要なのか? と首を傾げていた。



「困ってる人がいて、してあげられることがあるなら、助けてあげたいじゃない! 何かおかしい?」


「「「………………」」」



 キョトンとして首を傾げるジャンヌを黙って見つめる。



(……まったくの、赤の他人を気に掛けるよりも先に、アイン君や私(こちら)のことをもう少し気遣って頂きたいのですが……?)



 貼りつけたような微笑の下でインスがそんなことを考えているとも知らず、ジャンヌはひたすらに首を捻っている。



「んんん~~~? やっぱり、ちょっと診て来てくれれば、何かわかって、助けになれるかもしれないじゃない!」


「……長患いの方を、ちょっと診ただけで何が分かると仰るのですか?」



 ややあって、至ったらしい結論を口にしたジャンヌを、冷ややかな視線が射貫く。



「えっ!? 何かはわかるでしょう?」


「「「………………」」」



 さも当たり前のように言われて、再び沈黙が落ちる。



 確かに、診察を行えば何かは分かるだろう。


 しかし、それが何の役に立つというのか?



「……結局、今のまま、投薬を続けるしかない、という結論にしか至らない可能性もありますが……?」


「それならそれで、安心させられるじゃない!」


「「「………………」」」



 結果が変わらなくても、何も分からないままよりはいい。



 確かに、その通りだ。


 その通りではあるのだが……



「……完全に、貴族が道楽で人を玩具にして楽しんでいるだけですね……」


「えっ!!??」


「っ! インス=ラント! 流石に言葉が過ぎる!!」


「………ひっ……」



 冷めた表情で呟いたインスに、ジャンヌは本気で驚いて目を丸くし、ファンが厳しい声で諫める。



 その怒声に、やり取りをオロオロしながら見ていたアインが、短く悲鳴を上げて、ぎゅっとインスの服を掴んで身を竦めた。


第4話をお読みいただきありがとうございます。


病気のカミルを助けたいと願うジャンヌ。


ですが、彼女のその「善意」が、相手にとってはどれほど暴力的な「押し付け」になり得るのかをインスが静かに突きつけます。


皇族という絶対的な権力を持つジャンヌが無自覚に行う道楽の危うさ。


それを冷静に分析して切り捨てるインス。


そして、主であるジャンヌを庇おうとするファン。


三者三様の思惑が激しくぶつかり合います。


善意だけでは解決できない現実問題。


果たして彼らはどう向き合っていくのか?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「インスの正論がキレッキレWW」「ファン、絶妙に庇いきれてないし……WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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