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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第2章 皇孫皇女の珍道中

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第9話・外出する者、残る者~前向き脳と疑い脳~

第2章 皇孫皇女の珍道中



       第9話・外出する者、残る者~前向き脳と疑い脳~



 ブルンに到着し、宿が決まったのが午後の中ば過ぎ。


 まだ夕食の時間までには余裕があるので、インスはアインを連れて少し神殿まで出かけることにした。


 当然、護衛官であるクロードとステールが同行するので、ついでに買い出しも……とリオンも連れて行くことになる。



 ジャンヌの泊まる部屋の前で仁王立ちしているファンにはクロードが伝えに行き……



「……なるほど。分かった……必要であろう……が、早めに戻るように……」


「……分かった……」



 話を聞いて必要性を認めたファンが受諾し……その際、ジャンヌに知られないように注意し……宿に二人を残して、五人が外出することになった。



 ちなみに、ジャンヌに外出が知られると、自分も行くと言い出しかねず、そうなると行動がかなり制限されてしまうので、余計な時間がかかるがための秘匿。



 なにか言い出したら、確か宿の一階に茶室ラウンジ食堂レストランもあったので、そこでお茶でもさせて誤魔化す予定。



 そして案の定、他のメンバーが出かけて少し経った頃に気づかれてしまう。



「もうっ! お買い物に行くなら、わたしも行きたかったのに!!」


「ですから、インスらが向かったのは神殿で、ステールが商店に寄るのは買い出しであって、単なる買い物ではありません……それに、何かご入用なら店の者を呼ばせますので、宿(こちら)でお済ませ下さい」



 宿の一階の茶室ラウンジにて、窓際のテーブル席でアフタヌーン・ティーを楽しむジャンヌがふくれっ面で言えば。


 向かいに座って一緒にお茶を飲んでいるファンが眉間の皺を深くして溜め息を吐く。



「折角皇都とは違う都市まちに来てるんだから、散策したいじゃない!」


「……それが駄目だと申し上げているのです」



 ぶちゃけたジャンヌの主張に、ファンはますます眉間の皺を深くする。



 皇都であっても皇孫皇女が一人で街中をフラフラする、などという危険な真似はして欲しくないというのに、全く知らない都市まちを不用意に歩かせられるはずがない。



(どこにどんな危険があるかも、誰が信用でき、誰が信用できないのかも分からない街で散策? ありえない……!)



 誰も地理に明るくない。


 店舗どころか、街中の公共施設に関しても、すべてを把握できているわけでもない。



 いくら今は直轄領とは言え、初めて訪れる街を、信頼できる者の案内もなくフラフラさせられるはずがなかった。



 しかも、である。



「……お忘れかもしれませんが、ご家名の開示は控えるようにとのお申し付けです……不用意に現地の代官らなどと関わるわけにもいきません……」


「……ぁ……」



 声を潜めて、更に万が一、聞き耳を立てている者がいたとしても、はっきりとしたことは分からないようにと注意して囁いたファンの言葉でジャンヌも思い出す。



「……も~。おじいさまのせいでちょっとした息抜きもできないじゃない……!」


「…………息抜きがご希望なら、お戻りになられることをお勧めいたします……」



 思わず愚痴をこぼしたジャンヌに、眉間の皺を揉んでファンは呟いた。



(……まだ……まだ、皇都の散策だけで気が済むのなら、その方がマシだ……!)



 正直、ソレもできればやめて欲しいのだが……


 それでも、この無謀な極秘討伐で、この先も訪れたことのない町や村、難所と言える場所を越えなければならない、と考えると……



 百万歩くらいは譲って、インスに安全管理させた上で、リオンを付けて皇都の散策をさせている方がマシだった。



「……あら……?」


「? 如何なさいましたか?」



 不意に、ジャンヌが窓の外を覗き込むように身を乗り出す。



 どうしたのかと、若干警戒しつつファンも同様に外を見るが……



(……宿の従業員の男が立っているだけ……?)



 窓の外に見えるのは、ドアマンの男が一人立っている姿。


 いや、その先。


 宿の前の道を行きかう人々の姿などは見られるが、特に危険はなさそうだ。



「……ねえ、ディアス……あそこ、宿の向かいの前を歩いてる女の人、分かる?」


「……はあ……」



 なぜか、物凄くワクワクした様子のジャンヌが示す方へと視線を向ければ、確かに二十歳ぐらいの女が一人、両手でバスケットを持ってゆっくりと道を歩いている。



 気のない返事を返しながらも観察していると……



(? ……何だ? あの女……この宿(こちら)を妙に意識している……?)



 チラリ、チラリとこちらに目をやっていることに気づいて警戒心を高める。



 桃色の髪を後ろで一つにまとめ、エプロンドレスと思しき服に、分厚いグレーの外套を羽織った……どこにでもいる町娘……と言った感じではあるが、もしかすると盗賊の一味かもしれない。



 宿の客を狙って盗みに入るための下見……か?



「……あの二人、絶対恋人同士よね……!」


「……………………は?」



 スッと目を細め、警戒心を極限まで高めたところでジャンヌに言われ、何の話かと軽く目を見開く。



「だから、あのドアマンの男の人と、あの道を歩いてる女の人! 絶対恋人同士よね……二人ともじっとお互いを見て顔赤くしてるじゃない!」


「……は~……っ」



 ジャンヌは自分とは全く違った視点で物を見ている、と再確認させられて、ファンは大きく溜め息を吐いた。



(……他人の、色恋沙汰に興味を持たれるだなどと……どこでそのような……)



 一気に脱力してしまったが、いや、まて……と警戒心を無理やり引き戻す。



(もし、あの二人が共犯者であれば? 男の方がドアマンとして宿への侵入を助け、女の方がルームヘルパーを装って出入りすれば……)



 ……どうやら、ファンはジャンヌとは違い、どこまでも他人を疑ってみる癖があるらしい。



 一度疑いを持ってしまえば、どこからでも怪しい点を見つけ出せる。


 ……人はそれを難癖というが、ファンはいたって真面目に検討しているので質が悪い。



「……ふむ……確認は必要か……」


「そうね! 聞きに行ってみましょう!!」



 つらつらと考えて、至った結論を思わず口にしてしまえば、耳ざとく聞きつけたジャンヌが満面の笑みで立ち上がった。


第9話をお読みいただきありがとうございます。


今回は、インスたちが外出し、宿でお留守番をすることになったジャンヌとファンのお話です。


窓の外で目配せをする男女を見て、「絶対に恋人同士だ!」と目を輝かせるジャンヌと、「宿を狙う盗賊の共犯者かもしれない」と極限まで警戒心を高めるファン。


リオンやインスというストッパーが不在の中、彼らの突撃行動はどんな結果を招くのか?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「ファン、難癖付けすぎWW」「恋バナしたいお年頃WWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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