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姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第2章 皇孫皇女の珍道中

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第8話・真面目に悩む騎士団長~冷静に数字を語る~

第2章 皇孫皇女の珍道中



       第8話・真面目に悩む騎士団長~冷静に数字を語る~



 その日は、宿の部屋割りで大いにもめることになった。



「……まさか、付近の部屋が他の客で埋まっているとは……」



 ブルンは、皇都に最も近い大きな都市。


 更に、西方と東方の分岐点ともなる都市で、この季節でも存外利用客が多く、宿を取ることはできたのだが、確保できた部屋は二つ。



 しかも、別の階の部屋となってしまい、ファン曰く、密な護衛計画が破綻してしまう、とのこと。



「……そもそも、中流貴族向けの宿に不審者など宿泊できないでしょう……宿の警備体制や他の利用客の方を信用できないと言っているようなものです……」



 呆れ返って言ったインスは、とりあえず、取れた部屋というのがどういったものかを問う。



「……一つはお嬢様に使って頂く予定の部屋で、側使えの控室などがある当主やその家族が使うものだ。もう一つは従者用の三人部屋だという……」


「「「「「……………………」」」」」



 眉間に皺を寄せ、どうしたものかと頭を悩ませるファンの説明に、クロードもリオンも、インスもステールも、アインさえもが沈黙する。



「……それのどこに問題が……?」


「何を言う! 姫さ……お嬢様をお一人にするわけにはいかないが、我々が同室に宿泊するわけにもいかないだろう! それに、万が一の時に即座に連携がとれる距離でもないのだぞ!!」



 一応、本当に一応問いかけてみたインスに、鋭い眼光で睨みつけたファンが真面目に言うのを聞いて、リオンとインスが隠さずに溜め息を吐いた。



「なんだ!?」


「……まず、どうせ各部屋の前に一人は常に置くおつもりなのでしょう? なら、途中で交代するとして、二人は同時にベッドを使いません」



 ますます鋭い視線で睨みつけるファンに、インスが若干疲れたような口調で説明を始める。



 というか、この頭の固い騎士団長(ポンコツ)に、説明するのは毎回インスの役割になって来ていた。



「……それがなんだ……?」


「……この時点で、必要なベッドの数は三台です……」



 ジャンヌは数に入れない。


 なぜなら、彼女は一人で貴族の当主やその家族らが利用する部屋を使うと決まっているから。


 残るは六人だが、そのうちの二人は常に警護として扉の前に立つ。


 更に、インスとアインは同じベッドを利用するので、二人で一台あればよくて、残りは警護の交代要員となる二人だけ。



 即ち、ベッドは三台あればよい。



「……部屋割りというより、誰が先で、誰が後かってことだけじゃないか……?」


「…………………」



 呆れ返った口調でリオンが言えば、ハタとファンも軽く目を見張った。



「……い、いや……! 宿の者らはインスとアイン(ソレ)を我々と同じ部屋に泊めるわけには……と……!」


「……どうしてですか?」


「……知らん……ただ、貴様らと我々が一緒なのは宜しくないと言われただけだ……」



 焦ったように言い訳するファンに、極寒の視線を向けたインスが問えば、理由までは聞かずにそういうものかと納得していたファンは不機嫌そうにそう返す。



 溜め息が、全員の唇から大きく、あるいは小さく零れる。



「……つまり、その二つのお部屋が取れればいいってことよね? じゃあ、問題ないわね!」



 そして、やり取りを黙って眺めていたジャンヌがあっさりとそう言って、結局その宿で、貴族用と従者用を一部屋ずつ利用することで決着が着いた。



 ちなみに、最初、宿の従業員からはジャンヌとインスとアインを同じ部屋にするのか? と聞かれて、ありえないとファンが返した結果、そうなると……と困ったように告げられたが故のファンの思い込み。



 宿の従業員がなぜ、インスやアインをジャンヌと同じ部屋を利用するのか? と言い出したのかが全く分からない。



 流石にそれはない、と全員一致で却下したのは当然。



「まあ、アインと一緒に寝るのは全然かまわないけどね……流石にインスは無理でしょう」


「……ぇ……? え……っと……」



 軽く肩を竦めたジャンヌのこの発言には瞬時に空気が変わり、驚いた様子のアインが何か言わなければとオドオドする。



「冗談でもおやめ下さい!」


「ご冗談を……皇女殿下とアイン君を二人きりにすることなどできませんし、かといって私がご一緒するなど、当然ご遠慮申し上げます」



 即座にファンが怒鳴り、インスも極寒の笑顔でアインを抱きしめた。



「アインは別にいいでしょう? まだ小さいんだし……昔、カルロスやディアスとお昼寝したみたいな……」


「全く違いますっ!!」


「「「「…………………」」」」



 あっさりと、とんでもないことを暴露したジャンヌを、焦ってファンが遮るが、全く間に合っていない。



 何とも言えない視線が、一斉にファンを射抜くが、一応、誰も直接口に出してファンに何かを言うことはなかった。



 なかったが……



(……昔っていうのがいつのことかは知らないが……ファンの野郎(こいつ)もやらかしてるじゃないか……)



 胡乱げな眼差しを向けるリオンは明確に軽蔑し。



(……幼馴染らしい話だな……孤児院の子供たちが、男女の差なく昼寝するようなものだろう……)



 孤児院で幼い子供たちが、大人に見守られて一斉にお昼寝するようなものだろう、とクロードは納得し。



(……ファン卿……皇女殿下の口の軽さに苦労してそうだな……)



 ステールは、ジャンヌのうっかりなのかわざとなのか分からない口の軽さにファンへの同情を向け。



(……なぜ! よりにもよって! 今! そのお話をされるのですか……っ!!)



 ある意味で黒歴史とも呼べる昔のことを、知られたくない相手に暴露されたファンは内心歯噛みして。



「……アイン君。ああいう大人になってはいけませんよ……?」


「ぇ……? えっと……はい……?」



 こっそりとアインに囁きかけたインスの言葉に、ちょっと首を傾げつつアインは頷いた。



 ちなみに、クロードの考えが最も真実に近い、というのは言うまでもないだろう。


第8話をお読みいただきありがとうございます。


今回は真面目に悩むファンと、冷静に数字で解決するインスの対比です(笑)。


部屋割りの問題がインスの「算数」であっさりと片付いたかと思いきや、ジャンヌの無自覚な暴露話によって、ファンが別の意味で窮地に立たされるというオチWWW


「ああいう大人になってはいけませんよ」とアインに囁くインスの姿に、このパーティーの力関係が表れているかもしれません(笑)。


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「算数できない騎士団長WW」「ジャンヌ様、暴露しないで上げてWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

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