表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
姉姫様は魔族を斬りたい!~最愛の弟皇子を救うため、女神の巫女は呪いをかけた魔族を探します~【第3部・フローズン・ブルーの旅路】  作者: norito&mikoto
第2章 皇孫皇女の珍道中

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/53

第6話・ポンコツを論破する~無用なこだわり~

第2章 皇孫皇女の珍道中



        第6話・ポンコツを論破する~無用なこだわり~



 途中の町で買った焼き菓子を上品に食べながら、ジャンヌは身分を隠す、という皇帝そふからの条件を達成できていない、というインスに話を促す。



 その食べ方からして隠せていないのだけれど……と思いながらも、促されたインスはゆっくりと口を開いた。



「まず、最上級の部屋を希望した時点で金銭的に余裕がある、裕福な身分にある、と言っているも同然です」



 貴族とまでは分からなくても、この時点で金銭の余裕がある者、と喧伝しているようなもの。



 それに関しては、ジャンヌもファンも理解できる。



「だが、それだけでご身分が判明するわけではなかろう?」


「そうですね……問題はその後です」



 ムッとして言うファンに頷いて、インスは話を続けた。



「先ほど申しあげたとおり、使()()()()()()()()まで借り切る()()()は居ません……なぜか? 必要がないからです。なぜ必要がないのか? ()()()()()()だからです」


「「………? ………」」



 そんな、当たり前のことを言われても、ジャンヌもファンも首を傾げるだけ。



 全く理解できていないことが分かって、インスだけではなくリオンも……クロードやステール、果てはアインまでもが何とも言えない表情をする。



「……何が言いたい……?」



 ますますムッとして、ファンが睨むが、びくりと怯えた反応を見せたのはアインだけ。


 リオンはこれ見よがしに溜め息を吐き、ステールもこっそり溜め息を吐き、クロードさえもがちょっと困ったように眉を下げている。



「ですから、いちいち凄まないで下さい……。護衛がいる一般人なんて、そうそう居るはずがないでしょう? つまり、護衛が付いていると思われた時点で貴族か、それに近い者と見なされるということです」


「……え……っ!?」


「……は……?」



 ますますアインを庇うように抱きしめて、インスが説明を加えれば、ジャンヌもファンも目を丸くした。



「バカな……まさか、貴様っ! 姫様に護衛を付けるなとでもいう気か!?」


「それこそまさかです……貴族でなくても、例えば裕福な商人などは護衛を雇っていることがあります。けれど、周辺の部屋を借り切って警護をする、などということはしません」



 一瞬の後、鋭く睨みつけたファンに対して、インスはごくあっさりと答える。


 流石に、身分を隠すために護衛を外せ、などというはずもないし、皇帝もそんなことは考えていないだろう。



「ではどうやって……!」


「「「「「………………」」」」」

 


 言いかけたファンがハタと動きを止める。



 何とも言えない、どこか憐みの籠った表情で見てくる一同を見回す。



「……ちなみに、周辺すべてを借り切れない場合、どうするおつもりで……?」


「当然、借りられる宿を探すに決まっている」


「……一つもなかったら? まさか、町や村で野宿をしようなどとは仰いませんよね?」


「当たり前だ! なぜ宿があるのに姫様に野宿など……!」


「では、どうするおつもりですか……?」


「その場合、致し方ないので、姫様のお部屋の前に護衛を……っ!?」



 ハッと、ファンが言葉を止めた。



「……それが、一般の方が護衛を雇った際の警護の方法です……」



 ここまで言わせないと気付かないのか……と、インスだけではなく、クロードもリオンもステールも、そしてまだ幼いアインまでもが若干の頭痛を覚える。



「……あの、すごく、お金を持っているって、思われると……悪い人も、いっぱい寄ってきちゃいます……」


「……ああ。それもありますね……」



 それから、遠慮がちにアインが口を開き、インスが頷く。



「……だなぁ……」


「……まあ、来たところで後悔するだけだろうがな……」



 確かに、とリオンも頷くが、ステールはむしろ来た方が後悔する結果になるだろうと判断する。



 皇族の専属護衛騎士団長や護衛官が脇を固めている相手に、そうと知らずに手を出したからと言って、ただで済むはずはない。



「どちらにしろ、無用な危険を招く行いを、進んでするのはおろかでしょう」



 呆れたようにインスが言えば、それはそう、と全員が頷く。



「ですので? 今後、宿を取る時は、まず、最初から最上級の部屋など希望しないこと……」


「それでは姫様の……!」


「一つ二つグレードが下がったからと言って、十分なサービスが受けられない、などということはありません。必要があれば追加料金を支払って準備すればいいでしょう? もしくは、初めから貴族向けの、そういったサービスを完備した宿を選んで下さい……無駄に平民向けを選ぶから余計にややこしくなっているんです」



 結論を伝えようとしているのに遮られて、インスが少し苛立たし気に声を被せる。



「あなたの無駄なこだわりで、陛下の出された条件が達成できていないと、いい加減に理解して下さい」


「……っ!!??」



 真っ直ぐにファンの目を射抜いたインスの言葉に、ファンはグッと言葉に詰まった。



 言い返したいが、言い返せない。



 インスが言うことが正しいと、こうも明確に理解させられてしまえば、どこかで妥協するしかなかった。



「……それと、この先、西方に進めば、そもそも貴族向けの宿自体が減り、途中立寄ることが可能な町や村も減り、宿がない町や村だって出て来るでしょう……その時になって、ただ金貨を積んで、空き家を一つ借りればいい……などと言われては困ります」



 溜め息を一つ。


 気持ちを落ち着けてインスが言えば、ジャンヌとファンは目を丸くし、ステールは「確かになぁ~。」と呟く。



「……西方は、人が住める地域も限られ、魔物だけではなく、亜魔族さえもが出没する危険地帯です……ただの野生動物であっても、皇都の周辺よりも狂暴化しています……村と村の距離さえも遠く離れ、お金があっても物が手に入らないと言われる地域です……」


「「………………」」



 西の現実を、これでもかと突き付ければ、息を飲んだジャンヌとファンは無言。



 やはり、何も理解していない。



「……物見遊山がご希望なら、今すぐ引き返すことをお勧めしますよ……これ以上進んだところで、途中で全滅です……」


「「「「「「………………」」」」」」



 静かに言ったインスに、誰も、何も言い返せない。



 けれど……



「……物見遊山なんかじゃないわ……」



 きっぱりと言うジャンヌだけは、一切引く様子を見せなくて……



「…………本当に、そうだと仰るのなら、言葉ではなく行動で示してください……」



 どこまでも冷ややかな眼差しで、けれども表面的には穏やかに微笑んで、インスはただそう告げた。


第6話をお読みいただきありがとうございます。


常識のズレているファンを、インスが理詰めで完膚なきまでに論破!


全く状況を理解していないジャンヌとファン。


容赦なく事実を突きつけるインス。


そして無自覚に追い討ちをかけるアイン。


後半では厳しい西方の現実も語られますが、それでも諦めないジャンヌの真っ直ぐさが事態をどう動かしていくのか?


次回もお楽しみに!


【シリーズ一覧はこちら!】


本編と番外編、それぞれのシリーズ総合リンクです。


過去の関連作品などはこちらからお読みいただけます!


▼ 本編【CCC】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s7443j/


▼ 番外編【STO】シリーズ 総合リンク

https://ncode.syosetu.com/s8365j/


【今後の連載スケジュールについて】


続きは明日22時から、毎日1話ずつ更新いたしますので、どうぞお見逃しなく!


【ミニコラム掲載中!】


活動報告にて、キャラクター紹介や用語の解説などを不定期で掲載しております。ぜひチェックしてみてください!


【読者の皆様へのお願い】


「騎士団長、優秀って嘘でしょうWW」「インス=解説者になってきてるWWW」と感じていただけましたら、ぜひ【☆☆☆☆☆】やブックマーク、感想をいただけますと、連載を続ける何よりのエネルギーとなります。


また次回もどうぞよろしくお願いいたします!


【本作は「カクヨム」にも投稿しております。】


――――――

ノリト&ミコト

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ