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歴史オタクの俺が偉人に転生した結果、歴史書に書かれていない真実を知った〜世界史の裏側を巡る転生ミステリー〜  作者: ズッキー
第1章 カエサル暗殺編

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第9話 その瞬間

馬車は静かに進んでいた。


石畳の上を、一定のリズムで揺れる。


俺は何も言わず、ただ前を見ていた。

ローマの街が流れていく。


市場。

神殿。

人々。


誰も知らない。

今日、この国の歴史が変わることを。


やがて馬車は止まった。


「到着いたしました」


御者の声。


俺はゆっくりと外に出た。

目の前には、巨大な建物。

元老院。


ここで——

ユリウス・カエサル暗殺

が起きる。


俺は一歩踏み出した。

その瞬間。


「カエサル様!」


背後から声が飛んだ。

振り返ると、一人の男が走ってくる。


見覚えはない。

だが必死の表情だった。


「これを……!」


男は一通の書簡を差し出した。


「今すぐ読んでください!」


俺はそれを受け取った。

震える手で封を切る。


中の文章を見た瞬間——

息が止まった。


「元老院議員の多くが、あなたの暗殺を企てています」


やはりだ。

完全な警告。

そして決定的な証拠。


俺は顔を上げた。

男は言った。


「どうか、中に入らないでください!」


周囲の空気が張り詰める。

護衛たちも異変に気づき始めている。


俺は元老院の入口を見た。


ここから先に進めば——

死ぬ。


進まなければ——

生きる。


歴史は変わる。


すべては、今この瞬間にかかっている。

俺は、しばらく立ち尽くした。


そして——

ゆっくりと、手の中の書簡を折りたたんだ。


「……ありがとう」


それだけ言って、男に返す。

男の顔が凍りつく。


「な、なぜ……!」


俺は静かに言った。


「分かっている」


そして、元老院の扉に向き直る。


なぜ、行くのか。

理由は一つじゃない。


逃げれば助かる。

だが、それでは終わらない。


この不満は消えない。

この恐怖も消えない。


そしていずれ——

もっと大きな血が流れる。


ならば。

ここで終わらせる。


俺は扉に手をかけた。

その時。


中からざわめきが聞こえる。


元老院議員たちの声。

その中に——

知っている名前がある。


マルクス・ユニウス・ブルートゥス。


そして

ガイウス・カッシウス・ロンギヌス。


俺は一瞬だけ目を閉じた。

そして、開く。


「行くか」


扉を押し開けた。

中に入る。


一斉に視線が集まる。

元老院。

歴史の中心。


そして——

暗殺の舞台。


俺はゆっくりと歩き出した。

議員たちの間を通る。


空気が重い。


誰もが何かを隠している。

そしてその中に、いた。

ブルートゥス。


目が合う。

彼は一瞬だけ、苦しそうな顔をした。


そして——


逸らした。


その瞬間。


俺は理解した。

始まる。


一人の議員が近づいてくる。

もう一人。

さらに一人。


円を描くように、囲まれていく。

逃げ場はない。


そして。

一人が、トーガの中に手を入れた。


刃が光る。


その瞬間——

歴史が動いた。

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