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歴史オタクの俺が偉人に転生した結果、歴史書に書かれていない真実を知った〜世界史の裏側を巡る転生ミステリー〜  作者: ズッキー
第1章 カエサル暗殺編

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8/11

第8話 イデスの朝

朝。


空は、やけに澄んでいた。


俺はゆっくり目を開ける。

その瞬間、全てを思い出した。


今日だ。

三月十五日。

ローマで「イデス」と呼ばれる日。


そして——

ユリウス・カエサル暗殺

が起きる日。


俺はベッドから起き上がり、静かに息を吐いた。


「……来たな」


ついに、この日が来た。


逃げることはできる。

行かなければいい。

それだけで、命は助かる。


だが——

俺は服に手をかけた。


「それで終わりか?」


ここまで来て、ただ逃げるだけか?

違う。


俺はこの時代に来た。

そして知ってしまった。


この暗殺は、ただの裏切りじゃない。

ローマの未来を巡る衝突だ。


ならば——

見届ける。

その結論に至るまでの、すべてを。


その時だった。

扉が開く。


「カエサル!」


振り返る。

飛び込んできたのは

マルクス・アントニウス。


顔色が明らかに悪い。


「やはり妙だ」


息を切らしながら言う。


「元老院の周辺に、武器を隠している者がいる」


やはりか。

ついにここまで来た。


アントニウスは一歩近づく。


「今日は行くべきではない」


その声は、これまでで一番強かった。


「護衛を増やす。いや、今日は中止にすべきだ」


俺は彼を見つめた。


この男は本気だ。

俺を守ろうとしている。

そして、正しい。


ここで行かなければ——

俺は死なない。

歴史は変わる。


だが。

俺は静かに首を振った。


「いや、行く」


アントニウスの顔が固まる。


「なぜだ!」

「これはただの噂ではない。危険だ!」


俺は少しだけ笑った。


「危険なのは分かっている」

「ならなぜ——!」


俺は窓の外を見た。


ローマ。

巨大な都市。


その中心にある元老院。

そしてそこに集まる人間たち。


恐怖。

不満。

野心。

すべてが渦巻いている。


俺はゆっくり言った。


「もし今日、私が行かなければ」

「ローマはどうなると思う?」


アントニウスは言葉に詰まる。

俺は続けた。


「疑いは消えない」

「むしろ、より大きくなる」

「そして次は——」


少し間を置く。


「もっと大きな血が流れる」


アントニウスは黙った。

理解している。

この問題は、逃げても終わらない。


俺は振り返った。


「ならば、ここで終わらせる」


その言葉に、自分でも驚いた。

だが不思議と、納得していた。


もしかすると。

本物のカエサルも、同じことを考えていたのかもしれない。


アントニウスは歯を食いしばった。


「……分かりました」

「ですが、私も同行します」


俺は首を振った。


「いや、お前は来るな」


「なぜだ!」


俺は静かに言った。


「お前がいれば、計画は崩れる」


アントニウスの目が見開かれる。

俺は続けた。


「だが、それでは意味がない」


この言葉の意味を、彼は完全には理解していない。

だが。

俺には分かる。

この事件は、起きるべきものなのかもしれない。


アントニウスは拳を握りしめた。


「……必ず無事で戻ってください」


俺は少しだけ笑った。


「努力はする」


それだけ言って、外へ向かった。


廊下を歩く。

兵士たちが頭を下げる。


その一歩一歩が、重い。

そして、確実に。

運命へ近づいている。


宮殿の外に出る。

光が眩しい。

馬車が用意されていた。


俺は一度だけ、空を見上げた。

青い空。

何も知らない世界。


そして思う。


「これが、歴史か」


俺は馬車に乗り込んだ。


目的地は——

元老院。


そこで、すべてが決まる。

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