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お笑いヤンキー  作者: oga
覚醒編
21/25

覚悟

 部屋の中はいかにも女の部屋って感じで、小綺麗に片付いている。

女に続いてリビングにやって来ると、古川がふわふわしたソファに身を預けた。

慣れた感じで、ここに長いこと住んでるらしい。

女が口を開く。


「古ちゃん、親に勘当されちゃったんだって。 だから今は私が飼ってるんだぁ~」


 女が嬉しそうに話す。

勘当?

……一体、何があったんだ?


「何だよ、勘当って」


「……お笑いやるっつって、親とケンカんなったんだよ。 お笑いで飯食えるヤツなんざ、一握りしかいねぇからな」


 ……マジか。

こいつ、てっきりお笑いのエリートで、その道に進むのを親は了承済みなのかと思ってた。

ヘラヘラしながら女が言う。


「古ちゃん、あんまり才能ないと思うなぁ~。 ユーチューブだって、再生回数50とかだし。 あ、でも私、顔はすっごい好みだから、つまんなくても全然いいよ~」


 はあっ!?

ユーチューブ?

しかも、再生回数50とか、全然ダメじゃねーか!

段々、古川っつー男の化けの皮が剥がれてきたかも知れねー。


「るっせーな、ミヨ。 すぐには無理かも知んねーけど、ぜってー売れてやっから」


「期待しないで待ってるぅ~」


「オイ、古川、こっちこい」


 俺は古川の服を引っ張って、バスルームの前までやって来た。

 

「何なんだよ、あの女」


「……駅前で引っかけて、家に転がり込んでるだけだろ。 俺、帰る家ねーし……」


 俺は立ちくらみがした。

古川がこんな軽い男だとは……

トマト館で俺を焚きつけた男と同一人物とは思えない。


「お前、学生の分際でヒモとか……」


「ずっとじゃねーよ。 今、バイト探してんだ。 それより、卒業式のネタ、考えねーと」


「……見えてきたわ。 お前、それを動画か何かに撮ってユーチューブに上げる気だろ?」


「何が悪ーんだよ」


「有名になることばっかかよ! 俺はお笑いに救いを求めてるヤツらの為に、お笑いがやりてんだよ! それはおめぇから教わったことだぞ」


 俺は、苛立ちながら言った。

だが、古川はお笑い舐めてんなよ、と静に返す。


「……少し前の俺とはちげーんだよ」


 こいつは何が何でもお笑いの道に進む気だ。

家族と縁を切ってでも……

俺は自分の家族を思い浮かべた。

父ちゃんや母ちゃんは、トラックの運転手になることを望んでる。

他人事じゃねー。

お笑いの道に進むなんて行ったら、父ちゃんにぶち切れられるに違いない。


(俺は……)

  






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