笑いのオーラ
(昼休憩中に会いに行くか……)
アイツに会うのは結構久々な気もする。
12時のチャイムが鳴ると、教室の奴らがゾロゾロと外へと出て行く。
飯は弁当か学食だが、俺は席から立ち上がると階段を駆け下りて職員室へと向かった。
教師らが俺を横目に見る中、入り口で突っ立っていると、小田がやって来た。
「……桜木か」
「待ってたぜ。 ちょっと話しがあんだけどよ」
「いいだろう」
小田と俺は学食のある方へと向かい、そこで食券を購入。
二人で飯を食いながら話をすることとなった。
小田が俺の分の水を持って、テーブルに着く。
「わりーな」
「しかし、驚いたな」
俺が話題を振るより先に、小田のヤツが口を開いた。
「笑いのオーラが溢れている。 一体、何があった?」
……は?
笑いのオーラって何のギャグだ?
俺が返答に窮していると、小田がメガネを拭きながら説明した。
「食べながらでいいから聞いてくれ」
「……お、おう」
「長いことお笑いをやっているとな、笑いのオーラが見えるようになる。 これは何かの比喩ではなく、お前を包み込むように実際に存在する、目には見えない笑いエネルギーそのものだ」
「……」
俺は開いた口が塞がらず、マジかこいつ、と小田に話しかけたことを後悔した。
しかし、小田は続ける。
「しかも、お前のオーラは漫才の西川○よし、ダウンタウンの浜○らと同じ色をしている」
口に運びかけていたスプーンの動きが止まった。
俺が、ダウンタウンの浜○と同じオーラだって?
「超、すげぇじゃねーか」
褒められて悪い気はしねー。
俺は、オーラのことをその場で受け入れた。
更に小田は続ける。
「だが、ツッコミだけじゃ宝の持ち腐れだ。 同等のオーラを持つ相方を探す必要があるが……」
「そのことで話しがあんだ。 古川のヤツの住所、教えてくれねーか」
俺が卒業式の漫才をやる旨を説明すると、小田はなるほどな、と胸からボールペンを抜き取り、ポケットティッシュから一枚ティッシュを取ると、何かを書き綴った。
それをこちらに渡してくる。
「古川の電話番号だ。 これにかければ彼の所在が分かるだろう」
「……サンキューな」
俺が立ち上がろうとすると、小田が呼びかけた。
「桜木、古川にも笑いのオーラがある。 お前がツッコミを入れれば、それが衝撃波となり半径数キロに及ぶお笑いエネルギーが発生する」
俺は、ハイハイと手を振ってその場を離れた。




