予知夢
部室には誰もいない。
時刻は8:00で、後30分で朝礼が始まる。
踵を返し、部室棟から出て教室のある校舎へと向かう。
この時間から段々と生徒が集まりだし、ゾロゾロ列をなして中へと入っていく。
(……あいつ)
俺はその中に、デブの鎧を纏った豚野郎を発見した。
校長の安西だ。
アイツが、ノソノソと歩いているのを見て、再び、鈍い痛みが頭ン中を巡る。
(……)
俺は、頭を片手で押さえながら、目を見開いた。
……思い出してきたぜ。
俺は卒業式の日に、漫才をやる計画を立てている。
その漫才に、どういう訳か、あの安西が絡んでくる予感がする。
しかも、そのせいで俺は盛大に滑り倒す。
そんな気がしてならない。
(……そうだ。 多分、その夢だ。 つか、俺はいつからエスパーになったんだ?)
校長と漫才をやって滑るっつー予知夢。
それが昨日の夢の正体。
これが事実なら、何とかして阻止しねーとだ。
……それなら、他の相方を調達してこなきゃならない。
俺は血飛沫野バラのヤツに相方の手配を任せたが、アイツは面白がって校長の野郎を相方に選びやがった。
(ざけてんじゃ…… ッ……)
また、鈍い痛み。
血飛沫野バラ。
そのワードに凄まじいムカつきを覚える。
何だ、まだ何か残ってやがんのか?
8割方、俺の昨日の夢の正体は掴めた、そう思ったのに……
アイツが何か握ってやがんのか?
だが、目先の問題解決が優先だ。
漫才の相方は俺が見つけなきゃならねー。
8時半になり、俺は自分のクラスの席についた。
正直、自分が3年の何組だったのか忘れちまった為、テキトーな場所に座りドキドキしながら待っていると、担任の中澤がやって来てホッとする。
俺は教室を見回した。
(……やっぱ、来てねーか)
俺は相方候補の古川を探していた。
だがアイツは、俺がケガをさせて以来、教室には現れていなかった。
こうなったら……




