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お笑いヤンキー  作者: oga
覚醒編
15/25

曖昧な記憶

「カレーライス! カレーライス! ……ハッ!?」


 目が覚めると、朝だった。

……何でカレーライスを連呼してたんだ、俺。

ベッドから起き上がり、少し考えるも、分からない。

ただ、何か重要なことがあったという感覚だけが残っている。


(何だったんだ、一体……)


 ……クソ、思い出せねぇ。

夢の内容なんてどーだっていいのによ。

それなのに、ぜってー忘れちゃいけない内容だった気がするのは、何でだ?

俺は立ち上がって階段を降りた。

洗面所で顔を洗いつつも、やっぱり、昨日の夢の内容が気になって仕方が無い。

台所に向かうと、既に父ちゃんと母ちゃんが朝食にありついている。


「向日葵、遅刻だけはするなよ」


 相変わらず、新聞を読みながら、父ちゃんの声が響く。

目の前に並んでいるのは、ウチの定番の朝食だ。

味噌汁にご飯、そして納豆に卵を絡ませたヤツが銀色のボールに入っていて、それをスプーンですくってかける。


「ひまちゃん、返事しなさい」


「ん…… ああ」


「ああ、じゃないでしょ。 遅刻、しちゃダメよ。 確か遅刻3回で1回欠席したことになるんでしょ? 出席日数足らなかったら4月から運転手出来なくなっちゃうわよ」


(運転手……)


 一瞬、鈍い痛みが頭に走る。

トラックの運転手……

そのワードに、俺は嫌悪感を覚えた。


「……もう、学校行くわ」


 俺は朝食を殆ど食べず、倚子から立ち上がった。









 学校に着いて3階にある自分の教室へとやって来ると、仲良さげな女子がまだ二人。

物珍しそうな顔で俺のことを見てくる。


「んだよ、早く来てわりーか」


 二人が目線を落とす。

……何か、腹立つな。

いつも通り、コンビニでタバコ吸ってからくりゃ良かったか。

それはさておき、俺はさっきの違和感のことを考えていた。

トラックの運転手。

このワードは恐らく、夢に出てきた。

そして、このワードに対する嫌悪感。

これは、何か良くないことを暗示している気がする。

俺は手を組んで、肘を机に乗せた。

まるで、一休さんの如く、必死に考えを紡ぐ。


(トラックの運転手っつーのは、俺の将来のことだ。 俺は運転手になりたくねぇ。 ……そーだ、お笑いをやりてぇんだ)


 靄が少し、晴れたような気がした。

俺は運転手じゃなくて、お笑いをやりたい。

だが、まだ靄が完全に晴れた感じじゃない。

核心的な事実が明らかになっていない。


「何か、考えてる……」


 二人の生徒の囁きが聞こえる。

俺は、ガタッ、と倚子から立ち上がり、声のする方を見る。

ビクッ、と驚く女子二人組を尻目に、俺は教室を出た。


(部室に行きゃあ、何か思い出すかもだ)







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