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王子様拾いました。  作者: 苺鈴
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王子君と?

 僕、王子は、洸に連れられて天之川中学校のグラウンドにやってきた。アナお姉ちゃんの弟になったら…アナお姉ちゃんは、ハーフだからパン食かな?…だったら、洸の家の方がいいな…お米が食べられるから…。洸が用具室を掃除してる間、僕はマットの上でお昼寝中…Z。


 かなり時間がたったみたい…。僕はゆっくりと目を覚ます…。

「…洸。…今何時?…洸?」

 洸がいない…?僕は、マットの上から起き上がると、用具室を出る。あ、いた。洸は用具室の外で、グラウンドで練習している部員達を見つめていた…。なんだか、物思いにふけってるみたいだ…。そっとしておいてあげよう…。あれ?僕、頭の色が変わっているみたい…!誰かに見られたら、大変だ…!僕は急いで用具室に戻った…。どうして、色が変わっちゃったんだろう…?よく寝て、体力が回復したからかな?


「やあ。ごきげんよう王子様!」

 薄暗い用具室の奥に誰かがいる!?しかも、僕に話しかけてきた!!

「あなたは、誰…?どうして、僕のことを知ってるの?」

「私があなたをこの『セカイ』にお連れしたんですよ!」

 声は、用具室のマットやハードルやらいろいろな道具の置かれている奥の方から聞こえてくる!人が入れるようなスペースはないけど…。

「あなたが、僕を連れてきたって?…あなたは、いったい誰なんだ!?姿を見せて!」

 すると、突然。僕の目の前に一人の青年が現れた!その人の顔は、包帯でぐるぐる巻きで…目だけが見えていて…その瞳は左右とも色が違っていて…片方は黄色で、もう片方は青色で…。服装は、白いワイシャツに黒のズボンに、裸足…。何だか、僕が公園にいた時の格好みたい…!

「王子様。ご無事で何よりです!」

「無事なもんか…僕の体は、縮んでしまったじゃないか!それに、記憶もあやふやだし…。どうして、僕をこの『セカイ』に連れてきたんだ…?」

「それが…私は、この『セカイ』に来るときに、空の上から真っ逆さまに落ちてしまって…この通り。頭が脳みそごと、木端微塵に吹き飛んでしまったんですよ!やっと、きのう、全ての肉片を見つけて、焼いて、煮て、くつけて、縫って、また焼いて包帯でまいたのです!」

「…それで、あなたは誰で、どうして僕をつれてきたの?」

「ですから、まだ頭が完全にくっついていないので、私もほとんどのことを憶えておらんのです!私が憶えていることは、王子様をこの『セカイ』にお連れしたことだけなのです…。私は、自分の名前も何も憶えておらんのです!」

 だめだこりゃ…。この人からは、何も聞き出せそうにないや…。

「それじゃ、どうしてここにいたの?」

「王子様にお伝えすること思い出したからです!」

「それを先に言ってよ!」

「ですが、王子様が私の名前やら、連れてきた目的やら、いっぺんに聞くものですから…!私のつぎはぎだらけの脳みそで処理しきれなかったんですよ!」

「…それで、僕に伝えたいことって何?」

「王子様…。あなたが元のお姿に戻る方法が一つだけございます!それをお伝えしに現れた次第であります!」

「それは、何なの…!?」

「それは…王子様があなたの…本当のお名前を思い出すことです!!」

 僕の…本当の名前…?だめだ…思い出せないや…!

「あなたは、僕の名前を憶えてない…?」

「自分の名前を憶えてないのに…王子様のお名前を憶えてるわけないじゃないですか!」

「そうだよね…。」

「それでは、私はこのへんで失礼いたします!」

「待って!どこへ行くの?」

 返事はなく、その人は消えてしまった…。いったい何者なんだろう…?

 あれれ?…なんだか…また眠たくなってきた…Z。




「用具室に誰もいないってどういうこと!?」

「私がさっき、用具室をのぞいたときは、誰もいませんでしたよ?」

 そんな、まさか!ヤクザにさらわれたとか…!?俺は、急いで用具室へ向かった!

「王子君!!」

 用具室に入って、マットの上を見るが王子君がいない…。俺の馬鹿っ!どうして、王子君から目を離したんだ…!

「…洸?どうしたの?」

 後ろ振り返ると…王子君!?良かったぁ…さらわれたんじゃなかったんだ…。

「王子君!勝手に、用具室からでちゃダメでしょ!!」

「…だって目が覚めたら、トイレ行きたくなっちゃったんだもん。」

 ああ。何だ…。トイレに行ってたのか…。

「トイレ行くときは、今度から俺に声かけてね。」

「洸…。」

「どうしたの王子君?」

「…帰ったら話すよ。」

「…何を?」

「王子君ー!グラウンドで一緒に遊ぼう!!」

「加藤さん…。みんな、練習終わった後で疲れてないの…?」

「全然、平気です!!さあ、王子君、みんなで鬼ごっこしよう!」

「おいおい…陸上部員と幼稚園児じゃ勝負にならないだろ…。」

「大丈夫ですよ!王子君と私たちが鬼で、星野先生を捕まえるんです!!」

「はあ!?」

「捕まったら、グラウンド30週と遅刻したことを小野先生に報告しまーす!制限時間は15分!!」

「ええええー!?聞いてないよー!!」

「ほら、先生早く逃げて!3秒だけ待ってあげます。3・2・1・スタート!!」

「ちょっと…!?」

 みんなが俺めがけて走ってくる!わああー!!みんな元気すぎるだろ!!ちゃんと練習メニューこなしたのか!?かなり、ハードなやつだったけど…。

「先生、中学からずっと陸上やってたんでしょ?だったら、私たちに負けるはずないですよね?」

 加藤さん、よく走りながら挑発できるね!?いや、無理だって!!俺、大学卒業してから、ほとんど運動してないもん!休日にジョギングするくらいだよ…。



 






 



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