王子君とアナベル
そして、土曜日に戻る。
俺は、陸上部の活動場所であるグラウンドへ走る!ああ、みんなもう集まってる…。
「星野先生、遅刻ですよ。遅刻者は、グラウンド30週です!」
俺に駆け寄ってきたのは、俺のクラスの委員長であり、陸上部の部長である加藤アナベルさん。加藤さんは、日本人とイギリス人のハーフで、黒髪のポニーテールに意志の強そうな紫色の瞳をした美少女である。陸上の種目は短距離。
「ごめん…。まさか、朝から殺されかけるとは、思わなかったから。…ほのぼのファンタジーなのに。」
「…何のことですか?あ、王子君!今日も可愛いねー!先生、王子君の身元まだわからないんですか?」
加藤さんは、しゃがんで王子君に目線を合わせて話し始めた。
「それが、実は王子君、いろいろ事情があって…家族と一緒に暮らせないみたいで…当分俺が預かることになったんだ。」
「…そうなんですか!王子君、まだ小さいのに…苦労してるんですね…。王子君、私のことは、お姉ちゃんだと思っていいよ!ああ、私の名前はアナベルっていうんだけど、みんな『アナ』って呼んでるの。」
「じゃあ…アナお姉ちゃんって呼んでもいい?」
アナって、妹の方じゃなかったけ?てか、王子君と加藤さんって同い年じゃん!!
「王子君…もう一回、言って!」
「アナお姉ちゃん…?」
王子君を思いっきり抱きしめる加藤さん!
「…王子君、うちの子になりなよ!先生、王子君を私にください!!」
「ダメだ…!うちの可愛い娘…いや息子は、やらん!!」
王子君は、怖ーいヤクザさんに狙われてるんだよ?加藤さんにもしものことがあったら、大変だよ!!
「王子君をくれれば、グラウンド30週免除してあげますよ?…小野先生にも先生が遅刻してきたこと黙っててあげます。」
いや、俺、副顧問なだけで、部員じゃないから遅刻の罰は受けなくてもよくない?でも、小野先生に遅刻のこと知られたら…。小野先生は、普段は物静かな人だけど、部活のことになると人が変わっちゃって…。陸上に関しては、絶対妥協しないし…怒るとめちゃくちゃ怖くて、部員の間では、鬼先生と裏で呼ばれてるくらいなんだ…!
「…さあ、どうします先生?」
「加藤さん、昨日の王子君のコスプレ画像まだいっぱいあるんだよね。」
「えええ!?あれだけじゃなかったんですか?そういえば、南先生からのメールにそんなようなこと書いてありましたね!」
「それで勘弁してくれない…?」
「…わかりました。今日のところは、王子君をうちの子にするのは諦めます…。でも、いつか必ず王子君を私の弟にしてみせます!!」
王子君を奪取する気か!?アナベルだけに…。作者どんだけ83好きなんだよ…。
「遅刻の件も…よろしくお願いします…!」
「仕方ないですね…。ああ、そうだ練習しなきゃ!先生、小野先生から預かった練習メニューください。」
「はい、これ。じゃあ、俺は用具室の掃除してるから(小野先生に頼まれた)、何かあったら声かけて。」
「先生、本当に副顧問て名ばかりなんですね…。」
「俺、一応、陸上経験者だからね!中学から大学までずっと陸上やってたんだよ。」
「それは、前に聞きました。でも、大学は駅伝部だったけど…4年間補欠だったんですよね?」
「…そうです。ああー。ほら、早くみんなに練習メニュー伝えて、練習始めて!」
「はーい。それじゃあ、王子君。練習終わったら、一緒に遊ぼうね!」
「うん。」




