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宋飛53
次の瞬間、男が宋飛に向かって切りかかってきた。
宋飛も剣を抜こうとした。が、あるべき所に剣がなかった。
商人に扮しているため、いつもの軍装ではないことにふと気づいた。
「くそっ、おい唐平!剣を寄越せ!」
宋飛が身をかわしながら叫んだ。
唐平はすでに荷の方へ走っていた。
「隊長!」
唐平が商品の荷に隠していた剣を、宋飛に向かって勢いよく投げた。
男の意識が一瞬、空中の剣に向かったのを、宋飛は見逃さなかった。
宋飛は、あえて剣を受け取らず、低い姿勢で瞬間相手の視界から消えた。
体を密着させ剣の間合いを殺しながら、脇腹に肘を強く打ち込んだ。
「ぐっ…」
男の体勢が崩れたかけたところで、宋飛は剣を拾いあげ、上段から斬撃を加えた。
かろうじて相手が剣で受け、そのまま力の向きに逆らわずに倒れ、転がりながら勢いを殺した。
「この野郎!」
唐平が加勢しようとこちらに走ってくる。
「待て、唐平!こいつ一人とは限らない。お前は子供たちを守れ!」
「くそっ!おい、お前ら!逃げるぞ、こっちへ来い!」
隠れ家から子供たちが怯えながら逃げ出してきた。唐平がうまく宋飛たちの間に入りながら、反対側に誘導している。
「なに…、子供だと!?」
相手が下がり、わずかに距離を取った。
構えていた剣を下ろす。
「史令は、ここではなかったか…」




